ばんばひろふみさん「『いちご白書』をもう一度」誕生秘話から見えた彼の人柄

更新日:2025-10-18 17:03
投稿日:2025-10-18 17:00

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#262

 ばんばひろふみさん

  ◇  ◇  ◇

 初めてお会いしたのは20年以上も前。トミーズ雅くんの番組でした。みなさん気になるのは大ヒット曲「『いちご白書』をもう一度」。雅くんが「ええ歌ですね。心にしみますもんね。あれはユーミン(松任谷由実)から提供されたんですか?」と聞くと「頼んだいうよりも頼みこんだんやね」。

 関西出身の“ばんばん”は上京したものの、なかなかヒット曲ができず「もう歌やめて(大阪へ)帰ろうと思ったけど、その前に他のミュージシャンとは異なる感性を持つユーミンに1曲作ってもらおういうことになったんですよ」。

「ユーミンとは親交があったんですね?」

「ないない。一回も会うたことないし、全然知らんかったんよ」

「そんなんでよう作ってくれましたね」

「ツテを探して探してユーミンの所へ行って、直談判ですよ。辞める前にユーミンがイメージする僕らの曲を1曲書いてください言うて。そら、あの時は頭さげ倒してたと思いますよ」

ユーミンへの感謝とリスペクトが言葉の端々に感じられた

 それから1週間ほどして(記憶では)できてきたのが、あの名曲。

「凄い! 俺らには絶対ない感性。頼みに行って良かったと心の底から思いましたよ」

「ばんばんに歌わすために作っといたみたいな曲ですもんね」

「そうでしょう? ユーミンてホンマに凄いよ!」

「本人が歌ってたらもっと売れたやろね」

「そら売れたやろね……コラッ!」とひとりノリツッコミ。その後のヒット曲「SACHIKO」も「あれもユーミンに頼んだん?」「なんとかもう一曲……てー、コラッ~! あれは俺が作ったんや!」と大爆笑。

 冗談を交えながらもユーミンへの感謝とリスペクトが言葉の端々に感じられました。恩人とはいえ同世代のミュージシャンの才能を素直にリスペクトされている姿に、ばんばんの人柄、人気のある理由を見た瞬間でした。

 数年後、ばんばんの番組に「NSCの伝説の講師」として呼んでいただきました。打ち合わせから私が気遣っていただいたのはもちろん、スタッフへの気遣いがちょっとした言葉遣いや優しいアイコンタクトにも表れて“ひとりじゃない、みんながいるから仕事ができているんだ”という、いつもNSCの生徒たちに言っていることを体感でき、とても心地よい時間をすごさせていただきました。

 70代の半ばを迎えられましたが、まだまだ「ばんばん節」を聴かせていただきたいと思います。

(本多正識/漫才作家)

エンタメ 新着一覧


東海林(津田健次郎)はエラいのかポンコツなのか? ともあれ“ツダケン”の魅力的な演技に惚れ惚れ
 高知新報が夕刊発行の申請をし、のぶ(今田美桜)は編集長を任された東海林(津田健次郎)と先輩記者の岩清水(倉悠貴)と共に...
桧山珠美 2025-07-01 18:19 エンタメ
【再募集】2025春ドラマどうだった?面白かった&ガッカリを教えて!『あんぱん』『最後から二番目の恋』『対岸の家事』etc
 引き続き、2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。続々と最終回を迎えた4月よりスタートの春ドラマ、あなた...
「あんぱん」竹野内豊らが退場→津田健次郎と倉悠貴が新たに補充。イケメン好きにも優しい朝ドラに感謝したい
 闇市で渡された東海林(津田健次郎)の名刺を頼りに、高知新報にやってきたのぶ(今田美桜)。しかし、東海林は全く記憶にない...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
さや香、バッテリィズ…意外と多い「不仲コンビ」にグッとくる理由。仲良し芸人だけが正解なのか?
 千鳥MC『相席食堂』(ABC/テレビ朝日系)の6月3日放送回にて、「カウンセリング相席」と称した、お笑いコンビ・流れ星...
『あんぱん』嵩(北村匠海)に“たっすいがー”の面影はない。のぶへの言葉が胸を打つ「正しい戦争なんか、あるわけがないんだ」
 空襲の焼け野原でひとり佇むのぶ(今田美桜)の前に、嵩(北村匠海)が現れて再会を果たす。釜次(吉田鋼太郎)から事情を聞い...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
国分太一活動休止で消えた「TOKIO再集結」の光…木村拓哉に見せていた別の顔
 6月20日、複数のコンプライアンス違反があったとして、TOKIOの国分太一(50)が無期限の芸能活動休止を表明した。出...
こじらぶ 2025-06-25 07:50 エンタメ
大泉洋こそ“真のモテ男”じゃないか?「かくかくしかじか」の圧倒的な存在感に新たな一面を見た
  先日、いろんな意味で話題の映画「かくかくしかじか」を鑑賞してまいりました。「東京タラレバ娘」や「海月姫」などのヒット...
「あんぱん」のぶ、“落とし前”の付け方はそれでいいのか。次郎役の中島歩はあまりにも素晴らしかった
 終戦から5か月が経ち、国民学校ではGHQの指導のもと軍国主義教育からの転換が図られる。のぶ(今田美桜)は病気が一向に回...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
『バチェラー6』第8話(最終話)を正直レビュー! ラスト予想、当たった人いるの? 制作サイドにまんまと騙されました
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第8話。本編最終回です。小田...
中村未来 2025-07-25 15:23 エンタメ
曽田陵介、FANTASTICS佐藤大樹と“縁”に驚き「青春時代の人が隣にいた!」甘酸っぱい中学生の頃
 2019年に俳優デビューをきっかけにドラマ、映画、舞台とさまざまな作品に出演。そして先ごろ放送を終了した『いつか、ヒー...
望月ふみ 2025-06-23 07:00 エンタメ
【募集】2025春ドラマの感想は? 面白かった&ガッカリを教えて!『対岸の家事』『最後から二番目の恋』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「面白かった」作品や「...
72歳、ザ・ぼんち里見まさとに“若い女子”が熱狂。イケジジブームが来るか? 老害にならずモテる大人の魅力
 去る5月17日フジテレビ系で放送された結成16年以上の漫才師による大会『THE SECOND~漫才トーナメント~・グラ...
「あんぱん」ここがヘンだよ、戦争パート。のぶが夫に駆け寄らないのはなぜだ?
 次郎(中島歩)からの便りに顔を輝かせるのぶ(今田美桜)だったが、それは海軍病院からだった。のぶが不安な気持ちで病室に入...
桧山珠美 2025-06-21 12:55 エンタメ
『バチェラー6』第7話を正直レビュー!石森さんの“事実発覚”に全視聴者が驚いた…。辻󠄀本さんの高度な会話テクにも注目
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。第7話は、クアラルンプールへ久次米...
中村未来 2025-06-21 06:00 エンタメ
『バチェラー6』第6話を正直レビュー!小田美夢の“あまりにあざとい”テクニック。キス連発は最初から決めてた?
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第6話。前回のラストで、早朝...
中村未来 2025-06-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」清(二宮和也)は出る出る詐欺じゃなくて一安心。岩男とリンはやっぱり“チリンの鈴”だった
 銃撃された岩男(濱尾ノリタカ)は、嵩(北村匠海)にリンはよくやったと言って息絶える。八木(妻夫木聡)は、リンは親のかた...
桧山珠美 2025-06-19 17:28 エンタメ