私、くさい? 居酒屋で “加齢臭”の恐怖と戦う。中年オンナの体臭対策はどうするべきか

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-12-03 11:45
投稿日:2025-12-03 11:45

ナフタリンを思わせる、加齢臭よ

 週末とあって店内は大盛況。いつの間にか座席は全て埋まり、店内は常連客でひしめいていた。立ち飲みと店外で飲む者もいて、酔っ払いの活気に溢れていた。そこに入ってきたのがここ最近、毎日店に通って常連客となった中年女性のA子さん。自営で法律の仕事をしている、独身族らしい。年齢は店でも非公表にしているらしいが、中年のたるみ体型やシミ、シワ、会話から察するに私と同年代か、もしくは上である。店からは「二人、同じような環境だし、気が合いそう」と紹介されたが、彼女は一見で私を気に入らなかったらしく「同じ扱いをしないで〜(笑)」と宣言されてしまった。ただ私以外の若い女性常連客と連んでいる様子を間にあたりにすると(え、私、なんかしたか)と、いささか疑問。でも所詮は酒場の交流なのだから、知らんふりをしていれば良い。

「あ、どうも〜」

「わ〜、お久しぶりです」

 入店してきたA子さんと、酔いに任せて大人のご挨拶。事件はこの瞬間に起きた。接近したA子さんが鼻をつんざくような悪臭を漂わせてきたのだ。おそらく、昔懐かしナフタリンを彷彿させる加齢臭と、汗が腐ったような(どんな)体臭のミックス臭を嗅ぎ取った瞬間、私の酔いはすっかり冷めた。そして不快感よりも先に我が身を振り返った。友人や歴代パートナーには、悪臭がしたらすぐに言ってくれと頼んでいたけれど、最近は忘れていた。加えて書く仕事量が圧倒的に増えたので、体臭への配慮もすっかり記憶の彼方へ飛んでいた。ひょっとしたら自分もA子さんと同じように、周囲へ嫌な思いをさせているかもしれないと、背筋が凍る。そっと自分の体に鼻を向けたが、炭火焼きと酒の香りに紛れて全く匂わない。

「ねえ、あのさ…私、いい年だから。もし加齢臭とかしたら、遠慮せず言ってね…」

「(笑)わかったよ。臭かったらすぐに『入店禁止』って言うわ」

 馴染みの店員にそっとお願いをした。体臭で一番怖いのは“慣れ”だ。悪臭もしょっちゅう一緒にいると、慣れて気にならなくなると聞く。そして初対面の相手に良くない残り香を植え付けていく。一度「この人は臭い」とインプットされたら、もう恋も仕事も生まれにくい。私が売れっ子なら皆、マスクをして我慢をしてくれるかもしれないが、そんなわけでもない。空気がこもりやすい季節が到来、これからは本当に気をつけよう。恐怖。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


中年の“集中力”はどこに消えた? 若い頃と「同じ脳じゃない」と気づいた私の小さな工夫
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
なんで全部マネするの?次男の妻が意味不明…悩む57歳義母が見つけた意外な突破口
 かつての嫁姑問題といえば「同居」や「家事」、「子育て」をめぐる衝突が定番でした。しかし令和の時代を迎え、別居が当たり前...
“イヤホン女子”は狙われる? 知っておきたい夜道のNG行動と自衛テクニック
 悲しいことに、女性をターゲットにした物騒な事件が続いています。日頃から防犯意識を高め、対策をしておきましょう。今回は特...
で、出た~! 絶対に謝らない奴らのお通りだ。友人・職場・恋人のトンデモエピ7連発。逆切れに納得いかない…
「明らかにあなたが悪いよね?」という場面でも、絶対に謝らない人、いますよね。素直に「ごめんね」の一言を言えば済む話なのに...
私だって一人になりたい! 家族は大切だけど…ママが「自分時間」を確保する工夫と伝え方6つ
 夫や家族と過ごす毎日は幸せいっぱいだけれど、たまには「ひとりになりたい」と感じることってありますよね。特に、小さな子供...
「味噌汁の味を覚えないのよ~」義母の“昭和な価値観”に苦しめられ…28歳新妻が取った静かな逆襲
 幸せなはずの新婚生活に影を落としたのは、姑からの「お嫁さんなんだから当然」という圧力と、夫の無関心だった――。令和の時...
猫のしっぽがピン! 誰を待ってるの? 幸せの黄色い花に映える“にゃんたま”見せて♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ぼっち上等! 私が“ママ友”を作らないワケ6選「子どもの言葉で目が覚めて…」
 ママ友がいないことに焦りや不安を抱えている人もいるでしょう。でも「あえてママ友を作らない」という人もいるもの。そんなマ...
「美的GRAND」が大サービスすぎて大丈夫? 1,870円→15,233円相当の付録ってウソでしょ
 今回もなにやらすごそうな『美的GRAND 2025年秋号 通常版』。  本屋で雑誌を手に取ったときに付録の厚みに...
「一緒にトイレ行こ!」40代でそれはキツい。“大人の自覚ゼロ”な女のイタイ言動。謝らないって中身は5歳児?
 40代は立派な大人。だからこそ言動には注意したほうがよいかもしれません。あなたも普段、こんな言動していませんか!?
グサッときたぜ…「孫の顔も見れずにあの世行き?」未婚ガチ勢の心をエグる“親からのLINE”3選
 結婚するかどうかは自分で決めること。でも親から「結婚はまだ?」なんて言われると、モヤモヤしたり焦ったりしちゃいますよね...
神かよ…つら~い生理中、男性にされて感動したエピソード6選「喧嘩ばかりの弟がナプキンを買ってくれた」
 女性にとって、心身ともに負担が大きい生理中。あなたの周囲の男性は、どんな風に寄り添ってくれますか?  今回の記事...
親と“SNS共有”が裏目に! 教えて「我が家のスマホルール」。リアルな成功&失敗エピソード6選
 制限がないと、いつまでも触れ続けてしまいがちなスマホ。今回は夫婦間、親子間などで決めている「我が家のスマホルール」にま...
増える通り魔的事件、現代人の「狙われやすい」歩き方。危険時に身を守る方法とは【元警部が解説】
 神戸市のマンションで24歳女性が刺殺された事件は、見知らぬ男に50分間つけ回された末の凶行だった。犯人は数日前から神戸...
「色恋営業」は人を選ぶ? スナック嬢が教える“地味に長続きする”接客テクニック
 夜の世界は接客業。来ていただいたお客さんになるべく気持ちよく、そしてなるべく多くのお金を継続的に落としてもらわなければ...
元芸能人「売れるため覚悟を決めた」“暗黙の関係”を選んだ女の後悔。スポットライトの裏で失ったもの
 芸能界の華やかさに憧れて飛び込む若者は多い。しかし、その裏には語られにくい現実がある。元タレントのAさん(仮名・30代...