『大脱出3』が示した“地上波じゃ絶対無理”なお笑いの可能性。攻めたバラエティの生存戦略とは

小政りょう ライター
更新日:2025-10-26 11:45
投稿日:2025-10-26 11:45

『水曜日のダウンタウン』などを手掛ける藤井健太郎氏が企画・演出・プロデューサーを務めた『大脱出3』がDMMの総合動画配信サービス・DMM TVで9月3日から順次公開され、10月1日に大好評のうちに最終話が配信されました。

『大脱出3』は、安田大サーカス・クロちゃんらが出演する人気シリーズ第3弾。極限状態に置かれた芸人たちの爆笑の奮闘ぶりは今回も変わらずで、最後まで目が離せないものになっています。(※以下、一部ネタバレを含みます)

【関連記事】お受験界隈が「神回」と絶賛。藤本美貴、澤部ら芸能人はなぜ私立を目指す?『しくじり先生』で語られた“二世”息子の壮絶エピソード

バラエティの概念を覆す『大脱出』シリーズ

 第1シーズンとなる『大脱出』では山深い田舎の土の中、『大脱出2』では無人島の砂浜に埋められたクロちゃん。今回の新作でも、壁に顔だけ出した状態で埋まり、しかもお尻が出た状態(?)で拘束されていました。

 並行して繰り広げられているのが、謎の白い部屋に閉じ込められた芸人たちの謎解きゲーム。さらば青春の光の二人、みなみかわ&きしたかの高野ペア、ウエストランド井口&お見送り芸人しんいちペア、岡野&トム・ブラウンみちおペアが、各部屋ごとに出された難題に挑戦し、クリアに向けて頭を悩ませます。果たしてそれぞれの部屋から脱出し、クロちゃんを救出して、全員脱出ができるのか…? 

 ゲーム性もさることながら、何十時間も拘束され、極限状態に置かれた人間の壊れゆく様と、露わになる本能と狂気がこのシリーズの見どころです。特に第1弾ではよくある謎解きバラエティの概念を覆したパワープレイは爆笑必至でした。

どんな常識や価値観も無効化される

 今回は、参加芸人たちも3回目となり、だいぶ慣れたのか、チームワークも強まり(特に井口&しんいちペアは、2よりも親密度が高く、ある意味萌えポイントに)、難題を要領よくこなせているように見受けられました。

 それでも閉鎖的な環境で気がおかしくなるのか、後半になるにつれその狂気性はエスカレート。正気では考えられない常識外れの行動が連発します。結末の絵面は決して綺麗ではありませんでしたが、前作・前々作にはなかった深いテーマ性を感じさせるものとなっていました。

