佐野勇斗「ESCAPE」視聴率低迷でも評価上昇のワケ…テレビコラムニストが深掘り

更新日:2025-11-08 17:03
投稿日:2025-11-08 17:00

 秋ドラマは中盤から後半へ。三谷幸喜脚本&菅田将暉(32)主演で前評判の高かった「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(フジテレビ系=水曜夜10時)は、視聴率、配信、ネットの評価いずれも振るわず、なかなか上昇気配がない。そんな中、同じ水曜10時の日本テレビ系「ESCAPE それは誘拐のはずだった」はどうか。

「『もしがく』の初回がコケたので、1週遅れてのスタートは追い風になってもおかしくなかったのですが、視聴率はいい勝負で低空飛行。ただ、配信やネットの評価では『もしがく』を上回っていますし、若年層を中心に評価や人気もじわり上昇しています」(エンタメ誌ライター)

「ESCAPE」は桜田ひより(22)と佐野勇斗(27=写真)のダブル主演。誘拐された令嬢と誘拐犯が一緒に逃げるという《心震わす!ノンストップヒューマンサスペンス》(公式サイトから)で、逃亡劇の中に“信頼”や“再生”の物語を織り込む構成だ。

 初回の世帯視聴率は4.7%、個人2.5%(関東地区=ビデオリサーチ調べ)。その後も4%前後で推移しており、数字だけ見ればパッとしない。ネット上では《サスペンスとしては物足りないし、逃げる根拠もあやふや》といった厳しい見方もあるが、《2人のビジュが最高》《ファーストサマーウイカや山口馬木也、途中参戦の志田未来もいい味出してる》といった声が目立つ。レビューサイトFilmarksでも回を追うごとに好意的な声が増え、5点満点で3.8の高評価(11月7日現在)。「もしがく」の3.1を大きく上回っている。

「キャストが豪華な『もしがく』に対して、桜田さんと佐野さんというフレッシュなコンビは健闘していると言っていいでしょう」と語るのはテレビコラムニストの亀井徳明氏。亀井氏は「“考察”を誘うサスペンスというより、青春バディーものとして僕は楽しんでいる」と、こう続ける。

「特に佐野さん。これまで繊細で神経質そうな役柄が多かったイメージですが、今回演じている“ちょっと粗暴でおバカだけど、根はいいヤツ”がハマっている。そのハマり方は、『池袋ウエストゲートパーク』(2000年TBS系)以降の長瀬智也さんを彷彿とさせます。長瀬さんより抑え気味だけど、それはそれで今風だし、ビジュは負けてない。桜田さんとの掛け合いも間が良くて、だからこのコンビなら“探偵と助手”的なバディーものでもいけるかもなんて思いながら、応援しています」

 ドラマ制作会社関係者も「初回から《誘拐なのにほほえましい》《2人の表情の変化に絆が感じられる》という反応が多かった。想定より女性視聴者が多く、SNSでは《“勝男”の竹内涼真より、“リンダ”の佐野勇斗のほうがいい》なんて声もあります」と語る。

 今期は「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS系=火曜夜10時)で竹内が演じる時代遅れで残念なハイスぺ男子の“勝男”が話題。佐野が演じる気のいい誘拐犯“リンダ”はそれにどこまで迫れるか。

