「ばけばけ」今日も不憫な錦織(吉沢亮)、3人の絶妙な“間”に笑った。演技派たちから生まれるコメディ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-12-03 12:33
投稿日:2025-12-03 12:32

第10週「トオリ、スガリ。」#48

 松江の寒さに風邪を引いてしまったヘブン(トミー・バストウ)。ヘブンの回復を祈り必死に看病するトキ(髙石あかり)のもとに、小谷(下川恭平)がお見舞いに駆けつける。

 ヘブンを元気づけようとする小谷に対し、トキはヘブンの姿に亡くなった傳(堤真一)を重ね、不安を募らせていた。小谷はトキを励まそうと怪談の舞台地巡りに誘うのだった。その頃、松野家ではサワ(円井わん)から小谷がトキに好意があることが伝わる。

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【本日のツボ】

「ワタシヤマイ アナタミマイ」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 布団の中で、ブードゥー人形を握りしめ、「快復しろ、暖かくなれ」と願うヘブン。同じように、ふすま1枚隔てた台所で、「よくなりますように、松江が暖かくなりますように」とヘブンに貰ったブードゥー人形を握りしめて願うおトキ。

 困った時の神頼み、やはりこの2人は一緒になるべくしてなるんだなあ、ということを思わせる描き方でした。

 そこへ、お邪魔虫、じゃなかった小谷がお見舞いにやってきます。小谷の目的がヘブンでないことは、視聴者にはとっくにわかっているわけですが、当のおトキはまだ気づいていません。

 ヘブンの枕元で、「錦織先生が教えて下さっています。…ですが、ヘブン先生の授業のほうがずっとずっと面白く…。なので、1日でも早く戻ってきて欲しいと皆」と小谷。

「アリガトウ。But、ニシコリサン、イマス。イマス、ニシコリサン」とヘブンに言われ、「ん? ニシコリサン?」と振り返る小谷。そこには、正座する錦織(吉沢亮)の後ろ姿が。

「あっ!」と驚く小谷。微動だにせず、「悪いなあ つまらん授業で」と錦織。「い、いつから?」「ずっと居たよ」「小谷さんがいらした時はお手洗いに」とオトキ。「悪くなかったですよ。久々の錦織さんの授業」「悪くなかった?」とここで振り向く錦織。そこにヘブンとおトキの笑い声も重なります。

 小谷、錦織、おトキ、3人の間が絶妙でひと笑いさせていただきました。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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