萩本欽一がノーギャラでもテレビをやりたかった理由…“欽ちゃん”に再び光を

更新日:2025-10-11 15:08
投稿日:2025-10-11 15:05

【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】

 欽ちゃんこと萩本欽一(84)の新番組「9階のハギモトさん!」が7日からスタートした。

 毎週火・水・木の午前5時26分から4分間のショート番組で、内容は欽ちゃん次第で変わっていくという。スポンサーなしで出演料もないそうだ。BS日テレの早朝番組だから予算はほとんどかけられず、局アナの杉原凜(28)とのトークが中心になるという。

 欽ちゃんといえば、故・坂上二郎さんとのコンビ「コント55号」で超売れっ子となり、ソロ活動では民放全局のゴールデンタイムにレギュラーを持つまでになった。テレビのひとつの時代を築いたプロ中のプロで、齢80代半ばになっても「何かテレビで表現したい」という思いで行動を起こしたはず。ただ可能だったのがこの時間帯(普段はテレビショッピング)だったのだろう。

 人気絶頂の時に欽ちゃん主催の業界人向けパーティーがあり、各局のワイドショーが取材に行った。その時、壇上で欽ちゃんが「これはテレビでは放送できないから、よろしくね」と、珍しく“下ネタ”を披露した。もちろん笑いはとったが、僕たちはこの部分をカットして放送した。

 ところが、TBSワイドショーだけがそのまま放送してしまったのだ。当時の欽ちゃんはチャリティー番組の司会も担当しており、「いい人キャラ」でいなくてはならない。だからこそコント55号時代のような“毒舌”をまじえた笑いを封印していたし、「テレビでは無理」とクギを刺したのだが、それを無視され怒ってしまった。それまでもメディア取材はほとんど受けなかったが、以降はまったく受け付けなくなってしまったのだ。

 僕は後年、70歳近い欽ちゃんと関西の番組でご一緒したことがある。一切取材を受けなかった欽ちゃんも、その頃はインタビューで私生活を語る場面も増えていた。ちょうど欽ちゃんの隣に座らせてもらったので、収録前にご挨拶した上で、「24時間テレビ」がスタートした時のエピソードを紹介させてもらった。当時、新聞記者だった自分は欽ちゃんに密着していたのだが、スタジオとスタジオの移動中、(スタッフ用の)布団部屋の横を通りかかるとそのまま布団に体を突っ込んで寝息を立てていた。しかし、2、3分で起き上がって仕事を続けていた。欽ちゃんは「そういうこともあったかなあ。よく覚えていたね」と笑ってくれた。やはり「いい人」に変わりはなかった。

 新番組のコンセプトは〈誰かをほめたり、ほめられたりする新しいテレビ〉だという。彼は自分でつくり出した“欽ちゃん”という架空のキャラにテレビの世界でもう一度、脚光を浴びさせてあげたいのだろう。いい人キャラで再びテレビに新しい風を吹かせてほしい。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


