NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?

更新日:2025-11-09 17:03
投稿日:2025-11-09 17:00

 NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」もあと数話、撮影も終了しているというのに、あの絵師がまだ登場していない。登場していないどころか、キャストも発表されていない。東洲斎写楽のことだ。

 江戸中期の版元・蔦屋重三郎は、喜多川歌麿、葛飾北斎、曲亭馬琴、山東京伝、十返舎一九らあまたの才能を世に送り出したが、なかでも写楽は顔や表情をデフォルメした役者の浮世絵(大首絵)で秀逸だった。10カ月の間に約145点もの作品を残し、しかし顔も身分も明かさぬまま忽然と消えた。

 いまだ正体不明の写楽をだれが演じるのか──「べらぼう」が始まったときから話題になっていた。第45話(11月23日放送)は「その名は写楽」で、いよいよ謎解明か。残念ながら、「べらぼう」に写楽は登場しない。どういうことか。

「NHKのガイド本を見ると、写楽は絵師ではなくプロジェクトの名前なんです。脚本の森下佳子は『私にとっての写楽の謎は、彼が誰なのかということよりも、その出し方です』と語っていたので、何か仕掛けがあるなとは思っていたのですが……。やられました」と、ドラマ制作会社のプロデューサーは笑う。

■もう一人、謎のままの人物

 将軍の父・一橋治済にはめられて失脚した松平定信と組んだ蔦重(横浜流星)は、倹約ばかりを押し付ける幕府をあざ笑ってやろうと、度肝を抜く豪華な浮世絵を仕掛ける。歌麿(染谷将太)ら旧知の絵師、戯作者、狂歌師を集めて制作チームを作り、お上を「しゃらくせえ」とからかう意味で、画号は「写楽」にした。

 蔦重たちの狙い通り、治済らは怒り心頭、写楽をとらえようとするが、正体不明でどこにもいない。留飲を下げた蔦重たちは、10カ月でチームを解散して、写楽は消えた……というわけだ。

「べらぼう」にはもう一人、謎のままの人物がいる。蔦重と世帯を持ちたいと思いながら、「わちきはおまえさんの夢の邪魔になる」と去っていった吉原の花魁、瀬川(小芝風花)だ。

「妖艶できっぷがよく、でも悲しい瀬川は吉原を出た後どうなったのか。気になっている大河ファンは多いでしょう。蔦重は江戸わずらい(脚気)で死去するのですが、死の床にそれまで関わったさまざまな人がやってきます。その中に瀬川がいたらすてきなんですけどねえ」(テレビ情報誌編集デスク)

 僧侶となって、山のお寺で蔦重が手掛けた本や浮世絵に囲まれて静かに暮らしているんじゃないかな。

(コラムニスト・海原かみな)

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