「あんぱん」のぶ、“落とし前”の付け方はそれでいいのか。次郎役の中島歩はあまりにも素晴らしかった

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-06-23 16:09
投稿日:2025-06-23 16:07

第12週「サラバ 涙」#61

 終戦から5か月が経ち、国民学校ではGHQの指導のもと軍国主義教育からの転換が図られる。のぶ(今田美桜)は病気が一向に回復しない次郎(中島歩)の見舞いに、海軍病院に通っていた。努めて明るく振る舞うのぶだったが、次郎にあることを打ち明ける。

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【本日のツボ】

次郎の速記が気になる

 ※※以下、ネタバレあります※※

 生徒たちに「先生はみんなに間違うたことを教えました。ごめんなさい」と謝るのぶ。そして、学校を去りました。

 あとで、次郎に「あの子らの澄んだ目を見たら、何ちゃあ言えんなってしもて」と心の内を語っていましたが、“愛国の鑑”と言われ、日本の勝利を信じ、子どもたちにも軍国主義教育を叩き込んできたことの“落とし前”の付け方がどうも釈然としません。

 GHQを登場させるとなると、稲川素子事務所からタレントを調達しなくてはいけませんから、その手間を省いたのかもしれませんが、校長先生やほかの先生たちが、軍国主義教育から一転、民主主義教育へと手のひら返しするところや、その時ののぶの立ち位置など、もっと描いて欲しかったような……。

 せめて、教科書の問題あるとされる箇所に墨を入れるシーンはのぶにやっていただきたかったですね。

 そして、次郎です。愛用の手帳に、なにやら記号のようなものを書いてのぶに見せます。それが“速記”だということを、次郎の母・節子(神野三鈴)から聞いて知るわけですが。

 残念ながら、“速記”の心得がなく、次郎がなんと書いたのか、わからないのがもどかしく……。おそらく、この先、のぶが速記を学ぶことになるのでしょうが、その時に、次郎が速記の意味を知る、という展開になるのでは、という気がします。

 明日はいよいよ次郎との別れでしょうか。

 次郎の死がなければ、嵩(北村匠海)との再婚はないわけなので、仕方のないことなのですが、次郎役の中島歩があまりにも素晴らしく、このまま退場してしまうのが残念でなりません。いっそ霊になって、のぶにまとわりついてくれればいいのに、という願望。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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