M-1王者・たくろうが「面白くない」人に伝えたい。現役芸人が圧倒された“凄まじさと名人芸”

帽子田 芸人、ライター
更新日:2025-12-27 11:45
投稿日:2025-12-27 11:45

一部で「笑えない」という声があがる理由

 たくろう反対派の意見をまとめてみると、「大喜利漫才だったが、それにしては答えが弱い」「素人っぽすぎて笑えない」などのコメントが多かった。

 僕が思うに、反対派がたくろうの弱点として挙げているポイントは、実はたくろうの強みである。ただ、お笑いは「共感」の芸だ。自分の感性やこれまでの人生経験に合致しなけば、とことん分かり合えないのが「漫才」なのだ。

 たくろうの漫才は共感を求める側面が非常に強い。簡単に言うとドンピシャでリアルな陰キャが言いそうな所を突いて、それに共感して笑ってもらうという軸でやっている。

 それ故に一遍の曇りもなく明るい人生を送ってきた人や、お笑いに馴染みがなく見方が分からない人にとっては、笑いにくい芸風だったのだろう。

「大喜利が弱すぎる」という意見については、「それも計算ずくですよ」と言いたい。きむらバンドの振りに対して、赤木が面白い答えを返す、というのが基本的なシステムなのだが、明らかに答えに強弱をつけている。

 この「弱」が気に食わない人も多かったのだと思うのだが、実はこの「弱」が漫才の機微を強調している。

 皆様ご存じの通りだと思うが、漫才には台本がある。強い大喜利まみれのネタだと、この台本感が強くなって客が引いてしまうのだ。

 たくろうは絶妙なタイミングで「今考えたんじゃないか?」と思わされるような生っぽい弱い大喜利を意図的に入れ込むことによって、台本を感じさせないリズム感を生み出している。これは並みの漫才師がやろうものなら、めちゃくちゃ冷めてしまう諸刃の剣である。

 加えて、その弱い大喜利も、噛み締めるとセンスを感じる答えであり、漫才に深みを出している。まさに名人芸だ。

絶妙な演技と演出が笑いを誘う

 また、たくろうは漫才で大事な演技も非常にうまい。細かく見てみると分かるが、赤木は時々ボケながら小さく笑ってしまうような仕草を入れている。「こんな答えをする自分が情けない」「苦し紛れで言っちゃったが、自分でも良くなさ過ぎて笑っちゃう」と言いたげな表情も見せている。

 これが漫才の「生っぽさ」を演出し、より笑いを誘うのだ。今までにこの手法を使っている芸人は少なく、いたとしてもたくろうがダントツにうまい。

 あとは丁度よい挙動不信感も、絶妙でたまらない。「たくろうのネタは漫才じゃない。コントだ」という意見もあったが、正真正銘漫才師で、間違いなくトップレベルの技術をもっている芸人だ。

帽子田
記事一覧
芸人、ライター
別名義では芸人として活動。一時期は年100本以上のライブに出演、ライブ主催の経験もアリ。一応現役の芸人ではあるが、ただのお笑い、バラエティ番組ファンでもあります。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


