この倦怠感は自律神経? それとも…更年期の症状は神出鬼没。妊活アプリのように「通知」が来る方法はないのか

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-06-18 06:00
投稿日:2025-06-18 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第35話は「あったらいいのに更年期通知」。

倦怠感、それは突然、嵐のように…

 こんなにも自分の体が信用できなくなるとは思わなかった。これが更年期真っ只中の女の本音。完全な治療方法もなく、病状は十人十色で個性的。ゴールも見えないまま、今日もいつ勃発するか分からない症状に怯えている。そう、数多ある症状で一番厄介なのは、更年期障害の症状は神出鬼没であること。

 先日、ちょっとした事件があった。

【こちらもどうぞ】自治体支給の「更年期バッジ」が欲しい!子無し、未婚の中年勢にちょいと冷たくないか

 日中、カメラマンと共にロケハンをしてワンボックスカーに揺られていた。この時点ではなんともなかったのに、問題は解散後。家路に着くために今度はバスに揺られていた。混雑する車内、季節外れの暑さに対処したエアコンの冷風が当たる。発車して数分後、気分が悪くなってきた。胃がムカムカして、汗のせいか体は冷たい。まとめると倦怠感とでも言うのか。

(なんだろう、今日一日乗り物に揺られていたから、車酔い? いやそんなはずはない幼稚園から乗り物酔いだけはしなくて、むしろ酔って先生にお世話されている先頭席の友人がうらやましかったじゃないか。お昼はー……生物は食べていない。なんでこんな気持ち悪いんだろう、二日酔い? 今、もう夕方じゃん。あ、ちょっと待てよ。去年、卵巣がんになった友人、当初はすっごい気持ち悪い日々が続いたって言ってたよね。来たかな〜、来たかな〜。私ひょっとしてがん…? あれ、3月の人間ドッグ、胃酸が多かっただけだよね)

 倦怠感の原因究明だけで脳はフル稼働。たった5分足らずで、がんの疑念を持つまでに…。ま、更年期は自律神経が乱れて、気分のアップダウンも激しいので、この程度の思考は通常運転。

 途中、老人が乗車をしてきた。少し動けば譲れそうだとマナー精神が発動。が、今、立つような元気が本当にない。まんまるで小太りの元気そうなおばさん体型をしているので、見た目は俄然元気だけど、今だけ本当に具合が悪い。私は席を譲ろうと、少しだけ上げた尻をもう一度座席につけた。以前、この連載にも書いたけれどこう言うときこそ、更年期バッジが欲しい。

(もし、席を譲って、私が嘔吐したら座っている人に迷惑をかけるじゃない…? ねえ、そうだよね、ってこれ脳内の独り言か)

 バッグから水筒を取り出して、お茶を飲む。少しだけ胃が落ち着いた。こんな時に役立つので、最近は水分を携帯するようになった。できれば炭酸水を飲んだほうがさらに胃は落ち着く。そして私はぼんやりと、違う思考を始めた。

(…夕飯、何食べようかな)

 自分の体調が本当に信じられなくなる瞬間だ。バスに乗車して20分過ぎ、倦怠感がすごい、胃がおかしいとひとり脳内で騒いで病人ぶっておきながら、少し治ると、夕食に何を食べようと考え始めている。つまり食欲だけはある。悔しいけど、旺盛。これが更年期だ。知っておいてほしい。

(なんだろう、今日はカレーが食べたい。あと家にズッキーニがあったから白だしでジュワッと焼いて、ワカメとツナでマヨサラダでも作るかなあ。あ〜、気持ち悪い)

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


立ち止まっていても時間が進むのなら…
 立ち止まっていても時間が進むのなら、いっそのこと急がなくても良いのかも。  人は人、自分は自分。
「委ねる」は読めるかも? 「委しい、委せる」はなんて読むのかな
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
仕事帰り、ぶつかりおじさんのちかん被害に遭遇!?  私はどう対処すれば…
 先日、電車の中で「ぶつかりおじさん」に遭遇し、周囲に分からないような形で身体を触られました。あの時、自分はどんな対応を...
選ばなかった人生を歩む「もう1人の自分」と話してみたい
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
魅惑の“たまたま”の横から…モデル!? に立候補した茶トラ君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
“刺身のツマ”じゃございません! 存在感爆上がりの「かすみ草」最新事情
 猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、神奈川の片田舎にあります。  大企業の研究所が多数点在しているせいか、他民...
同僚A「昨夜、課長と歩いてました?」同僚B「私も見ました」って…。職場グループLINE公開処刑!!
 グループLINEは、仕事上でもとても便利な連絡ツールですが、時に意地の悪い人がいるのも現実…。  職場での公開処...
ギャラ飲み収入だけで年400万円の貯金達成!元キャバ嬢が浪費しないワケ
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
【求む2期生!】頑張るシンママの収入UPをサポート☆応募して豪華プレゼントGET!
 日刊ゲンダイが運営する女性webメディア「コクハク」では、メディア制作に協力してくださる「コクハクリーダーズ第2期生」...
雪解けの水とハミングと。
 雪解けの水がすごい勢いで山からくだってくる。  流れの音に耳をすませば春の訪れを知る。  澄んだ空気を感じ...
ぽかぽか陽気♪ ノスタルジーな小道で見つけた“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「立ちんぼ女子」は売春行為や街娼を指すことばではなかった
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
朝立ち、オマン湖、チンチン!普通の会話なのに下ネタかました的なLINE
 普通に会話しているだけなのに、相手からしたらどう考えても下ネタにしか聞こえない言葉ってありますよね。引きつった相手の表...
大谷の“一平ちゃん騒動”で不安 友人との金銭トラブルQ&A~弁護士解説
 ドジャースの大谷翔平(29)の専属通訳を務めていた水原一平氏(39)が、違法賭博に関与したとして球団から今月20日、電...
【スナック超入門編】どんな場所?若葉印のホステスが実感する5大特徴
 みなさんは、そもそも「スナック」がどんなところかご存知でしょうか?  キャバクラやガールズバーとは何が違うの?...
高級クラブのホステス→ギャラ飲み嬢に 面識なしで突然10万円ギフトが…
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...