名門・筑波大付属から東京藝大に進んだ“秀才”野村萬斎の教育方針 長男・裕基は立教英国学院から慶大へ

更新日:2025-06-20 17:03
投稿日:2025-06-20 17:00

【あの有名人の意外な学歴】#13

 野村萬斎(狂言師/59歳)

  ◇  ◇  ◇

 現在、筑波大1年の悠仁さまが今春まで通われ、世間の注目を集めた筑波大付属。悠仁さまが在学したのは高校だけだったが、もっとも人気が高いのは小学校。慶応幼稚舎が私立の雄なら、国立で真っ先に名前が挙がるのが筑波大付属小学校だ。

「最難関小学校の筆頭ですが、合格できたからと安心できないのが筑付。中学に内部進学できるのは8割前後。高校へも8割。小学校から高校まで順調に上がれる生徒は単純計算で6割台半ばしかいない」と話すのは小学校受験の世界を長年見てきた幼児教室経営者。この名門校に小学校から高校まで通ったのが日本の至宝ともいえる狂言師の野村萬斎(59)だ。

 3歳の時に初舞台を踏んだ萬斎が筑付小に合格したのは当然だった。大人に交じって演じることに慣れていた少年は試験会場でもまったく物おじしなかったに違いない。厳しい稽古で培った集中力も並外れていた。落ち着きがないのが当たり前の年頃。同世代の子どもたちからは頭いくつも抜きんでていた。

 父・万作(93)には徹底的に鍛えられた。学校が唯一の逃げ場だった。舞台の仕事がしばしば入りながらも、筑付での成績は小・中・高を通して上位だったようだ。「地頭の良さも抜けていた」(筑付関係者)のである。

 高校時代は黒沢明監督の映画「乱」にも出演。ロケの最後は高3の冬、大学共通第1次学力試験(現大学入学共通テスト)の直前だった。黒沢監督が空模様に満足できず撮影が延期になり、試験が受けられるか気が気ではなかったという。

 大学は東京芸術大学音楽学部邦楽科能楽専攻に進んだ。指導する講師は万作と伯父の萬(95、当時万乃丞)。自伝「萬斎でござる」(朝日新聞社)の中で「父とは、二人でいっしょに登校して、ふだん家でやってる稽古をわざわざ学校でやるのですから、ばかばかしいといえば、ばかばかしかったかもしれません」と振り返っている。

 萬斎と同様、3歳で初舞台に臨んだ長男の裕基(25)の学歴も注目すべき点が多い。高校からはロンドンの南にある立教英国学院に留学した。「企業の海外進出が活発になった70年代初頭、英国には日本人学校が一校もなかった。そこで、駐在員の子女が日本にいるのと同じ教育を受けられるようにとつくられた」と立教大元教授は同校設立の経緯を説明する。

 父の萬斎も28歳の時、英国留学を経験。シェークスピアなど、向こうの舞台芸術に触れることが狂言にも役立つと思ったからだ。同じことを裕基も感じたに違いない。

 立教英国学院は立教大への推薦枠を持っているが、帰国した裕基がそれを使うことはなかった。慶応大法学部に進んだのだ。「親子共演が増え、逆に狂言を忘れる時間が欲しかったのではないか。慶応は比較的、出席に厳しくありませんし……」と慶応大文系教授。同大を選んだ理由としては2歳上の姉・彩也子(TBSアナウンサー)が環境情報学部で学んでいたことも少なからず影響したようだ。

