どちらも痛いけど…DVとSMの違いについて考えてみました

内藤みか 作家
更新日:2019-03-06 20:31
投稿日:2019-02-18 06:00
(写真:iStock)
(写真:iStock)

 こちらでは、はじめまして。作家の内藤みかと申します。私は、あたらしもの好きです。いろいろな新しいモノやコトを試したり観察するのが大好きです。こちらのコラムでは、新しいモノやコトについて、私なりの切り口で考察していこうと考えています。

 最近私が考えているのが「DV」と「SM」の違いです。意味を調べてみました。

 ・DVとは、パートナーに暴力をふるうこと。

 ・SMとは、暴力をふるったりふるわれたりすることに、性的な興奮を感じること。

 どちらも愛する人への暴力というところは同じなのに、イメージが随分違うのは、なぜなのでしょう?

■合意の有無の違い

 私は、合意の違いではないかと思っています。

 DVは、暴力を受ける側は、それを合意していませんし、嬉しく思ってもいません。けれどSMは、暴力を受ける側は、それを合意していますし、むしろ悦んでさえいます。この違いは、とても大きいのではないでしょうか。

 たとえば恋人の男性からぶたれた女性がいるとします。そうしたことを望んでいない女性がぶたれたら「なんでぶつの?」「ひどい!」と怒ったり、悲しんだりという感情が湧いてくるでしょう。場合によっては女性も殴り返して乱闘になるかもしれないし、警察に通報する事態になるかもしれません。どちらにしても、あまり幸せな発展にはならなそうです。

 けれど、もしそういうことを望んでいる女性が男性からぶたれたら「もっと、もっと!」になるわけです。そうした女性はぶたれたことによって、幸福感や満足感、そして愛されている実感さえも得てしまうのです。DVに比べて、めちゃくちゃ幸せそうです。

■怒り度合いの違い

 同じことをされても、立場や趣向によって、受け止めかたは全然違うものになってしまうというのは、とても興味深いです。もちろん、いくらSMが好きだからといって、日常生活でいきなり恋人から殴られたら、その時は怒ることでしょう。けれど、性行為中にぶたれたら、その時は悦ぶのでしょう。同じ人であっても、シチュエーションによって、感情に差が出てしまうのだから、不思議です。

 あとは、怒りの度合いにも、大きな違いがあるのではないでしょうか。

 DVをふるう男性の場合、殴るときは、怒りに満ちているものです。「この野郎!」と言わんばかりに相手の女性を力で制圧しようとするのです。けれどSMの場合、男性は、その女性を愛しているからこそぶつのです。そこには怒りはありません。

■配慮の有無の違い

 それから、相手への配慮にも、かなりの差があります。

 DVの場合、殴った男性は、殴られた女性がどのくらい痛いのか、どのくらいショックを受けたのか、ということを想像しようとしません。それどころか、相手への怒りで頭がいっぱいのため、女性がケガをして痛そうにしていても決して優しくせず「お前が殴られるようなことをするからだ」という態度を貫き、相手とコミュニケーションをとることから逃げようとさえします。

 では、SMの場合、どうでしょうか。実のところSMは相手への気づかいに満ちている気がします。どのくらいの力でぶったら命の危険があるか、どのように辱(はずかし)めたら快楽を感じるのかなど、常に女性の状態を思いやっているからこそ、痛みの向こうにあるギリギリのところを突いてこれるではないでしょうか。

■思いやりの違い

 あれこれ考えた末、思いやりのない暴力がDV、思いやりのある暴力がSMという結論になりました。やはり、嫌がっている相手に手をあげてはいけないと思います。

 こんなにあれこれ考察しているのだから、私は相当なSM趣味があるのだろうと思う人もいるかもしれません。けれど、私はそうした性癖は持っていません。だけどDVとSMは、どこが違うんだろう? ということを考えたら、止まらなくなってしまうのです。

 どちらかというと、かわいい男の子をいじめたいという願望のほうは、うっすら持ち合わせている気がしないでもないですが……。

 こんな感じのことをつらつらと書いていければと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

内藤みか
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作家
著書80冊以上。大学時代に作家デビューし、一貫して年下男性との恋愛小説を書き綴る。ケータイ小説でも話題に。近年は電子媒体を中心に活動。著書に「あなたに抱かれたいだけなのに」など。イケメン評論家として、ホストや出張ホストなどにも詳しい。
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