映画「栄光のバックホーム」で元阪神・横田慎太郎さんを追体験 主演・松谷鷹也が語る古田新太との緊迫撮影
11月28日に公開された映画「栄光のバックホーム」(秋山純監督)は2023年に脳腫瘍のため、28歳の若さでこの世を去った元阪神タイガース、横田慎太郎さんを描いた作品。19年の引退試合で見せたセンターからの矢のようなノーバウンドのバックホームは今も語り草だ。この作品が初主演の松谷鷹也さんに話を聞いた。
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この映画は脳腫瘍で亡くなった横田慎太郎さんの生きざまを描いた作品です。阪神タイガースの選手だった横田さんを支えた家族の愛や絆、それを見守る球団やファンの姿を描いています。
僕がこの映画に関わることになった経緯からお話しすると……神奈川県生まれで、父は元プロ野球選手(松谷竜二郎)です。僕は少年野球からずっと野球をやっていて高校は学法福島高校でした。2年の時に秋の大会で県3位になり、東北大会の1回戦で当たったのが花巻東でした。大谷翔平さんは1つ下です。花巻東に勝って次に当たったのが青森の光星学院(現八戸学院光星)で、映画でも描かれている慎太郎さんの阪神の先輩、北條史也選手(前田拳太郎)がいました。僕にとってそんなご縁もある映画です。
茨城の常磐大に進んでピッチャーをやっていましたが、肩を壊して野球も大学もやめてしまいました。横田さんと同じように夢はプロ野球選手だったので、目標を失い、引きこもった時期もあります。そんな時に兄に「仮面ライダーを見たら」と言われたのがこの世界に入るキッカケです。背が高いので最初はモデルをやったり、小劇場の舞台に出演したり、エキストラの仕事をやったり。その頃お世話になっていた先輩がいて、その知り合いだったのが秋山監督です。
製作総指揮の見城徹社長に「新人は難しい」と言われたが…
秋山監督の下で制作や助監督など裏方の仕事もやっていました。そして横田さんの著書「奇跡のバックホーム」を秋山監督が映画化しようと思っていて、僕を横田さん役にと考えてくださった。僕としてはこの映画に賭ける思いで、福山市の企業クラブチーム福山ローズファイターズの練習生として参加しましたが、その後入団させていただき、8カ月間過ごしました。最初は製作総指揮の幻冬舎の見城(徹)社長に「新人は難しい」と言われていたのですが、秋山監督が僕を推し続けて、始めてから1年間かかって決断していただくことができました。
出演者の中でお世話になったのは母親役の鈴木京香さん。2人でお芝居するシーンが多く、僕が緊張しないように気を使ってくださった。父親役の高橋克典さんには「主役はいろんな色を見ることができるから楽しんでやりなよ」と言っていただけました。オーラがすごかったのは掛布雅之役の古田新太さん。撮影の初日ということもあり、本当に緊張しました。
ホスピスにいる横田さんを見舞い、葬儀も参列し、この目で見続けた横田さんを追体験するように演じさせていただいた作品です。
(取材・文=峯田淳)
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