M-1グランプリ優勝の「たくろう」に5年半前、徹底して注意したこと

更新日:2025-12-27 18:08
投稿日:2025-12-27 18:05

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#272

 たくろう

  ◇  ◇  ◇

 先日の「M-1グランプリ2025」で栄冠を勝ち取った、たくろう。2021年4月放送の私の「プロフェッショナル~仕事の流儀~」で密着取材中、たまたまネタ見せに来たのが、たくろうとツートライブでした。そのツートライブが5月に「THE SECOND」で優勝。たくろうも続き、うれしい限りです。

 よく声の通るきむら君と入学時から今の独特の間と豊かな表情表現の赤木君はNSCの先輩後輩。きむら君は赤木君を紹介され「こんなオモロいヤツおんねや!」と思ったそうで、私も赤木君はいい相方を見つければ売れると思っていました。

 関西のコンテストでは常に優勝候補に挙がりつつ「おもしろいネタやねんけど……」と、悔しい結果が続いていました。

 その大きな要因に赤木君のおもしろさでもある“ボソボソしゃべり”がありました。声量、特に語尾が聞き取りにくくて“ボソボソしゃべり”のおもしろさを強調するつもりが、かえって足を引っ張っていたのです。プロフェッショナルに収録されたネタ見せ風景でも「どんなにオモロいこと言うてもお客さんが聞き取れないと、笑いにはつながらへんから、意識的にでも語尾をしっかり言って。お客さんに全ての音を聞きとらすように」と注意を徹底しました。

 取材から5年たち、課題をクリアしてバージョンアップしてくれました。具体的に言うと、これまでのきむら君のネタふり→赤木君のボソボソボケ→ツッコミ、というオーソドックスな構成から、むちゃブリ(ボケA)→思いつきのむちゃな答え(ボケB)と、ツッコミを省いた、たくろうらしい「ダブルボケ」の形にして、説明をカット。赤木君のスローなしゃべりでも十分なボケ数を確保しました。それまで無理やりで意味不明な部分が多かった赤木君のボケが、むちゃブリに“仕方なく”意味不明なボケを言うという必然性が生まれ、より言葉に力が出ました。

 M-1の翌日、きむら君から優勝報告の電話をもらいました。「(赤木君の)語尾ハッキリ聞こえたぞ!」と言うと、赤木君のしゃべりを生かすために1年ほど前から取り組んできたとのこと。「僕らはエッジの利いたツッコミもインパクトの強いボケもできませんから、目の前のお客さんに笑ってもらうことだけ考えてます」と原点回帰を強調。「お世話になったみなさんに感謝しかありません。これからも劇場に出続けたいです」とうれしいことを言ってくれました。

 赤木君は「もうアルバイトをしたくない」と言ってましたが、バイトをする暇がなくなるほど仕事が増えることでしょう。

(本多正識/漫才作家)

