天下を獲るために必要なのは「負け顔」
野田クリスタルさんのような“筋肉バカ”、粗品さんのような“ギャンブル狂”のような変人を印象付けることで「バカだなあ」感を出している芸人さんもいますが、大意はどちらかというと、「負け顔ができる芸人」ということです。
かつての『アメトーーク』(テレビ朝日系)でかまいたちの濱家さんも「東京で必要なのは負け顔と泣き顔」と、『しくじり先生』(テレビ朝日系)で堀江貴文さんも「ずっと活躍してる人っていうのは、適度に負け顔を見せてます」と、訴えていました。くるまさんも、知識が深く頭もいいですから、そういう部分はちゃんと出すように意識していたと思います。
「1浪している、中退している」「アルバイトが続かない」「(お坊ちゃんのケムリと違い)自分は一般家庭」などという部分を話したり、とぼけたり、オタクっぽい部分を出したりしてはいましたが、経歴と実績の印象が邪魔をし、また分析好きで頭がいい分、「話術として自らを下げている」ようにしか思えず、「バカだなあ」と思えるまでには至っていませんでした。
ただ、このオンラインカジノ問題や、謹慎、契約解除があったことで、くるまさんを「バカだなあ」と、多くの人が素直に感じられるようになったと思います。同情、共感を経てやっと等身大に思えるようになった。この不幸は、くるまさんに対して嫉妬し、いけすかないと思いながらも、吐き出せない人たちのガス抜きにもなりました。
なにより、周りの芸人たちがリスクなくいじれるネタができたというのが一番でしょう。反社の資金源になっているという点は問題ですが、オンラインカジノという、被害者がわかりにくいというのも、他の失敗より印象のダメージは少なかった。
つまり、このオンラインカジノ騒動は、けがの功名でくるまさんにとって今後メリットにしかつながらないような経験に思えるのです。
より最強になった高比良くるま
7月7日放送の『耳の穴かっぽじっけ聞け!』(テレビ朝日系)にて、NSCで講師をしている作家・桝本壮志氏が「化けた」と思う芸人ベスト3としてくるまさんの名前をあげ、NSC在学中の問題児っぷりをコメントで語っていましたが、井口さんが「(今と)かわってない」というほど知的な問題児っぷりは健在です。まっすぐで、型にはまらない動きっぷりやその実力は、フリーの方が名実ともに合っています。
「自由」と「しくじり」を手に入れた高比良くるまさんはもう無敵です。今後、さらにどんな動きをするのか、活躍していくのがとても楽しみでなりません。
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