NHK朝ドラ「ばけばけ」は予想を覆して大ばけする可能性

更新日:2025-10-16 17:03
投稿日:2025-10-16 17:00

【芸能界クロスロード】

 秋ドラマが本格的に始まった。まずは朝ドラ「ばけばけ」。明治維新後の時代を舞台に怪談好きの主人公と夫を中心に日常を描くドラマ。歴史上の人物とはいえ、馴染みは薄い。スタート時から画面が「暗い」「朝らしくないテーマ」など批判的な声が続出していた。それでも見る習慣がついている朝ドラ。回を増すごとにじわじわと面白さが見えてきた。「今までにない朝ドラ」と期待に変わってきている。制作はNHK大阪。朝ドラの黒歴史となった「おむすび」の汚名返上に懸けているかのように見える。物語も随所に笑いがちりばめられている朝ドラらしくない演出が秀逸だ。

 主人公・トキを中心にした家族と取り巻く人たちは、「男はつらいよ」の寅さん一家と似たような温かさと、日常の生活から生まれるクスッとした笑いは寅さんで見た一シーンを彷彿させる。特に父親役の岡部たかしは渥美清の寅さんのような立ち位置で存在感を放っている。

 ヒロインは髙石あかり(写真)。橋本環奈や今田美桜と比べるとまだまだ実績や人気は見劣りするが、初めてドラマに取り上げる人物だけに、過去の役のイメージを持たない髙石を起用したのも納得できる。

 ヒロインと共に先の楽しみが持てる今回の朝ドラ。大方の予想を覆し、大ばけの可能性もある。

 民放の秋ドラもスタート。最大の注目はフジテレビ。一本でも視聴率でベストテン入りする番組を作ることが信用回復の第一歩とドラマに力を入れてきた。

 テレビ朝日の「科捜研の女」から鞍替え。“月9”の枠で沢口靖子をお迎えして用意されたドラマが「絶対零度」。「科捜研--」と似たような刑事ドラマだが、大きく違うのは初回から走る沢口が全開。おまけにアクションまで披露した。

 沢口は静のイメージの強い女優。新境地開拓となるか、途中で息切れするか。

 フジの最大の目玉は三谷幸喜が25年ぶりに脚本を手掛けるドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」だ。

 話題性は一番だが、初回視聴率は5.4%。2話は1ポイントダウンした。

「見逃し配信で見る時代とはいえ、三谷ドラマなら8%ぐらいはいくと見込んでいたフジも想定外だった」(テレビ関係者)

 三谷作品といえば演劇界のブランド。初回から昭和の渋谷を再現した圧巻のセット。「懐かしさを覚えた」と見入った中高年もいたが、肝心なのはドラマの中身。三谷らしさよりも、頭に浮かんだのは昨年、ドラマ界の話題を独占した宮藤官九郎の「不適切にもほどがある!」(TBS系)。

 三谷らしい奇をてらった「もしも――」の長いタイトルも、まるで「不適切――」のよう。舞台もクドカンと同じ昭和。必然的にストリップ劇場や喫茶店が出てくる。安アパートにカセットテープなどの小道具も、昭和の「あるある」を随所に見せている。

 誰も真似できない演劇の世界をつくってきた三谷が、クドカンを意識したドラマ作り? 三谷らしさは主演クラスが揃う豪華過ぎる出演者たち。三谷ファミリー大集合だが、あまりに多すぎて「もったいない」、との声も聞かれる。

 最近は三谷映画も興行的にも不発続き。フジと共に三谷自身の巻き返しも含んだようなドラマ。先行きも不安視されるが、「最後まで見て面白さを知るのが三谷作品」ともいわれる。主演の菅田将暉のセリフ「芝居はわからなくていいんです。感じてくれれば」が視聴者に向けた三谷のメッセージかもしれない。

