夫婦の間に横たわる“帰省問題”
「結婚して家族が増えたと思ったら、“上司”ができてただけだった」
そうぼやいたのは、私の友人・アヤ(30歳・Webデザイナー)だ。穏やかで誰とでも柔らかく接するタイプの彼女がため息をついたのは、結婚2年目の夏のことだった。きっかけは、ただの“帰省”だったという。
アヤと夫・リョウ(33歳・メーカー勤務)は共働き。年に数回だけそれぞれの実家に帰るのが恒例だった。
「お盆、私の実家に帰ってもいい?」とアヤが言うと、夫は「母さんが“うちに来てね”って言ってたんだよね」と返した。
「でも、去年もお義母さんの家に行ったよ?」
そう伝えると、夫は「母さんも楽しみにしてるし、親孝行したいし」と言う。
その言い方が“俺は悪くない”という逃げに聞こえ、アヤは胸の奥がモヤモヤした。結局、お盆は夫の実家で過ごすことに。
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「うちが一番」に隠されたマウント
義実家に着くなり、姑が満面の笑みで出迎えた。
「よく来たわね~。リョウも“うちに来るのが一番”って言ってたのよ」
その一言に、アヤは苦笑いを浮かべた。“うちが一番”は、「嫁の実家より自分の家が上」という意味に聞こえた。滞在中も姑は張り合ってくる。
「あなたの実家は帰らないの? でも嫁に来た以上、こっちが筋よね」
アヤが何か言うより早く、夫がフォローする。
「母さんも悪気ないんだよ。ただ、孫の顔を見たいだけでさ」
――“中立を装った姑寄り”。アヤの中でそんな言葉が浮かんだ。
夕食の準備も姑主導だった。
「アヤさん、こっちの味付け覚えてね。リョウが好きなのは“うちの味”だから」
夫は横でテレビを見ながら「母さんの煮物、最強だな」と呑気に言う。
(結婚して“家族”が増えたんじゃなく、“上司”が増えただけ)
アヤはそう思った。義母が方針を決め、夫が中継し、自分は実務をこなす――まるで家庭という職場の下っ端のようだった。
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