【10万いいね】鈴木えみ、20年前→現在の比較写真が“美しすぎる”と絶賛「変わらなすぎ!」「今の方が可愛い説まである」
 ファッションモデルから俳優業まで、幅広い分野で活躍する鈴木えみさん(39)。2025年7月7日に自身のInstagra...
春ドラマの評判を調査!本命『最後から二番目の恋』は2位。1位は意外な快進撃。日常系が人気、刺激疲れか?
 2025年の春ドラマが、次々とフィナーレ。今期はSNSでバズった顔ぶれも多く、ドラマファンからしても楽しいシーズンだっ...
「あんぱん」嵩は受かるのか…って次週予告編でネタバレか? アンパンマン声優の姿もチラリ
 のぶ(今田美桜)の家で暮らすことになったメイコ(原菜乃華)は、夢に向かって一歩を踏み出す。そしてのぶも、月刊誌の刊行に...
桧山珠美 2025-07-05 08:00 エンタメ
『あんぱん』のど自慢といえば「ひよっこ」有村架純を思い出す。メイコが歌うのはどの歌なのか?
 夕刊の話がなくなり、時間を持て余すのぶ(今田美桜)だったが、夕刊の代わりに月刊誌を出せることに。岩清水(倉悠貴)と歓喜...
桧山珠美 2025-07-03 18:11 エンタメ
TOKIO 国分太一騒動で危うい“料理イケメン”たち「男子ごはん」での気になる発言
 またひとり、旧ジャニーズのタレントが消えてしまいました。今度はTOKIOの国分太一(50)です。今月20日、無期限の活...
東海林(津田健次郎)はエラいのかポンコツなのか? ともあれ“ツダケン”の魅力的な演技に惚れ惚れ
 高知新報が夕刊発行の申請をし、のぶ(今田美桜)は編集長を任された東海林(津田健次郎)と先輩記者の岩清水(倉悠貴)と共に...
桧山珠美 2025-07-01 18:19 エンタメ
【再募集】2025春ドラマどうだった?面白かった&ガッカリを教えて!『あんぱん』『最後から二番目の恋』『対岸の家事』etc
 引き続き、2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。続々と最終回を迎えた4月よりスタートの春ドラマ、あなた...
「あんぱん」竹野内豊らが退場→津田健次郎と倉悠貴が新たに補充。イケメン好きにも優しい朝ドラに感謝したい
 闇市で渡された東海林(津田健次郎)の名刺を頼りに、高知新報にやってきたのぶ(今田美桜)。しかし、東海林は全く記憶にない...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
さや香、バッテリィズ…意外と多い「不仲コンビ」にグッとくる理由。仲良し芸人だけが正解なのか?
 千鳥MC『相席食堂』(ABC/テレビ朝日系)の6月3日放送回にて、「カウンセリング相席」と称した、お笑いコンビ・流れ星...
『あんぱん』嵩(北村匠海)に“たっすいがー”の面影はない。のぶへの言葉が胸を打つ「正しい戦争なんか、あるわけがないんだ」
 空襲の焼け野原でひとり佇むのぶ(今田美桜)の前に、嵩(北村匠海)が現れて再会を果たす。釜次(吉田鋼太郎)から事情を聞い...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
国分太一活動休止で消えた「TOKIO再集結」の光…木村拓哉に見せていた別の顔
 6月20日、複数のコンプライアンス違反があったとして、TOKIOの国分太一(50)が無期限の芸能活動休止を表明した。出...
こじらぶ 2025-06-25 07:50 エンタメ
大泉洋こそ“真のモテ男”じゃないか?「かくかくしかじか」の圧倒的な存在感に新たな一面を見た
  先日、いろんな意味で話題の映画「かくかくしかじか」を鑑賞してまいりました。「東京タラレバ娘」や「海月姫」などのヒット...
「あんぱん」のぶ、“落とし前”の付け方はそれでいいのか。次郎役の中島歩はあまりにも素晴らしかった
 終戦から5か月が経ち、国民学校ではGHQの指導のもと軍国主義教育からの転換が図られる。のぶ(今田美桜)は病気が一向に回...
桧山珠美 2025-07-01 17:39 エンタメ
『バチェラー6』第8話(最終話)を正直レビュー! ラスト予想、当たった人いるの? 制作サイドにまんまと騙されました
『バチェラー・ジャパン』シーズン6を、シリーズの大ファンである筆者が、正直にレビュー。今回は第8話。本編最終回です。小田...
中村未来 2025-07-25 15:23 エンタメ
曽田陵介、FANTASTICS佐藤大樹と“縁”に驚き「青春時代の人が隣にいた!」甘酸っぱい中学生の頃
 2019年に俳優デビューをきっかけにドラマ、映画、舞台とさまざまな作品に出演。そして先ごろ放送を終了した『いつか、ヒー...
望月ふみ 2025-06-23 07:00 エンタメ
【募集】2025春ドラマの感想は? 面白かった&ガッカリを教えて!『対岸の家事』『最後から二番目の恋』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「面白かった」作品や「...