「みんなが見たい」の信念から 太田光は一人で責任をかぶっても「事件」を起こす

更新日:2025-10-26 17:03
投稿日:2025-10-26 17:00

【今週グサッときた名言珍言】

「緊張してんの!」
 (太田光/TBS系「お笑いの日2025」10月11日放送)

  ◇  ◇  ◇

 今年のTBS系「お笑いの日」では、明石家さんまと太田光による夢のコラボレーション漫才が実現した。コンビ名は、それぞれの年齢を示した「古希還暦」。司会の濱家隆一に呼び込まれるやいなや、太田はいつものように客席に飛び込んで行き、濱家に取り押さえられる。仕切り直して漫才を始めると、自己紹介で「ビートたけしです」とボケようとするも、噛んでしまった。それをさんまにツッコまれ、叫んだ一言が今週の言葉だ。

 そもそも、このコンビが実現したのは、スタッフに相談された太田の事務所タイタンの社長・太田光代が、半ば冗談で「例えば、さんまさんとか」と名前を出したのが発端だった。それを真に受けたスタッフがさんまと交渉。太田本人の知らぬ間に、いつしか「太田さんがどうしても、さんまさんとやりたいと言っている」というふうに伝えられ、ブッキングに成功したという(TBSラジオ「爆笑問題カーボーイ」2025年10月14日)。

 さんま本人は、当日の生放送中、引き受けた理由を「太田やからというだけ」と答えている。自分のために力を尽くしてくれた人の頼みとあらば、駆けつける「情」の人なのだ。

 それは、太田も同じだ。今回の漫才中、太田は渦中の「広末涼子」や「米倉涼子」といった名前をぶっこんだ。これは事前にTBSにはもちろん、さんまに対しても言っていないことだった。それは「さんまさんが承諾したとか、TBSが承諾したつったら、そっちに迷惑かかる」(同前)という太田なりの配慮なのだ。

 同じようなことは以前もあった。今年の元日「新春!爆笑ヒットパレード」(フジテレビ系)でのこと。漫才中に太田は「日枝、出てこい! Aプロデューサーって誰?」と発し、物議を醸したのだ。

 このような番組に出る際、爆笑問題は事前に番組に台本を提出するという。それは、他のコンビとのネタかぶりを防ぐことや、それまでの経験から「このネタ、通しましたよね? あなたの局は」と“証拠”を残す意味合いもあるという(「爆笑問題カーボーイ」25年2月18日)。だが、フジの件のセリフは入れていなかった。相方の田中にも言わず「俺ひとりの判断にしなきゃダメ」だと考えたのだ(同前)。

 責任を一人でかぶってでも“事件”を起こす。そこには「テレビって“事件”が面白いじゃん。みんな事件が見たい」(BS-TBS「町中華で飲ろうぜ」25年5月19日)という信念があるからに違いない。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

