「芸人=ギラギラ感」は過去のもの?大御所ほど“好き勝手できない”問題を考える

帽子田 芸人、ライター
更新日:2025-12-22 11:45
投稿日:2025-12-22 11:45

『芸人キャノンボール』が9年ぶりにU-NEXTで独占配信を開始し、SNS上で高評価を得ている一方、一部から「芸人たちのハングリーさをもっと見たかった」という声もあるようだ。

 かつて年間100本以上のライブに出演し、自身もライブ主催者の経験もあるという現役の芸人・帽子田は「いまや芸人はガツガツする生き物ではない」と語る。今回は「芸人のハングリーさ」に焦点を当て、なぜ今の芸人から“ガツガツ感”が失われたのかを、現役芸人の目線から徹底的に分析する。

【関連記事】松本人志は“面白さ”だけで逆転できるのか。「DOWNTOWN+」に見るお笑い界の行く末

安心して見れた『芸人キャノンボール2025』

 藤井健太郎さんが手掛ける特番『芸人キャノンボール2025』が復活した。芸人たちがいわゆる大規模な「借り物競争」をするというシンプルながら興味をそそられるコンセプトで、出演者も千原ジュニアさんや元ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん、有吉弘行さん、麒麟の川島さん、劇団ひとりさんなど超豪華だ。

 僕も2016年の放送のファンだったので、復活に胸を躍らせながら見てみたのだが、鑑賞後はなんとなく前作とは違う感覚を持った。番組自体はとても面白かったのだが、「2016年と比べてハラハラせず安心しながら見れる」という感想を持ってしまった。

 もちろん全然それに関しては悪くない。しかし、ほとんど同じ出演者なうえに、初参戦の人も一線級の人ばかりなのに、2016年版の方が若干粗削りながらワクワクしながら見れた。

 なんなら藤井さんが手掛ける『水曜日のダウンタウン』の挑戦企画の方が面白いと感じて少し残念だった。これは僕だけの意見ではなく、SNS上でも同じような意見が見て取れた。

出演者がみんな売れ切ってしまった

 どうしてこの現象が起こったかというと、おそらく出演者の人が2016年から比べてかなり「売れ切ってしまった」という事もあるだろう。以前から売れて大人気だった人たちばかりだが、今では皆押しも押されもせずの大御所だ。

 やはりゆったり構えているので、水曜日のダウンタウンに出てくる若手と比べて、爪痕を残してやろうというハングリー感がなく見えてしまうのかもしれない。

 僕の個人的な信条だが、芸人の魅力のひとつに「ガツガツ感」があると思っている。大御所芸人たちのどの番組に出ても合格点のヒットを必ず出す凄まじさももちろん分かるが、若手ならではの「ガツガツ感」こそが芸人の専売特許のような気がしている。

帽子田
記事一覧
芸人、ライター
別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


【写真特集】若っ!金髪姿の岡田将生。浴衣、くるんくるんパーマヘアも…
【この写真の本文に戻る⇒】岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
朝ドラ史上、いやテレビ史上に残る名判決シーン。「政治の貧困」の言葉が胸に突き刺さる
 昭和38年6月、桂場(松山ケンイチ)は最高裁判事のひとりに任命される。  竹もとで修業に励む梅子(平岩紙)、そし...
桧山珠美 2024-09-07 06:00 エンタメ
夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