 何代にもわたって引き継がれていく伝統芸能の世界で萬斎・裕基親子が新たな境地をどう開拓していくか興味深い。

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


「クソばばあ」に「クソ小僧」、涼子のリアクションにも注目
 寅子(伊藤沙莉)は、戦争によって航一(岡田将生)が背負った苦しみに寄り添いたいと思う。  一方、寅子から「よりど...
桧山珠美 2024-08-08 16:37 エンタメ
早くも“NHK御用達俳優”の片鱗が?「虎に翼」出演の岡部ひろきはそんじょそこらの2世俳優とは違う
 1日放送「ダウンタウンDX」(日本テレビ系・読売テレビ制作)に故・西城秀樹さんの息子・木本慎之介(20)が出ていました...
なぜ令和ロマンは賞レースに出続ける?3冠制しヘイトも無視する戦闘力
 芸歴10年以下のお笑い賞レース「ABCお笑いグランプリ」(テレビ朝日系/以下ABC)が7月7日に開催。M-1に続き、令...
帽子田 2024-08-03 06:00 エンタメ
航一の秘密、明かされる。久々の回想シーンでも発揮した直道の顔芸パワー
 判決後、涼子(桜井ユキ)の店で寅子(伊藤沙莉)らと杉田(高橋克実)たちは偶然顔を合わせる。  戦争で娘と孫を亡く...
桧山珠美 2024-08-02 16:00 エンタメ
【写真特集】ワンピース姿を披露する、珍しく清楚なあやまん監督
【この写真の本文に戻る⇒】 【独自レポ】あやまんJAPANは健在だった! Tバックにぽいぽいコール、コンプラ無視の危ない...
優未の言葉「困っている子を助けるのは普通」に教えられた真っ当なコト
 寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)は、涼子(桜井ユキ)の店がたびたび嫌がらせを受けていたことを知る。警察に相手にされず...
桧山珠美 2024-07-31 16:30 エンタメ
赤いミサンガの女・美佐江、来た~!“放置エピソード”の回収がお見事
 寅子(伊藤沙莉)と優未(竹澤咲子)の姿を見ていきなり号泣した杉田(高橋克実)。実は杉田は昭和20年の長岡空襲で娘と孫を...
桧山珠美 2024-07-29 16:45 エンタメ
目黒、ニノを“沼落ち”続出の松村北斗「西園寺さん」が猛追!視聴率やTVerではない意外なデータが急上昇
 7月も後半に入り、2024年夏期主要ドラマの初回がほぼ出揃った。その中でも特に、STARTO ENTERTAINMEN...
こじらぶ 2024-07-27 06:00 エンタメ
「ごめんなさい」を連呼する航一。“戦時中の何か”は来週判明する?
 玉(羽瀬川なぎ)の将来を奪ったのは自分だと、涼子(桜井ユキ)も悩んでいた。寅子(伊藤沙莉)は2人の決断を応援するため、...
桧山珠美 2024-07-29 15:49 エンタメ
涼子さまの消息も明らかに…「ヒロインじゃない面々」のその後を描く意味
 寅子(伊藤沙莉)は「学校に友達はいない」という優未(竹澤咲子)の発言が気にかかる。  出勤すると、杉田(高橋克実...
桧山珠美 2024-07-23 15:45 エンタメ
夏ドラマ何見てる?『新宿野戦病院』『ブラックペアン2』への本音を調査
 2024年7月スタートの夏ドラマが出揃ってきましたね。今期もたくさんのドラマが放送していて、どれを見ればいいのかわから...
“カウンセラー”星航一(岡田将生)、ちぐはぐぶりがチャーミングだった件
 父親の話が聞きたいと言う優未(竹澤咲子)に、寅子(伊藤沙莉)は優三(仲野太賀)の話をすることができない。寅子は航一(岡...
桧山珠美 2024-07-18 15:50 エンタメ
なぜ塚地武雅、藤井隆はドラマ出演が続く? 不人気芸人との決定的な違い
 7月に入り、2024年夏の新ドラマが次々にスタートしています。なかでも話題になっているのが、宮藤官九郎脚本の『新宿野戦...
高橋克実「ショムニ」超えの名演技に注目!歴代朝ドラで舌打ちといえば…
 山の境界線をめぐる現地調停で書記官の高瀬(望月歩)と申立人の森口(俵木藤汰)との間にトラブルが発生。寅子(伊藤沙莉)も...
桧山珠美 2024-07-17 15:30 エンタメ
木村拓哉は逆に演技がうまい! わざと「いつもキムタク」を貫く役者魂
 最新主演ドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)が高視聴率でフィニッシュし、かつての人気ドラマの映画版...
堺屋大地 2024-07-17 06:00 エンタメ
我々は何を見せられていたのか…さよなら『バチェロレッテ・ジャパン』S3
 毎週木曜日のお楽しみ『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3がついに完結しましたよ!