 人間の自由への欲望の前では、どんな常識や価値観も無効化されるということを筆者は学びました。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」最終回。半年間、2人を見守ってきた視聴者にはグッとくる場面…ま、終わりよければすべてよし!
 のぶ(今田美桜)の病室に着いた嵩(北村匠海)は、にっこり笑うのぶの姿に胸がいっぱいになる。その後退院したのぶは、嵩に自...
桧山珠美 2025-09-27 15:10 エンタメ
timeleszの演出に賛否…中島健人ら初期メンバーの歌声に込められた真意。“8人体制”はどう継承していく?
 9月15日、timeleszがファンミーティング「timelesz SUPER FAMeeting~また夏が終わってい...
こじらぶ 2025-09-27 11:45 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)のプロポーズにキュン! 蘭子(河合優実)のモデルがあの作家なら…無事を祈る
 2年がかりで完成したテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」が放送され、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)をはじめ、それぞ...
桧山珠美 2025-09-27 12:28 エンタメ
スキャンダル無縁!鈴木亮平が初期に演じた「クセ強キャラ」 4選。もっと評価されるべき“異彩を放った”役も
 現在公開中の『劇場版 TOKYO MER ~走る緊急救命室~ 南海ミッション』ではチーフドクターの喜多見幸太役を演じて...
zash 2025-09-25 11:45 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンマーチの歌詞に込めた思い。千尋(中沢元紀)や寛先生(竹野内豊)の写真にホロリ…
 ある日、アンパンマンをテレビアニメ化したいとテレビプロデューサーの武山(前原滉)が訪ねてくる。だが嵩(北村匠海)は、ア...
桧山珠美 2025-09-25 15:44 エンタメ
【芸能クイズ】「畑芽育」を正しく読める? 他にもいる、実は“常用漢字外”の読み方をする芸能人は誰?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
「あんぱん」石橋蓮司の“なりきりアンパンマン”が見れるとは! 登美子(松嶋菜々子)は毒親返上か
 のぶ(今田美桜)が撮ったミュージカルの写真を見ていた嵩(北村匠海)は、こっそり来ていた登美子(松嶋菜々子)が写った写真...
桧山珠美 2025-09-22 16:22 エンタメ
「あんぱん」嵩とヤムさんの再会にグッときた。でも顔をよく見たら…気になった“余計な”こと
 客席はたくさんの子どもたちで埋まり、その様子をカメラに収めるのぶ(今田美桜)。ミュージカルが終了すると、会場は大きな拍...
桧山珠美 2025-09-20 11:47 エンタメ
「あんぱん」のぶの“お手柄”総決算の回。ヤムさん(阿部サダヲ)と蘭子(河合優実)の繋がりは“前世”からの縁なのか?
 のぶ(今田美桜)は草吉(阿部サダヲ)にあんぱんを焼いてほしいと頭を下げるが、断られてしまう。蘭子(河合優実)からこのま...
桧山珠美 2025-09-18 17:16 エンタメ
加藤清史郎の“奇跡の成長”を「放送局占拠」で見た。寺田心ら子役出身者がイケメンになっている件
 加藤清史郎くんのイケメンぶりには目を見張るものがあります。現在、櫻井翔主演「放送局占拠」(日本テレビ)に出演しています...
『あんぱん』担当編集者の“セリフ”にモヤッ…。そしてメイコはまた歌うのだろうか
 ようやく世に出た絵本『あんぱんまん』は売れないままだった。それでものぶ(今田美桜)は、子どもたちに読み聞かせを続ける。...
桧山珠美 2025-10-06 16:33 エンタメ
Snow Manの1人勝ちに歯止めをかけるか?timeleszとSixTONES、激化する“2番手争い”の行方
 嵐の活動休止以降、長らくSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所/以下SE社)は様々な指標でSno...
こじらぶ 2025-09-15 11:45 エンタメ
横浜流星が“レア動画”に降臨!でも…あれっ? 大河ドラマで「国民的俳優」となった代償か
 今年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に主演し、興行収入120億円を突破して歴代実写邦画2位となった映画『国宝...
堺屋大地 2025-09-14 11:45 エンタメ
『あんぱん』津田健次郎に演技賞を差し上げたい。東海林の“最後”が完璧だった。ひとつだけ残念だったこと
 東海林(津田健次郎)の訪問からほどなくして、琴子(鳴海唯)から手紙が届く。そこには東海林が上京した本当の理由が書かれて...
桧山珠美 2025-09-13 11:30 エンタメ
『有吉の壁』ブーム期待も…人気キャラの“展開”に冷めた視線。番組の過剰な介入で萎えるファンの複雑心理
 日本テレビ・水曜7時からの人気番組『有吉の壁』(日本テレビ系)。なんとこの10月でレギュラー放送開始から5年半を越える...
『あんぱん』お色気や国民的アニメの時代、のぶの行為に子供は喜べるのだろうか
 のぶ(今田美桜)は八木(妻夫木聡)の会社で子どもたちに『あんぱんまん』の読み聞かせをすることに。だが、子どもたちは興味...
桧山珠美 2025-09-13 11:30 エンタメ