エンタメ 新着一覧


石田ひかり53歳、今を生きる女性に伝えたい“楽しく生きていく”ためのメッセージ|映画『ルノワール』
 1986年のデビューから、映画『ふたり』『はるか、ノスタルジイ』や、連続ドラマ『悪女』、連続テレビ小説『ひらり』、『あ...
望月ふみ 2025-07-10 11:50 エンタメ
『あんぱん』ツダケンの“にゃあ”が秀逸だにゃあ!「月刊くじら」には色々とツッコミどころもあるが
『月刊くじら』創刊号は2日で2000部を売り切り、好調な滑り出しを見せる。嵩(北村匠海)は『月刊くじら』編集部に異動に。...
桧山珠美 2025-07-09 17:00 エンタメ
【10万いいね】鈴木えみ、20年前→現在の比較写真が“美しすぎる”と絶賛「変わらなすぎ!」「今の方が可愛い説まである」
 ファッションモデルから俳優業まで、幅広い分野で活躍する鈴木えみさん(39)。2025年7月7日に自身のInstagra...
春ドラマの評判を調査!本命『最後から二番目の恋』は2位。1位は意外な快進撃。日常系が人気、刺激疲れか?
 2025年の春ドラマが、次々とフィナーレ。今期はSNSでバズった顔ぶれも多く、ドラマファンからしても楽しいシーズンだっ...
「あんぱん」嵩は受かるのか…って次週予告編でネタバレか? アンパンマン声優の姿もチラリ
 のぶ(今田美桜)の家で暮らすことになったメイコ(原菜乃華)は、夢に向かって一歩を踏み出す。そしてのぶも、月刊誌の刊行に...
桧山珠美 2025-07-05 08:00 エンタメ
『あんぱん』のど自慢といえば「ひよっこ」有村架純を思い出す。メイコが歌うのはどの歌なのか?
 夕刊の話がなくなり、時間を持て余すのぶ(今田美桜)だったが、夕刊の代わりに月刊誌を出せることに。岩清水(倉悠貴)と歓喜...
桧山珠美 2025-07-03 18:11 エンタメ
TOKIO 国分太一騒動で危うい“料理イケメン”たち「男子ごはん」での気になる発言
 またひとり、旧ジャニーズのタレントが消えてしまいました。今度はTOKIOの国分太一(50)です。今月20日、無期限の活...
東海林(津田健次郎)はエラいのかポンコツなのか? ともあれ“ツダケン”の魅力的な演技に惚れ惚れ
 高知新報が夕刊発行の申請をし、のぶ(今田美桜)は編集長を任された東海林(津田健次郎)と先輩記者の岩清水(倉悠貴)と共に...
桧山珠美 2025-07-01 18:19 エンタメ
【再募集】2025春ドラマどうだった?面白かった&ガッカリを教えて!『あんぱん』『最後から二番目の恋』『対岸の家事』etc
 引き続き、2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。続々と最終回を迎えた4月よりスタートの春ドラマ、あなた...
「あんぱん」竹野内豊らが退場→津田健次郎と倉悠貴が新たに補充。イケメン好きにも優しい朝ドラに感謝したい
 闇市で渡された東海林(津田健次郎)の名刺を頼りに、高知新報にやってきたのぶ(今田美桜)。しかし、東海林は全く記憶にない...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
さや香、バッテリィズ…意外と多い「不仲コンビ」にグッとくる理由。仲良し芸人だけが正解なのか?
 千鳥MC『相席食堂』(ABC/テレビ朝日系)の6月3日放送回にて、「カウンセリング相席」と称した、お笑いコンビ・流れ星...
『あんぱん』嵩(北村匠海)に“たっすいがー”の面影はない。のぶへの言葉が胸を打つ「正しい戦争なんか、あるわけがないんだ」
 空襲の焼け野原でひとり佇むのぶ(今田美桜)の前に、嵩(北村匠海)が現れて再会を果たす。釜次(吉田鋼太郎)から事情を聞い...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
国分太一活動休止で消えた「TOKIO再集結」の光…木村拓哉に見せていた別の顔
 6月20日、複数のコンプライアンス違反があったとして、TOKIOの国分太一(50)が無期限の芸能活動休止を表明した。出...
こじらぶ 2025-06-25 07:50 エンタメ
大泉洋こそ“真のモテ男”じゃないか?「かくかくしかじか」の圧倒的な存在感に新たな一面を見た
  先日、いろんな意味で話題の映画「かくかくしかじか」を鑑賞してまいりました。「東京タラレバ娘」や「海月姫」などのヒット...
「あんぱん」のぶ、“落とし前”の付け方はそれでいいのか。次郎役の中島歩はあまりにも素晴らしかった
 終戦から5か月が経ち、国民学校ではGHQの指導のもと軍国主義教育からの転換が図られる。のぶ(今田美桜)は病気が一向に回...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
『バチェラー6』第8話(最終話)を正直レビュー! ラスト予想、当たった人いるの? 制作サイドにまんまと騙されました
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第8話。本編最終回です。小田...
中村未来 2025-07-25 15:23 エンタメ