令和ロマン・高比良くるまが“騒動”で得た「天下を獲る」ために必要な武器

小政りょう ライター
更新日:2025-07-15 11:50
投稿日:2025-07-15 11:50

『M-1』2025会見で判明した、新たなる武器

 M-1グランプリ2025開催記者会見では、深く頭を下げ「御社の劇場に…」(会場は渋谷よしもと漫才劇場)と、さっそく吉本を退所した自身に対する自虐をしたくるまさん。それに対し司会の麒麟・川島明さんは「史上もっともややこしいチャンピオン」と笑顔でいじりました。

 その後、昨年ファイナリスト・真空ジェシカの川北さんがオンラインカジノに言及した際、当事者のくるまさんが「うちの相方いじんな!」と叫び、相方・ケムリさんも「お前だよ!」とツッコミ、会見の中で一番盛り上がった瞬間を演出しました。

 くるまさん自身は、活動休止前とさほど変わっている様子はありませんでしたが、くるまさんに対する周りの空気が若干、和やかになっている雰囲気に見えました。

 騒動前の令和ロマン――特にくるまさんは、バラエティに出演したとしても、その完璧さゆえに、笑いはとるものの、周囲から構えられることが多かったように見えます。よく考えればさほど笑いがなかったり、ちょっとおかしな部分を彼の中に見つけたとしても、強くいじられず「自分の方が間違えているかも」「指摘したら古い人間だと思われる」と感じさせる雰囲気をまとっていたように思えます。

 表立って批判できるのはウエストランドの井口さんや鬼越トマホークなど毒舌を売りにしている芸人さんくらい。昨今のテレビの優しい雰囲気も、悪い方に作用をしていたはずです。「テレビは、基本的には出ない」「苦手なテレビマンのブラックリストを作っている」などという発言を堂々と言える怖さもありました。

 ただ、番組ではうまく立ち回り、先輩の懐にも入り、同世代ともうまくやる器用さがある。視聴者側から見ても、バラエティの枠の中でどんな位置づけでこの人を見たらいいのかの判断が難しい部分があったのではないでしょうか。

完ぺきな芸人より、スキのある芸人が好かれる?

 舞台の上の芸人さんは、この上なくカッコいいです。自身でネタを考え、演じ、時には身を削りながら、多くの人を笑顔にする。誰もが尊敬して然るべき存在です。しかし、テレビのバラエティに出る芸人さんは、どこか等身大で安心できる存在の方がいい。

 同情できる部分や、スキがあって、ちょっと「バカだなあ」感がある人のほうが、わたしたちのような一般視聴者は素直に笑うことができます。復帰前の完ぺきなくるまさんは、すごい人だと感心しながらもそんな雰囲気を感じることがほとんどできませんでした。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ
【写真特集】倖田來未の美し過ぎるバスト♡ギリギリショット5連発
【この写真の本文に戻る⇒】40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くな...
2025年「冬ドラマ」を調査! 独走状態の『ホットスポット』、疲れた大人世代に『御上先生』は難しかったか
 2025年1月よりスタートした冬ドラマ。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマがあった一方で、期待されていたものの視聴率が振...
【おむすびにモヤっと】一瞬の表情で孤独をにじませる歩。最後の最後でヒロイン逆転!?
 結(橋本環奈)は大腸がんで入院している患者・丸尾(細川岳)を担当し、食欲不振の対応に苦慮する。  一方、歩(仲里...
桧山珠美 2025-03-26 17:20 エンタメ