エンタメ 新着一覧


平野紫耀らNumber_iに疑問噴出…「アイドル性」は必要なのか? 3人の“本気”がファンに問う覚悟
 平野紫耀(28)、神宮寺勇太(27)、岸優太(30)からなる3人組ボーイズグループ・Number_i の全国ツアー「N...
こじらぶ 2025-10-28 14:02 エンタメ
「ばけばけ」髙石あかり、恐るべし。“微妙な表情”の変化に気付いた? 「半分弱」に寺尾聡の元妻を思い出す…
 下宿では教員試験を終えた錦織(吉沢亮)の慰労会が行われ、トキ(髙石あかり)はお祝いの出し物を披露することになり、大好き...
桧山珠美 2025-10-25 11:08 エンタメ
『ラブ トランジット』3が修羅場で面白すぎ!平和主義男子と爆発女子が激突。イケてる男女って展開早いの?【1話~3話レビュー】
 ついに『ラブ トランジット』シーズン3(Prime Video)がスタートしました! ラブ トランジット(以下ラブトラ...
中村未来 2025-11-05 11:10 エンタメ
「ばけばけ」傳ロスからの“国宝”級イケメンが登場! 吉沢亮、怒りを孕んだ表情の美しいこと…
 出奔した銀二郎(寛一郎)を探し、東京を訪れたトキ(髙石あかり)。銀二郎が住む下宿でトキは、松江随一の秀才・錦織友一(吉...
桧山珠美 2025-10-21 18:50 エンタメ
横浜流星、『国宝』はここから? “圧巻の演技”を見せた出演作4選。吉沢亮とは2012年に共演、肉体美の披露も
 公開からすでに4カ月以上が経過しながらも、いまだ連日超満員の映画『国宝』。このままの勢いで、歴代邦画実写史上1位の興行...
zash 2025-10-21 11:45 エンタメ
「ばけばけ」銀次郎、逃げて~! あさイチ・博多大吉の言葉に同意してしまった
 傳(堤真一)の死から数日、機織り工場は閉鎖が決まり、トキ(髙石あかり)は仕事を失ってしまう。借金取り・森山(岩谷健司)...
桧山珠美 2025-10-20 17:40 エンタメ
菊川怜「今も台風の真っただ中にいる」3人の子育てと仕事の両立という選択。忙しくても“譲れないこと”とは
 1998年にモデル活動からスタートし、現在ではシングルマザーとして、6歳、4歳、3歳のお子さんを育てている菊川怜さん(...
望月ふみ 2025-10-19 11:45 エンタメ
「ばけばけ」“闇落ち”三之丞(板垣李光人)が切ない…トキ(髙石あかり)の言葉は優しいウソなのか
 トキ(髙石あかり)の献身もあり、傳(堤真一)の体調に回復の兆しが。トキは代理社長の三之丞(板垣李光人)に回復の報告をす...
桧山珠美 2025-10-18 11:38 エンタメ
「ばけばけ」トキ(髙石あかり)と“もうひとつの親子”の姿にうるっ…。三之丞(板垣李光人)の行動が意味深?
 トキ(髙石あかり)が傳(堤真一)の看病をはじめて3週間。傳の具合は回復しない。工場では傳が戻るまでに経営状況を回復させ...
桧山珠美 2025-10-16 16:58 エンタメ
「ばけばけ」岡部たかしの“芸達者ぶり”に感心…。そして北川景子の夫・DAIGOの登場に期待したいわけ
 病に倒れた雨清水傳(堤真一)。トキ(髙石あかり)は日頃、お世話を焼いてくれる傳への恩返しのため、看病を買って出る。日中...
桧山珠美 2025-10-15 16:30 エンタメ
Snow Manが“客寄せパンダ”と物議も…無視できない多大なメリット。異様に高い“再生数”で海外の注目を集めるか
 韓国の人気音楽番組「ミュージックバンク」(KBS)が主催する12月の「2025 MUSIC BANK GLOBAL F...
こじらぶ 2025-10-14 11:45 エンタメ
【芸能クイズ】再始動のダウンタウンに期待の声。では「笑ってはいけない」第1回の“ペナルティー”は何だった?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
“超豊作”の秋ドラマがアツい! 大泉洋×野木亜紀子に期待爆発、三谷幸喜の“クセ強ドラマ”はジワ伸びの予感?
 夏の暑さが落ち着き、心地よい夜風が吹くこの季節。ドラマの秋がやってきました!  2025年の秋ドラマは、まさに「...
「ばけばけ」お見合い相手は“べらぼう”の29歳俳優じゃないか!過去“朝ドラ”女優も登場で今後が楽しみ
 両家の親同士も良好な雰囲気で、トキ(髙石あかり)と銀二郎(寛一郎)のお見合いはうまくいきそうな空気に。このままいけば結...
桧山珠美 2025-10-11 12:30 エンタメ
フワちゃんを許すことが“大人”なのか? 非常識な人にブチギレるのは当たり前ではないのか
 Xで芸人・やす子に対して、《おまえは偉くないので、死んでくださーい 予選敗退でーす》と揶揄する投稿をしたことをきっかけ...
堺屋大地 2025-10-10 13:06 エンタメ
永野芽郁、「お兄ちゃん」呼びの“癖”を暴露されて可哀想。“妹アピ”に騙される単純な男が多すぎる件
 今年4月、田中圭との不倫疑惑スキャンダルで世間を騒がせた永野芽郁が、3年ほど前の交際相手・坂口健太郎から二股をかけられ...
堺屋大地 2025-10-09 11:45 エンタメ