  ◇  ◇  ◇

「ESCAPE」vs.菅田将暉「もしがく」の舞台裏を知りたいなら、関連記事【もっと読む】は必読だ。

エンタメ 新着一覧


「ばけばけ」は往年の名作を越えられるか? 「虎に翼」から続く岡部たかしの“父親”像が楽しみだ
 この世はうらめしい。けど、すばらしい。没落士族の娘・松野トキ(髙石あかり)と外国人の夫・ヘブン(トミー・バストウ)。怪...
桧山珠美 2025-09-29 17:50 エンタメ
「あんぱん」最終回。半年間、2人を見守ってきた視聴者にはグッとくる場面…ま、終わりよければすべてよし!
 のぶ(今田美桜)の病室に着いた嵩(北村匠海)は、にっこり笑うのぶの姿に胸がいっぱいになる。その後退院したのぶは、嵩に自...
桧山珠美 2025-09-27 15:10 エンタメ
timeleszの演出に賛否…中島健人ら初期メンバーの歌声に込められた真意。“8人体制”はどう継承していく?
 9月15日、timeleszがファンミーティング「timelesz SUPER FAMeeting~また夏が終わってい...
こじらぶ 2025-09-27 11:45 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)のプロポーズにキュン! 蘭子(河合優実)のモデルがあの作家なら…無事を祈る
 2年がかりで完成したテレビアニメ「それいけ!アンパンマン」が放送され、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)をはじめ、それぞ...
桧山珠美 2025-09-27 12:28 エンタメ
スキャンダル無縁!鈴木亮平が初期に演じた「クセ強キャラ」 4選。もっと評価されるべき“異彩を放った”役も
 現在公開中の『劇場版 TOKYO MER ~走る緊急救命室~ 南海ミッション』ではチーフドクターの喜多見幸太役を演じて...
zash 2025-09-25 11:45 エンタメ
「あんぱん」アンパンマンマーチの歌詞に込めた思い。千尋(中沢元紀)や寛先生(竹野内豊)の写真にホロリ…
 ある日、アンパンマンをテレビアニメ化したいとテレビプロデューサーの武山(前原滉)が訪ねてくる。だが嵩(北村匠海)は、ア...
桧山珠美 2025-09-25 15:44 エンタメ
【芸能クイズ】「畑芽育」を正しく読める? 他にもいる、実は“常用漢字外”の読み方をする芸能人は誰?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
「あんぱん」石橋蓮司の“なりきりアンパンマン”が見れるとは! 登美子(松嶋菜々子)は毒親返上か
 のぶ(今田美桜)が撮ったミュージカルの写真を見ていた嵩(北村匠海)は、こっそり来ていた登美子(松嶋菜々子)が写った写真...
桧山珠美 2025-09-22 16:22 エンタメ
「あんぱん」嵩とヤムさんの再会にグッときた。でも顔をよく見たら…気になった“余計な”こと
 客席はたくさんの子どもたちで埋まり、その様子をカメラに収めるのぶ(今田美桜)。ミュージカルが終了すると、会場は大きな拍...
桧山珠美 2025-09-20 11:47 エンタメ
「あんぱん」のぶの“お手柄”総決算の回。ヤムさん(阿部サダヲ)と蘭子(河合優実)の繋がりは“前世”からの縁なのか?
 のぶ(今田美桜)は草吉(阿部サダヲ)にあんぱんを焼いてほしいと頭を下げるが、断られてしまう。蘭子(河合優実)からこのま...
桧山珠美 2025-09-18 17:16 エンタメ
加藤清史郎の“奇跡の成長”を「放送局占拠」で見た。寺田心ら子役出身者がイケメンになっている件
 加藤清史郎くんのイケメンぶりには目を見張るものがあります。現在、櫻井翔主演「放送局占拠」(日本テレビ)に出演しています...
『あんぱん』担当編集者の“セリフ”にモヤッ…。そしてメイコはまた歌うのだろうか
 ようやく世に出た絵本『あんぱんまん』は売れないままだった。それでものぶ(今田美桜)は、子どもたちに読み聞かせを続ける。...
桧山珠美 2025-10-06 16:33 エンタメ
Snow Manの1人勝ちに歯止めをかけるか?timeleszとSixTONES、激化する“2番手争い”の行方
 嵐の活動休止以降、長らくSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ事務所/以下SE社)は様々な指標でSno...
こじらぶ 2025-09-15 11:45 エンタメ
横浜流星が“レア動画”に降臨!でも…あれっ? 大河ドラマで「国民的俳優」となった代償か
 今年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に主演し、興行収入120億円を突破して歴代実写邦画2位となった映画『国宝...
堺屋大地 2025-09-14 11:45 エンタメ
『あんぱん』津田健次郎に演技賞を差し上げたい。東海林の“最後”が完璧だった。ひとつだけ残念だったこと
 東海林(津田健次郎)の訪問からほどなくして、琴子(鳴海唯)から手紙が届く。そこには東海林が上京した本当の理由が書かれて...
桧山珠美 2025-09-13 11:30 エンタメ
『有吉の壁』ブーム期待も…人気キャラの“展開”に冷めた視線。番組の過剰な介入で萎えるファンの複雑心理
 日本テレビ・水曜7時からの人気番組『有吉の壁』(日本テレビ系)。なんとこの10月でレギュラー放送開始から5年半を越える...