オダギリジョー「納得した仕事しか受けない」というこだわり。芸術家から犬の役まで!? “個性爆発”する作品5選

zash
更新日:2025-11-05 14:37
投稿日:2025-11-04 11:45

ぶっとんだ役に驚愕!『オリバーな犬、(GOSH!!)このヤロウ』

 オダギリさんと言えば、監督や脚本家としての才能もピカイチなことで知られています。その魅力が大爆発している作品は、やはり『オリバーな犬、(GOSH!!)このヤロウ』でしょう。本作は、オダギリさんが監督・脚本・演出・編集・出演の一人5役を務める、まさに‘‘オダギリジョー劇場''。

 鑑識課警察犬係に所属する青葉一平(池松壮亮)とその相棒・オリバー(オダギリジョー)の姿をコミカルに描いた脱力系警察ドラマです。正直、ここまでぶっ飛んだ作品をNHKは放送してくれるのかと驚いたことを憶えています。

 それが2022年にはシーズン2が放送され、さらに2025年には映画版となって劇場公開されるという大ヒットを記録。オダギリさんは、ハンドラーにだけおっさんに見える警察犬のオリバー役として、水を得た魚のようなコメディ演技を披露。

 やる気を感じさせない絶妙なセリフ回しだけでなく、着ぐるみを着て軽快に動き回る姿や警察犬の感情を体現した表情も大きな見どころとなっており、これこそまさにオダギリさんが俳優としてやりたかった境地なのだろうなと思わされる次第。

『時効警察』時代に培ったであろう、面白いものを面白く見せようとする演出も冴えており、オダギリさんのキャリア史上もっとも個性が爆発した作品になっています。

長編映画監督デビュー作『ある船頭の話』(2019)

 オダギリジョー監督作品の中には、オダギリさん自身が俳優として出演していない作品も存在します。とりわけ特筆すべきは、やはり2019年の『ある船頭の話』でしょう。

 本作は、渡し船の船頭であるトイチ(柄本明)と少女の交流をメインに映し出しており、『オリバーな犬』とは正反対の人間ドラマなのです。

 とある山間の村に流れる川の景色を切り取り、そこで繰り広げられる人間ドラマを静かに描き切る。日本映画というよりもヨーロッパのミニシアター系の映画を彷彿させる雰囲気を醸し出します。

 語り部となる年老いた船頭の行動を通して、観客に「人間とは何か?」と問いかけてくる様には、オダギリさんが敬愛するアメリカの映画監督ジム・ジャームッシュからの影響が強いように感じます。

 名優・柄本明の哀愁漂う名演を引き出したオダギリさんの演出力も光り、もはや本作が監督デビュー作であるということを忘れてしまうほど。

 もともと映画監督を夢見て、アメリカへと渡り、願書の記載ミスからいつしか俳優を志すようになったオダギリさん。幼き日から憧れ続けてきた映画監督としての感性にも素晴らしいものがありますね。

独特な存在感を放ち続ける

 俳優としても、監督としても独特な存在感を放ち続ける、オダギリジョーさん。約25年前のデビューから一貫して独自のルートを歩み続けている印象があり、このまま歩み続けたら、一体どんな場所に行きつくのか楽しみは尽きません。

 俳優と監督の二刀流で、これからもその才能を爆発させてほしいものです。

子どもの頃から培ってきた映画、海外ドラマ、特撮、アニメの知識を活かして活動中。各媒体でコラム、取材レポート、インタビュー記事を執筆する他、雑誌やマスコミ用リリースへの寄稿も行っている。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ
【写真特集】倖田來未の美し過ぎるバスト♡ギリギリショット5連発
【この写真の本文に戻る⇒】40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くな...
2025年「冬ドラマ」を調査! 独走状態の『ホットスポット』、疲れた大人世代に『御上先生』は難しかったか
 2025年1月よりスタートした冬ドラマ。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマがあった一方で、期待されていたものの視聴率が振...
【おむすびにモヤっと】一瞬の表情で孤独をにじませる歩。最後の最後でヒロイン逆転!?
 結(橋本環奈)は大腸がんで入院している患者・丸尾(細川岳)を担当し、食欲不振の対応に苦慮する。  一方、歩(仲里...
桧山珠美 2025-03-26 17:20 エンタメ
【おむすびにモヤっと】最終週は最後の顔見世? 糸島移住“言い出しっぺ”の愛子さん台詞を深読みすると…
 福岡・糸島に移住することが決まった聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)。ヘアサロンヨネダを翔也(佐野勇斗)が継ぐこと...
桧山珠美 2025-03-24 17:20 エンタメ
【募集】冬ドラマの感想は?面白かった&ガッカリを教えて!『御上先生』『ホットスポット』『べらぼう』etc
 コクハクでは2025年冬ドラマを対象としたアンケートを実施します。1月よりスタートした冬ドラマ、「面白かった」作品や「...
刮目! STARTO所属“歌うま”な佐野晶哉、ジェシー、田中樹以上に目が離せないアーティストは?
 田原俊彦(64)に初孫が誕生しました。おめでとうございます。「NINJIN娘」のトシちゃんも今やおじいちゃん…なんだか...
【おむすびにモヤっと】懐かしの風見先輩降臨でも願わくば…最終週はナベベ×詩のご対面?
 結(橋本環奈)は栄養失調の少女・詩(大島美優)になんとか食べてもらおうとラーメンを出してみるが、結局手をつけない。 ...
桧山珠美 2025-03-24 13:58 エンタメ