「ガツガツする」デメリットが大きくなった昨今
最初に、「なぜ大御所になるとガツガツしないのか?」について考えてみよう。それはもちろん、「既に売れ切っているので、ガツガツする必要性がないから」だ。大前提この考えがあるとして、今回は違う視点からも見ていきたい。
大御所芸人がガツガツしなくなったのは、「ガツガツする」ことにデメリットが大きくなってしまったからではないだろうか。
コンプライアンスが厳しくなり、SNSが発達し誰もが感想や意見を発表できるこの令和において、炎上の危険性はメディアに出る全員が持っている。
大御所ほど影響力が強いので、例えばちょっと強い言葉を使ったり、取れ高を狙って予想を裏切る行動をしたりすると、その行動や発言がSNSでの過剰な批判や誹謗中傷につながってしまうのだ。
例を挙げるとチョコレートプラネットの松尾さんが「素人はSNSをやるな」と発言して炎上し、謝罪にまで追い込まれた。チョコプラさんは好感度が高い芸人として有名だったが、いまではかなりアンチがついてしまった印象だ。
おそらく大御所の方たちは、いまや大きなヒットを狙うより、必ず出塁して点につなげるという役割を担うというマインドなのだと思う。昭和のテレビは大御所ほど好き勝手できていた印象だが、令和は大御所ほど好きなことができない時代になっているのだ。
若手でも“食えるようになった”芸人たち
では、「ガツガツする」は若手ならではの特権となったのだろうか。地下お笑い界では、今でも売れたくて堪らず、ギラギラしている若手であふれている。でも僕がお笑いを始めた一昔前と比べて、その熱量はかなり変化してきた。
十数年前と比べて、YouTubeやTik Tokなどのプラットフォームで活躍し、その収益で生活できている若手が爆発的に増加。好きな事や得意な事だけを発信して、「食えている」どころか大金を稼ぐ若手も珍しくはなくなった。
コロナ禍を経てライブの配信も当たり前になり、その収益の恩恵を受けている者も大勢いる。
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