子供の粗相は許して当然? 鼻につく母親の口ぶり…私は「子連れの女」に同情することにした

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-07-12 11:45
投稿日:2025-07-12 11:45

それ以上でもそれ以下でもない関係

 彼は見た目も心も少年のような人だ。齢35にもかかわらず、28歳の私と同じくらいの感覚だ。

 舞浜のテーマパーク、カラオケ、スポッチャ、歌舞伎町タワー。大学生みたいな、楽しい場所に彼はいつも行きたがった。そして、めちゃくちゃはしゃぐ。どうやら学生時代は陰キャだったらしい。

 わたしたちは恋人同士というより、時間や記憶をなくすまで、呑んで、笑いあって、遊ぶ同志のような関係である。

 元々は上司という存在だったけど、私の転職によって波風が立って、男女関係があるだけの単なるフツーの飲み友達で、遊び友達になった。

 もしこの繋がりが共通の友人や、彼の奥さんと小学生だという子供にバレた時、周囲に言い訳する準備もできている。

 お互い同意の上の『遊び友達』。それ以上でもそれ以下でもない。楽しい、だけの関係だ。

割り切ってはいるけれど…心が消耗するのはなぜ?

 目の前にある飛び込み台。

 12歳くらいの男の子が、家族に見守られながら飛び込んでいた。きっと、彼も喜んで飛び込むだろう。想像するだけで微笑ましい。でも……。

 ――本当に、仕事なのかな?

 よぎる疑念。流れるプールで大はしゃぎする家族連れを眺め、根拠のない勘繰りがぐるぐる回っている。

 彼と交際しだしてから、他人の言葉をそのまま受け取れない病気にかかってしまった。そして、悪い妄想をして意味もなくドプンと沈む。

 何の得もないのに。

 なぜ自分だけこんな嫌な気分にならなきゃいけないのか。そこのところ、フェアじゃないのが悔しい。だからインスタでは、例えひとりきりのおでかけでも、他にいい人がいる雰囲気を匂わせる演出をしている。

 何の得もないのに。

 ただ、その行為は私の精神衛生上は必要なのだ。

話しかけてきた子連れの女は誰なの

「すみませーーん」

 しばらくビーチで昼寝していると、隣のパラソルの下にいた女性に話しかけられた。

 自分と同い年くらいのビキニの女性だった。6、7歳くらいの兄妹と生後半年もしていないであろう赤ちゃんを携えていた。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


遺されゆくものに時間はゆっくりと過ぎてゆく
 岩手・陸前高田市の震災遺構「奇跡の一本松」と「ユースホステル」にて
【動物&飼い主ほっこり漫画】第91回「院長のオシゴト」
【連載第91回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【女偏漢字探し】「禍」の中に隠れた漢字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
対面トークが苦手ならなおさら…! LINEで反省の気持ちを効果的に伝える3つの極意
 人間誰しも、失敗します。でもその後の対応次第で相手に許してもらえるかどうかが決まるのも事実ですよね。  今回は、...
40代ならやめたい「やばい口癖」と「嫌われる相づち」。周囲はイライラしているかも?
 口癖は、なかなか自分では気がつかないものですよね。中にはネガティブだったり、相手をイライラさせるやばい口癖も…。  ...
我慢し過ぎてやられないで。自慢、のろけ、マウント好き女を返り討ちにした胸スカLINE3選
 世の中には、どうしても相手より優位に立ちたいがために、マウントを取ってきたり、のろけ話をしてきたりする人がいます。 ...
いつも余裕でいるために「お金よりも大事」なこと。スナックのママに教わった“人モテ”のコツ
 スナックに通うようになると、お客さんが一人だけ、なんて日に遭遇することもあります。そういう時、私は貸し切りで嬉しい気持...
キラキラ女子が嫌いな理由5選。職場でもチヤホヤされがち、嫉妬しないようにするには?
 陰キャ女子、集合! 今回はキラキラとは無縁な女性がキラキラ女子を嫌う理由のあるある5選を紹介します。「キラキラ女子が苦...
【45歳からの歯科矯正】2年後の47歳でひとまず終了。ワイヤー矯正をやって後悔、失敗したことは?
 価格は100万円前後、治療期間は最低2~3年はかかるとされる歯科矯正。決して安くはない金額をつぎ込んで、40代でやる必...
会話がつまらない人の6つの特徴。やばい、私も当てはまっているかも…?
「なんか、この人と会話していてもつまらないな」「話していてもイライラするだけなんだけど…」このように感じる相手、いますよ...
「にゃんたまの日」制定まだ? “たまたま”の尊さを広めて称えあおう
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
大人気「韓国ブーケ」とは? 卒業式に映える花束は「お花以上にラッピングが最重要項目」の巻
「JKはラッピングが命だからね!」  猫店長「さぶ」率いる我が愛すべき花屋のバイトスタッフで、めでたく大学進学が決...
近眼と老眼の混合。コンタクトレンズかメガネか、おばさんは迷ってます
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
「安い服でも着こなし上手で尊敬する!」って褒めてるつもり? 悪意ダダもれマウントLINE3選
 人から褒められたら誰でも嬉しいものですよね。でもなかには、褒め言葉のように聞こえて「褒めてるつもり?」と言いたくなるよ...
40代主婦が転職したら20代若手並みの働き方に…正直しんどい現実とは?
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  昨年、40歳にし...
「ヒステリックな人」って何ですか?【調香師が解説】自律神経の乱れやフェロモンを救う血流アップの香り術
 2月は寒さがピークを迎え、自律神経が乱れやすいフェロモンピンチのシーズン。女性は子宮が冷えるとホルモンが乱れ、イライラ...