俳優・小説家の中江有里さんは大の阪神ファン「一度でいいからタイガースの試合で始球式を」

更新日:2025-08-25 17:03
投稿日:2025-08-25 17:00

【死ぬまでにやりたいこれだけのこと】

 中江有里さん(俳優・小説家/51歳)

 今秋、26年ぶりの主演映画が公開になる中江有里さん。死ぬまでにやりたいことは、どちらも大好きな本と阪神タイガースを応援することだという。

  ◇  ◇  ◇

 死ぬまでにやりたいことは仕事とプライベートで1つずつあります。仕事は読書に関したことで、出版界を盛り上げていきたいんです。

 私は子どもの頃から本が好きで、「週刊ブックレビュー」(NHK)でMCをやらせていただき、書評のお仕事や自分でも小説を書いてきました。私自身、本に救われてきたので、「読書のよさ」を伝えていく活動は死ぬまで続けていきたいと考えています。

 今回の芥川賞、直木賞が27年ぶりに受賞者が出なかったことがニュースになりましたが、文学に関することがニュースになるなんて、今はほとんどないですよね。それに「本は部屋にたまって困る」と言う方もいます。私も本棚に本が増えて管理は大変なんです(笑)。

 例えばマンガは電子書籍が多く読まれていますし、電子で本が売れることはいいと思うんです。でも、私はやっぱり紙の本が好きですね。日本は本の個性といいますか、装丁を含めて造本にこだわりの強い本が多いと思うんです。書かれている中身の価値だけではなくて、外見も含めて価値のあるものが本ですし、そこに引かれる読者も多い。だから、外見も含めた価値を高める努力をしなければと感じています。

「この本いいよ」と人に言われても読んでみないとわからない。でも、装丁や造本は見て、手に取れば伝わるものがある。中身とリンクしていますから。それと、今は本以外に娯楽や趣味がメチャクチャ多い。ある意味、時間の奪い合いになっています。その中で、本はアナログなところがいいんです。ゲーム機も充電の必要もなく、明かりさえあれば楽しめる。

「タイパやコスパと言われる時代で、なぜ読書を娯楽に選ぶのか」と聞かれそうですが、私からすれば読書ほどコスパが素晴らしいものはないんです。「映画なら2時間で終わってしまうけど、本なら1週間楽しめますよ」と言いたいです。ひとつの作品で長く楽しめる。だからタイパもコスパもいいという考え方なんです。私が読書を勧める理由のひとつに、自分のペースを守れることがあります。私は子どもの頃から内向的でしたが、ひとりで過ごすのが苦ではなかった。それは読書が好きだったから。デビュー後も控室でいろんな俳優さんとご一緒する機会がありましたが、自分の居場所がない時はひとりで本を読んでいました。本を読むことに支えられてきましたから。これからもそんな読書の大切さを伝えていきたいと思います。

2年前の腎臓腫瘍の手術の時は阪神の勝利が支えに

 プライベートではプロ野球が好きで、阪神タイガースのファンです。球場での観戦中の画像をよくSNSにのせています。でも、プロ野球好きになったのは大人になってからなんです。デビューしたのが高校生でしたから仕事と学校とでいっぱいいっぱいで、何かにハマるという余裕もなく過ごしていました。

 でも、大人になってから野球好きに。勝った負けたで、こんなに毎日心が揺さぶられることがあるってすごいと思うんですよ。阪神が大好きになったのは、ボロ負けしていたのに3位になったシーズン。「こんなに負けているからもうダメだな」と思っていたのに追い上げて追い上げて3位になり、「すごいチームだな」と。

 2年前に腎臓の腫瘍が破裂して緊急手術をしたんです。阪神が優勝した年で、何度か球場に足を運んでいましたが、ある日突然、部屋で倒れてしまいました。入院中はテレビで野球を見られる体調ではなかったのですが、毎日のように阪神が勝っていることが私の唯一の支えでした。阪神の連勝のおかげでつらい入院生活を乗り切れたんです。

 退院後、また甲子園に行くようになり、リーグ優勝した試合も観戦していました(9月14日、対巨人戦)。その日は最短で優勝できると言われていた試合。最短て、あまり可能性が高くないのに偶然胴上げの場に居合わせることができ、これは生涯にわたって語り継げると思っています(笑)。

 そこで私のやりたいことは一回でいいので、阪神の試合で始球式をやってみたい。でも、野球の経験がまったくなく、うまく投げる自信がないです。

「始球式をやりたい」と初めて公言したので、来シーズンに始球式のお話が来ることを願って、今から特訓しようと思います。まったく届かず、ボテボテじゃ困りますものね(笑)。

 それと、今年の目標は阪神の優勝時に球場で観戦すること。東京暮らしなので仕事で関西に行く機会じゃないと甲子園には行けませんが、阪神が遠征で来ている試合はできるだけ行っています。ただ、9月はチケット争奪戦でなかなか取れなくて。みんな優勝が決まりそうな試合を狙っているのかなあ(笑)。私も居合わせたいので、できるだけ見に行きます。

26年ぶりの主演映画「道草キッチン」が今秋全国公開!

 秋に26年ぶりの主演映画が公開になります。26年前より体力が落ちていて、身体的にはキツかったですが、お芝居は楽しいなとあらためて感じ、死ぬまで続けたいと思いました。そのためにも健康でいたい。2年前に倒れてから、ちょっとでも体調が悪いと怖くてすぐ病院に行っています。私より先輩でまだまだパワフルな女優さんがいらっしゃるので、負けないように頑張りたいと思います。

(聞き手=松野大介)

▽中江有里(なかえ・ゆり) 1973年12月、大阪府出身。89年に芸能界デビュー。俳優、歌手、文筆家として活躍。26年ぶりの主演映画「道草キッチン」(白羽弥仁監督)が今秋、全国公開。

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