花火大会の“有料化”が増えた背景。3万円の高級席も…若者世代は「お金を払って見る」が当たり前?

コクハク編集部
更新日:2025-08-23 11:45
投稿日:2025-08-23 11:45

若い世代は「有料」が当たり前

 冴木氏によれば、初めて全席有料制を導入したのは諏訪湖の花火大会。当時は市民から激しいクレームが寄せられ3年ほど揉めたという。しかし、行政側が押し切って有料制を実現すると、他の花火大会も追従するように有料席が増えていった。

 興味深いのは世代による意識の違いだ。

「昔から花火を見てきた世代は、花火はただで見るものという感覚がありますが、今の若い人は最初から有料席が当たり前なので、花火はお金を出して見るものだと思っているんです」(冴木氏)

 一方、花火大会には常にリスクが伴う。特に屋外イベントなので天候の影響は大きい。日経ビジネスの記事によると、足立区の花火大会は2年連続で悪天候により中止となり、有料席や屋形船の払い戻しによる損失は約4000万円に上った。

 しかし、「興行中止保険」に加入していたおかげで、損失の約1割に当たる約400万円を補填できたという。割合は規模や内容に応じて話し合いながら契約内容を決めるケースがほとんどさそうで、当然、リターン額が多いほど保険料も増えるはずだ。

「たった1日のイベントに数百万円もの保険料がかかるため、加入しない主催者も多いんです」(冴木氏)

巨額の予算と高いリスク

 保証されなかった分は当然、主催者が負担することになる。なお、中止によって使われなかった花火は使い回すことができないので、その分の損失も計上されることになるそうだ。

 8月4日に横浜で発生した花火大会での火災事故のように危険とも隣り合わせだ。もし、観客に怪我人でも出ていたら、その損失規模は計り知れない。

「花火は火薬を扱う以上、100%安全ということはありません。ブームの加熱しすぎには主催者側、観客、それぞれに注意が必要です」

 夏の風物詩として多くの人に愛される花火大会の舞台裏では巨額の予算と高いリスクが共存しているようだ。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


酒飲みは要注意! 厄介客の情報は共有される…。恐るべし、スナックママ達の深夜集会
「本当は内緒にしてって言われてるんだけど…」から始まる会話、女性ならほぼ100%したことありますね。もちろん同じ会話がス...
女の子ママが心底めんどくさい!と思う5つの瞬間。子の性別によって親の悩みも変わります
 子どもの性別によって親の悩みも変わるもの。とくに女の子をもつママは、ママ友や同性という親子関係の中で「めんどくさい」と...
にゃんたま島に春が来た♡ 桃の花の“玉座”に降臨する「たまたま」様
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ドン引きした卒業式での非常識エピ5選。赤ちゃんが終始ギャン泣きで…感動シーンが台無しに
 卒業式は門出。本来なら感動シーンですが、非常識な人の言動によってぶち壊された卒業式もあるようです。いったいなにが起きた...
「マーガレット」はズボラ初心者でも簡単! 元気な花を見ると不思議な力が…認知症の母もお世話になった
 合格祝いと卒業祝い、加えてお彼岸と、お花の需要が爆上がりシーズンは仕入れ価格も爆上がりw。身体もお金も忙しいお花屋の3...
デキる系おじ様vsキャリア系女子、我が街のポンコツ商店会にも今どきな人間模様が…!
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
「カリカリしちゃダメよぅ」と絡まれた中年男に再び遭遇。男性の“更年期障害”ってどんな感じ?
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
いい加減、夫に卒業してほしいこと5選。妻たちの切実な叫びを聞いてくれ
 幼稚園や学校を卒業する我が子の姿に、頼もしさや達成感、そしてちょっと寂しさを感じている女性は多いのではないでしょうか。...
女性が営業職を続けるのは無理かもしれない…。がっつりフルで働いて痛感する“令和の働き方”とは?
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  今回は仕事の話。...
気を遣いすぎる人の特徴と疲れたときの対処法4つ。自分の心のケアと雑さも大事に
 必要以上に周りの人の顔色をうかがってしまったり、気を遣いすぎて八方美人になってしまったりして、ぐったりしてしまうという...
素敵な女性はいい香りがする!【調香師が解説】フェロモンジャッジで分かる“パワーアロマ”は何?
 年度末を迎えるこの時期は、生活をリセットして新たな気持ちでスタートしている人も多いのではないでしょうか。  今回...
高い所にマーキングするニャン! “たまたま”の二足歩行にドキッ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「保育園の洗礼」の乗り越え方5つ。しんどい働くママ、職場復帰したけど全然仕事に行けないよ~!
 本格的な春が近づき、「いよいよ育休を終えて職場復帰!」と気合いを入れる40代も多い時期ですよね。でも、復帰直後に襲って...
ホトケノザのカーペット
 一冬越した畑は紫色の染まっていた。  春の七草のひとつ「ホトケノザ」が一面に咲き誇り、ピリッと冷えた空気に春を告...
【女偏漢字探し】「暖」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
心が折れた無神経LINE3選 遅刻常習犯がデフォ主張「そろそろ慣れて」ってひどすぎん?
 一生懸命努力していたのに、小さなきっかけで心が折れた経験は誰しもあるはず。とくにLINEで軽やかに送られてくる空気を読...