(二田一比古/ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


笑顔がこわい!「ばけばけ」トキ(髙石あかり)の“顔芸”が完璧だった。見どころの一つだと確信した回
 貧乏脱出のため結婚を目指す、トキ(髙石あかり)。しかし、チヨ(倉沢杏菜)とせん(安達木乃)と行った恋占いの結果は一人だ...
桧山珠美 2025-10-06 17:13 エンタメ
自民党総裁選“YouTube討論会“に参戦したひろゆきはオワコンなのか
 自民党総裁選は、高市早苗氏(64)の勝利という結果になったが、ネット界のご意見番のひろゆき(48)が27日、自民党総裁...
2025-10-06 17:03 エンタメ
囁かれていた「Aぇ!group」は「ヤベぇ!group」の悪評判…草間リチャード敬太が公然わいせつ容疑で逮捕の衝撃
 STARTO ENTERTAINMENT(スタート・エンターテイメント)のアイドルグループ「Aぇ!group」の草間リ...
2025-10-06 17:03 エンタメ
自民党はいつまで愛子さんを中ぶらりんにしておくのか…「女性天皇」の議論まったく進まず
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】  新総裁が決まった。その人間がやるべきは物価高対策、賃上げ、党改革といろいろある...
2025-10-05 17:03 エンタメ
NHK朝ドラ“女房もの”はいつも話題になるが…今度の「ばけばけ」は大丈夫?
 著名人の妻がヒロインの「女房もの」は、NHK連続テレビ小説の人気ジャンルとして、すっかり定着した。9月29日から始まっ...
2025-10-05 17:03 エンタメ
平野紫耀らの「脱退発表」から約3年…Number_iとKing&Prince、それぞれの現在地と課題。“二大天然ボケ”不在の影響はあるか?
 2022年11月、King & Prince(以下、キンプリ)から2023年5月をもって平野紫耀(28)、神宮寺勇太(...
こじらぶ 2025-10-05 11:45 エンタメ
前橋市長のラブホ騒動がらみで「長澤まさみ」がトレンド入り! 完全に別人なのに風評被害のお気の毒
 前橋市の小川晶市長(42)が既婚の市幹部職員と公用車でラブホ通いしていた問題で、女優の長澤まさみ(38)がとんだトバッ...
2025-10-04 17:03 エンタメ
参政党さや議員はバブル崩壊後の青短女子OG  小中高は公立、就職氷河期の荒波に揉まれて…
【続・あの有名人の意外な学歴 】#2  さや(参議院議員)   ◇  ◇  ◇  50代以上の世代にとって青山学院...
2025-10-04 17:03 エンタメ
シニア路線のフジ秋ドラマ 菅田将暉「もしがく」は不発…“二の矢”の沢口靖子月9で起死回生の勝算
 10月1日に始まった菅田将暉(32=写真)主演の連ドラ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(フジテレビ...
2025-10-04 17:03 エンタメ
加勢大周や能年玲奈が独立後に“芸名使用トラブル”…ようやく厳正対処される芸能界の悪しき慣習
 政府は30日、芸能人と芸能事務所の契約を巡る不当な慣行を是正し、適正化に向けた指針を公表。独立や移籍をした芸能人のテレ...
2025-10-04 17:03 エンタメ
「DOWNTOWN+」月額1100円に「高い!」と不満広がる…松本人志はネットで活動再開できても地上波復帰は遠い
 11月1日からの運用開始が告知されていた「ダウンタウン」の独自プラットフォーム名が「DOWNTOWN+」(ダウンタウン...
2025-10-04 17:03 エンタメ
「ばけばけ」は“聖地巡礼”したくなる朝ドラの予感。実際にある島根県・八重垣神社の“恋占い”してみたい!
 明治19年。トキ(髙石あかり)は、借金を返すために親戚の雨清水傳(堤真一)が経営する機織り工場で働いていた。しかし、膨...
桧山珠美 2025-10-04 10:42 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンは粒あんか、こしあんか…“お遊び”が楽しかった特別編。蘭子の“その後”はモヤモヤだけど
「あんぱん」が終了したと思ったら、早くも翌週の9月29日(月)~10月2日(木)の四夜連続で、スピンオフが放送されました...
桧山珠美 2025-10-04 08:00 エンタメ
カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学
【続・あの有名人の意外な学歴 】#1  カズレーザー&二階堂ふみ   ◇  ◇  ◇ 「現在、芸能界の高学歴カップ...
2025-10-03 17:03 エンタメ
現地特派員が配置されていない国で世界規模の事件が起きたらどうするのですか?
【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】  そうなんです。じつは最近ずっとそんな状況が続いています。いま大きな海外ニュー...
2025-10-03 17:03 エンタメ
“北川景子効果”で腕時計が高見え…腕時計CM14年目突入の背景にNO炎上と庶民感覚
 俳優の北川景子(39)が2日、都内で行われた「シチズン・クロスシー・KEIKO KITAGAWA Limited Mo...
2025-10-03 17:03 エンタメ