効いてくれよ、スタバ1杯分! 更年期女がすがる心のお守り。すべてはプラシーボ効果と気づいても

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-10-08 11:45
投稿日:2025-10-08 11:45

あれ? 体が軽くなった?

 更年期鬱らしき症状を感じて、婦人科で対処してもらってから2週間後。また心にモヤモヤとした霧がかかった状態が襲ってきた。かあああ! 仕方なくまた婦人科に行くと、現在の私の体調に処方できる薬はすべて出していると言われる。

「…あれ、プラセンタ注射、受けました? まだ断定はできないですけど、ひょっとしたら注射が効いたのかもしれませんね。継続してみてはどうでしょう」

 そうなのかと、また注射をして帰宅した。よく考えると体調不良の患者に、治療方法の是非を聞かれても正しい判断ができるとは思い難い。地元在住の81歳の父が通院に必ず母を付き添わせている様子に「甘えるな!」と何度も怒ったが、今なら気持ちを多少理解できるかもしれない。で、その後。プラセンタ注射は麻薬ではないので、打った当日に効果が出てくるわけではない。ただ翌日あたりから体調が落ち着いて、早朝ウォーキングにも行く力が湧いてきた。そんな自分を確認しながら「あれ? プラセンタ、効いているのか」と立ち上がる。以来、自宅から婦人科は若干遠いので、徒歩圏内のペインクリニックで週に一回くらいのペースで打っている。

 一連を振り返ると、更年期における対症療法とはすべてプラシーボ効果に相当しているように思う。そもそも更年期障害は病気というより、単なる加齢現象。女性全員が感じるわけでもない。私も「あれ? ひょっとしてこれ更年期か?」と感じただけであって、自称・更年期女性と言われても不思議ではない。いや、これは強がりか? なので最近、注射をするときは「効いてくれよ〜、アンタ、一発500円もするんだからな〜。スタバ行ったら一杯飲めるんだからな〜」と願う。「おし! 元気になった!」と、注射後は麻薬も驚くスピードで効いていると、自分を鼓舞している。いつまでも打つものではない、今だけ、今だけ。単に心のお守りだ。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


【ルポ】顔出し告白!ギャラ飲みで稼いだお金は「テニミュ」の推し活にぶっ込む26歳キラキラ女子
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
40代、あちこち不調が…老いを痛感した9つの瞬間、頭の感覚と体が連動しない
 40代になって、一気に体の不調が増えた人は多いはず。見た目が若くても、やはり加齢による体の変化はごまかせません。今回は...
冬の色の街で
 生ビールの文字が呼んでいる。  まだ早いかな?  もういいか。  
美人に使われる女ことば「柳眉倒豎」って読めますか?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
子どもが「メイクしたい」と言い出したら? 知っておきたいリスクとコスメ選びのコツ
 もし自分の子どもが「メイクしたい」と言い出したら、あなたはどうしますか? 自分のコスメを使ってメイクしてあげようと思っ...
会話泥棒はLINEでも絶好調だった3種。「私も、昔…」で流れを根こそぎ持っていく
 人の話を遮って自分の話にすり替える“会話泥棒”、あなたの身近にもいるのではないでしょうか? 承認欲求が強い人や、目立ち...
モーニング食べたら食パン1斤!? 勝負の2025年、心に刻む「岐阜のサービス精神」
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きな...
返信に困る…体調不良自慢LINE3選。体温計の写メ付きで頑張るオレの猛アピール
 あなたの周りにいませんか? 体調不良のLINEにを自慢のニュアンスがある人…。心配されたいアピールが強めの人や、「私の...
ゾゾッ 真冬のスナック怪談。誰もいない店に足音が…ママの「強烈な一言」で霊も退散!?
 いよいよ来週はクリスマス、それが終われば年末ですね。みなさんが目にするコンテンツもロマンチックなものが増えているのでは...
40代の救世主か!?「美的GRAND」付録が私達の悩みを分かりすぎで困る
 40代からのネオ・エイジングマガジン「美的GRAND」は、付録も40代がど真ん中でヒットするアイテムばかりです。 ...
今しか聞けない子供の可愛い言い訳8選。胸がキュンキュンしてまうやろー
 子育てをしていると子供の言い訳を微笑ましく感じる瞬間があります。今回は、定番セリフやほっこり系、しんみりするものなど、...
買って失敗!ダイソー詰め替え容器の“天国と地獄”。オイルやシャントリ、小分けするのにベストな商品は?
 髪の毛用にボディマッサージ用に何かとオイルが手放せない乾燥肌の40代編集部員です。2、3種類をオイルを用途や気分に合わ...
忘年会キャンセル界隈に立ちはだかる壁。飲み会回避に使える理由6選
 12月も中旬に差し掛かり、もう年末も目の前。冬休みを目前にワクワクしている人も多いと思いますが、ちょっと待って。社会人...
今さら聞けないホテル&旅館でのNG行動5つ。テレビをつけたまま外出はありorなし?
 年末年始、家族や友人と旅行に出かける人もいるでしょう。でも意外に知られていないNG行動をしてしまい、旅館やホテルから嫌...
道路の真ん中が特等席! 宮城県・田代島の自由気まま“たまたま”に憧れる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
赤いガーベラ1本400円買える? “赤除外”で楽しむクリスマスフラワーを花屋店主が提案
 お歳暮とクリスマスと正月…お花の市場もごった煮のおかしな状態になっています。年中行事に敏感な花業界に身を置くワタクシで...