NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

更新日:2025-08-10 17:03
投稿日:2025-08-10 17:00

 今年の8月は戦後80年ということで、テレビ各局も戦争特別番組に力が入っている。見逃せないドラマやドキュメンタリーを探した。

 NHKで注目は「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」(16、17日総合午後9時)だ。1941(昭和16)年夏、各界の優秀な頭脳を集めた首相直轄機関「総力戦研究所」が対米戦のシミュレーションをしてみると、結果は日本の壊滅的敗北と出た。猪瀬直樹のノンフィクションをドラマ化したもので、軍部や政府は勝つ見込みがないのを承知で、国民を戦争に引きずり込んでいったのだ。池松壮亮が避戦を主張する若きエリートの苦悩を好演している。

「八月の声を運ぶ男」(13日総合午後10時)は、全国を回って被爆者の声を集め続けたジャーナリスト(本木雅弘)と、ある被爆者(阿部サダヲ)との出会いを描いた。その「声」には大きな謎があった。

 空襲で壊滅した大阪で、復興に立ち上がる町工場の一家の「大阪激流伝」(31日総合午後9時)は、“工場のオヤジ”を演じさせたら日本一似合う堤真一が主役。

 日中・太平洋戦争の映像・資料を多く持つNHKのドキュメンタリーは、やはり出色である。戦争の3年8カ月を1年ごとに追体験していくシリーズの最終回「新・ドキュメント太平洋戦争1945終戦」(15日総合午後7時30分<前編>、10時<後編>)は、敗戦が人々にどれほどの苦難と悲劇をもたらしたか。高細密カラー化された映像は戦争の不条理を強く訴える。

 Eテレの無条件降伏を受け入れるための御前会議を再現した「昭和天皇 終戦への道~外相手帳が語る国際情報戦~」(16日午後11時)、「戦没者の妻たち 長い戦後」(30日午後11時)もおすすめ。

 最近は8月15日の「戦没者追悼式」の生中継でお茶を濁してきた民放も、今年は特番を編成した。テレビ東京系は「池上彰の戦争を考えるSP」を10日正午から、テレビ朝日系も池上彰を起用して「ニュースそうだったのか!!3時間SP」を16日午後6時56分から。

 綾瀬はるかが続けているシリーズ「『戦争』を聞く」の今年は、「なぜ君は戦争に?」(TBS系14日午後10時)だ。アメリカ人にとって原爆投下とは何だったのかを聞く。日本テレビ系は桜井翔をキャスターに「真相報道バンキシャ!特別編“終末時計”を早める世界のトップたち」(15日午後7時)を放送する。

(コラムニスト・海原かみな)

エンタメ 新着一覧


『あんぱん』嵩(北村匠海)に“たっすいがー”の面影はない。のぶへの言葉が胸を打つ「正しい戦争なんか、あるわけがないんだ」
 空襲の焼け野原でひとり佇むのぶ(今田美桜)の前に、嵩(北村匠海)が現れて再会を果たす。釜次(吉田鋼太郎)から事情を聞い...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
国分太一活動休止で消えた「TOKIO再集結」の光…木村拓哉に見せていた別の顔
 6月20日、複数のコンプライアンス違反があったとして、TOKIOの国分太一(50)が無期限の芸能活動休止を表明した。出...
こじらぶ 2025-06-25 07:50 エンタメ
大泉洋こそ“真のモテ男”じゃないか?「かくかくしかじか」の圧倒的な存在感に新たな一面を見た
  先日、いろんな意味で話題の映画「かくかくしかじか」を鑑賞してまいりました。「東京タラレバ娘」や「海月姫」などのヒット...
「あんぱん」のぶ、“落とし前”の付け方はそれでいいのか。次郎役の中島歩はあまりにも素晴らしかった
 終戦から5か月が経ち、国民学校ではGHQの指導のもと軍国主義教育からの転換が図られる。のぶ(今田美桜)は病気が一向に回...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
『バチェラー6』第8話(最終話)を正直レビュー! ラスト予想、当たった人いるの? 制作サイドにまんまと騙されました
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第8話。本編最終回です。小田...
中村未来 2025-07-25 15:23 エンタメ
曽田陵介、FANTASTICS佐藤大樹と“縁”に驚き「青春時代の人が隣にいた!」甘酸っぱい中学生の頃
 2019年に俳優デビューをきっかけにドラマ、映画、舞台とさまざまな作品に出演。そして先ごろ放送を終了した『いつか、ヒー...
望月ふみ 2025-06-23 07:00 エンタメ
【募集】2025春ドラマの感想は? 面白かった&ガッカリを教えて!『対岸の家事』『最後から二番目の恋』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「面白かった」作品や「...
72歳、ザ・ぼんち里見まさとに“若い女子”が熱狂。イケジジブームが来るか? 老害にならずモテる大人の魅力
 去る5月17日フジテレビ系で放送された結成16年以上の漫才師による大会『THE SECOND~漫才トーナメント~・グラ...
「あんぱん」ここがヘンだよ、戦争パート。のぶが夫に駆け寄らないのはなぜだ?
 次郎(中島歩)からの便りに顔を輝かせるのぶ(今田美桜)だったが、それは海軍病院からだった。のぶが不安な気持ちで病室に入...
桧山珠美 2025-06-21 12:55 エンタメ
『バチェラー6』第7話を正直レビュー!石森さんの“事実発覚”に全視聴者が驚いた…。辻󠄀本さんの高度な会話テクにも注目
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。第7話は、クアラルンプールへ久次米...
中村未来 2025-06-21 06:00 エンタメ
『バチェラー6』第6話を正直レビュー!小田美夢の“あまりにあざとい”テクニック。キス連発は最初から決めてた?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第6話。前回のラストで、早朝...
中村未来 2025-06-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」清(二宮和也)は出る出る詐欺じゃなくて一安心。岩男とリンはやっぱり“チリンの鈴”だった
 銃撃された岩男(濱尾ノリタカ)は、嵩(北村匠海)にリンはよくやったと言って息絶える。八木(妻夫木聡)は、リンは親のかた...
桧山珠美 2025-06-19 17:28 エンタメ
『バチェラー6』第5話を正直レビュー。自然体の笑顔をやっと見れた。で、なんで突然キスした?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第5話。もう折り返しなんて早...
中村未来 2025-06-19 06:00 エンタメ
令和ロマンくるま、吉本退所でも絶好調の今。もう一度「M-1」優勝を狙ってみてはどうか
 4月末で吉本興業との契約を終了した令和ロマン高比良くるま。一時期活動休止していたが、5月末には復帰。現在、精力的に活動...
帽子田 2025-06-19 06:00 エンタメ
『バチェラー6』第4話を正直レビュー。石森さんまさかの本命? みんな久次米さんの魅力をもっと伝えて~!
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第4話。ホワイトローズを受け...
中村未来 2025-06-18 06:00 エンタメ
奥平大兼、世間とのギャップに戸惑い「僕のプライベートを見たら驚くと思う」悩んだときの考え方は?
 長澤まさみさんと共演した映画『MOTHER マザー』でのデビューに始まり、映画やドラマで常に心に残る芝居を見せている奥...
望月ふみ 2025-06-18 06:00 エンタメ