田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

更新日:2025-12-27 18:08
投稿日:2025-12-27 18:05

【続続・あの有名人の意外な学歴】#9

 田原俊彦

  ◇  ◇  ◇

「ディナーショーといえば、まず名前が挙がるのが田原俊彦さん。64歳となった今も人気はまったく衰えていない」と感服するのは有名ホテルの関係者。チケットを売り出すと、すぐに完売してしまうという。旧ジャニーズの歴史にくわしい芸能記者も「独立して一時、干されていた時期もあったが、辞めジャニではもっとも成功した一人」と話す。

 神奈川県横須賀市で生まれた田原に不幸が襲ったのは小学校に上がったばかりの時。小学校の教師だった父が亡くなってしまうのだ。家族は母の生まれ故郷の山梨県甲府市に移り住むことになり、同市の公立小学校に転校した。高学年になると「学校のボス」と見なされ、公立中学では不良グループに入ったと、自著「職業=田原俊彦」(KKロングセラーズ)で明かしている。この本に関し、大手出版社の編集者は「中身のないタレント本がほとんどの中にあって、触れられたくない事実や心情を正直に吐露した秀作」と評価する。

 中2になると、新聞配達を始めた。6畳2間しかない小さな家に母、姉2人、田原、妹が暮らしていたが、家族を助けるためにアルバイトに励んだわけではなかった。オシャレに興味を持ちだし、稼いだ月1万2000円のカネはブランド服の購入に消えた。それを知りながら、母は田原のためにぎりぎりの家計から塾に行く費用を出してくれた。3人の姉妹は誰も塾に通わせてもらったことはない。高校は県立甲府工業の土木科に入った。母のためにも卒業するのは至上命令だった。

 その一方で田原には別の考えがあった。母を安心させるために高校は行くにしても、測量士や建築関係の仕事に就くつもりはなかった。中学から思い描いていたビジョンがあったのだ。貧乏から抜け出すには芸能界に入るしかないと--。

 高校入学の直後、ジャニーズ事務所に履歴書を送った。だが、いつまで待っても返事は来ない。業を煮やした田原は夏休みに事務所を訪ねてみることにした。ジャニー喜多川氏に直談判することにしたのだ。「行けばなんとかなると思っていた」と著書で振り返っている。

 東京は小学校の修学旅行以来である。事務所に押しかけると、秘書が「ジャニーさんは有楽町の日劇にいる」と教えてくれ、さっそく会いに行った。

 この無邪気で無鉄砲な行動が功を奏した。ジャニー氏はいろいろ質問したあと、「毎週日曜日だけでもいいからレッスンに来なさい」と言った。研修生として採用されたのである。田原に光るものを感じたに違いなかった。レッスンを終えると、ジャニー氏は毎回、中央本線で甲府に帰る田原を新宿駅のホームまで見送ってくれた。

 だが、デビューまでの道のりは長かった。高校を卒業しても、まだ中ぶらりんのままだった。卒業から3カ月後、ようやく「3年B組金八先生」のオーディションに合格。放送が始まってまもなく、中3を演じる田原は19歳の誕生日を迎えた。

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


【おむすびにモヤっと】すべては結のおかげ、動かずして感謝されるヒロインの今後は?
 2012年1月17日。結(橋本環奈)は神戸で両親や商店街の人たちと17年前の阪神・淡路大震災の犠牲者を追悼して黙とうす...
桧山珠美 2025-01-31 16:57 エンタメ
【おむすびにモヤっと】結の出産も大震災直後の描き方もショートカットが凄まじい…米田家の呪いはどうした?
 テレビを見て、東日本大震災が発生したことを知る結(橋本環奈)たち。歩(仲里依紗)は被災の映像を見て呼吸が荒くなり、そば...
桧山珠美 2025-01-15 18:30 エンタメ
冬ドラマを調査!炎上騒動『べらぼう』への評価は? 『ホットスポット』や『御上先生』への期待も聞いた
 2025年冬ドラマが続々とスタートしました。まだ初回放送前の作品もあるなか、それでも今期のドラマに期待している人は多い...
【おむすびにモヤっと】“不揃い”な春キャベでロールキャベツ? 平成のバカップルにこうのとりが…
 2010年春、結(橋本環奈)と翔也(佐野勇斗)は大阪のアパートで新婚生活を始める。家事を分担しながら共働きをして公私と...
桧山珠美 2025-01-13 18:30 エンタメ
横浜流星は“まだ誰のモノでもない”感も含めて尊い! NHK大河が「べらぼう」に面白い
 NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」がスタートしました。主人公の蔦屋重三郎を...
【おむすびにモヤっと】メンチ切り合った2人がなぜ? 見たいシーンを出し惜しむのが「おむすび」クオリティ
 結(橋本環奈)と翔也(佐野勇斗)は、保留とされていた結婚を進めるため2人が考えた生活プランを親たちに説明する。会社で初...
桧山珠美 2025-01-11 06:00 エンタメ
【おむすびにモヤっと】サザエさん風に「歩、スマホを買う」「結、節約に目覚める」「翔也、仕事する」の3本
 歩(仲里依紗)に、聖人(北村有起哉)がまた携帯電話を買ったのか問うと、歩はスマートホンだと答える。新しい出始めの商品に...
桧山珠美 2025-01-08 17:30 エンタメ
「べらぼう」初回、セクシー女優3人が裸死体姿に…AV業界人どう見た?「裸に意味を語らせる照明が必要」
 5日にスタートした横浜流星(28)主演のNHK大河「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」(NH...
【募集】冬ドラマ何見る?『べらぼう』『家政夫のミタゾノ』『日本一の最低男』など期待&ガッカリ教えて!
 コクハクでは2025年冬ドラマを対象としたアンケートを実施します。あなたが現時点で「楽しみにしている」ドラマ、そして「...
【おむすびにモヤっと】「プロフェッショナル」で壮大なネタバレ感!14週は元スケ番vs元レディースの様相
 結(橋本環奈)が糸島から神戸に帰ってきて愛子(麻生久美子)や歩(仲里依紗)が迎える。だが、一緒に永吉(松平健)と佳代(...
桧山珠美 2025-01-31 16:57 エンタメ
【2024年人気記事】伊藤健太郎は破局して正解! “小栗旬軍団”加入でバーター出演の機会にも恵まれる
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
【2024年人気記事】悪評だらけの天才、平手友梨奈が遅刻やドタキャンを繰り返す本当の理由
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
堺屋大地 2025-01-04 06:00 エンタメ
【2024年人気記事】松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
 あけましておめでとうございます。2024年は「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記...
帽子田 2025-01-02 06:00 エンタメ
【2024年人気記事】なぜ塚地武雅、藤井隆はドラマ出演が続く? 不人気芸人との決定的な違い
 2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
【2024年人気記事】『新宿野戦病院』小池栄子の英語、海外はどう思う?「下手というより…」
 2024年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大きかった記事を再掲載します。こちらの記事初...
映画「聖☆おにいさん」全力でおバカを演じる松ケン&染谷将太たち。評価は真っ二つだけど…
「M-1グランプリ2024」の準優勝バッテリィズに元気をいただきました。エースでしたっけ。やはり“おバカ”は最強です。優...