【芸能クイズ】松本人志が福山雅治と「HEY!HEY!HEY!」で作った“オリジナル料理”の名前は?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
「あんぱん」羽多子らの“あの言葉”にあんぐり…のぶも感動してる場合か。落語家の年齢も気になる
 嵩(北村匠海)は「まんが教室」という番組に出演してほしいという健太郎(高橋文哉)の頼みをしぶしぶ承諾する。そして第1回...
桧山珠美 2025-08-28 15:06 エンタメ
「あんぱん」のぶ、議員のコネ入社なのに“クビ”の謎。急成長したアキラ君と老けないオトナ達に酔いそう…
 嵩(北村匠海)が書いた詞にたくや(大森元貴)がメロディーをつけて生まれた「手のひらを太陽に」は、「みんなのうた」でも紹...
桧山珠美 2025-08-28 15:06 エンタメ
スキャンダル続出の花田優一、美女にモテまくるのは何故? 不誠実男に学ぶ「悪名は無名に勝る」メリット
 元横綱・貴乃花光司と元フジテレビアナ・花田景子を両親に持つ“親の十四光り”の花田優一。  現在、元テレビ東京アナ...
堺屋大地 2025-08-17 11:45 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)と蘭子(河合優実)、“何か”が始まっちゃう? 嵩は作詞能力をいつ見抜かれたのか
 舞台公演は成功裏に幕を閉じる。数日後、なぜかぼんやりした様子の嵩(北村匠海)。そこに、また一緒に楽しい仕事をしようとた...
桧山珠美 2025-09-04 12:26 エンタメ
カズレーザー、山里亮太…芸人はなぜモテる? 業界人が分析する「メロい」現象が起こりやすい納得の理由
 カズレーザーさんと女優の二階堂ふみさんが結婚した。週刊誌にも撮られなかったどころか、噂すらなかったので世間はびっくり&...
帽子田 2025-08-15 11:45 エンタメ
島崎遥香31歳、40代を迎えても「幸せの更新」方法は変わらない。カテゴライズせず“ぱるる”として生きていく
 昨年、初めての著書『ぱるるのおひとりさま論』(大和書房)を出版するなど、このところ「ひとりが好き」「結婚願望はナシ」と...
望月ふみ 2025-08-14 11:45 エンタメ
ドラマ『しあわせな結婚』の奇妙な違和感。松たか子らの“ちぐはぐさ”は計算どおりなのか?
『光る君へ』『ふたりっ子』『大恋愛』などで知られるベテラン脚本家・大石静さんの完全オリジナル作品として、夏ドラマの中でも...
「あんぱん」六原永輔=永六輔の“言葉”に違和感が…。いせたくや(大森元貴)らの記憶力も凄すぎる
 のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)は互いに隠していたことを打ち明け、新たに前を向く。それから7年の歳月が流れ――、未だ漫...
桧山珠美 2025-08-13 18:06 エンタメ
【芸能クイズ】ヒントは有名コンビ!「佐藤嘉彦・粋子」が本名な芸人は誰でしょう?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
空前のオカルトブーム! 大人も楽しめる「夏のホラーアニメ」3選。平成の“トラウマ級”作品が令和にリメイク
 近年、小説や映画を中心に巻き起こっているホラーブーム。Web記事から単行本化された小説を原作とし大ヒット映画となった「...
ヒカキンは本当に“聖人”だったのか? 炎上騒動で見えたトップYouTuberの人間くささ
 日本を代表するYouTuber・HIKAKIN(以下、ヒカキン)が、パクリ動画を公開したことで炎上しました。  ...
堺屋大地 2025-08-14 10:37 エンタメ
「あんぱん」のぶの不器用設定はどこへ? ボツ原稿を持ち歩く嵩…まだまだあるクエスチョン
 独立した嵩(北村匠海)は独創漫画派という集団に所属し、そこで割り振られた仕事をこなしていた。だが、決して順調とは言えな...
桧山珠美 2025-08-11 17:03 エンタメ
キンプリ岩橋玄樹、A.B.C-Z戸塚祥太ら夏の深夜ドラマ、極上イケメン4選。“フェミ男”の二世息子も俳優デビュー
 常夏の国、ジャパン 日本列島沸騰中です! 連日、熱中症警戒アラートが発令し、無駄な外出はしないようにと呼びかけます。コ...
1位の道枝駿佑を抜いた!2025年上半期「国宝級イケメン」を検索数でランキング。最も調べられた日の出来事は
 7月15日、「ViVi国宝級イケメンランキング 2025年上半期」(以下、「ViViランキング」)が発表されました。N...
こじらぶ 2025-08-10 11:45 エンタメ
「あんぱん」手嶌治虫(眞栄田郷敦)と運命の出会い…だけど。“靴紐”シーンは何かの伏線なの?
 嵩(北村匠海)はカフェで打ち合わせをしていた手嶌治虫(眞栄田郷敦)に声をかけられる。いたたまれない気持ちで会社に戻った...
桧山珠美 2025-08-09 10:38 エンタメ