「教場0」不振のワケは…
一方で、木村が主演した「教場0」は、今月19日放送の最終回こそ世帯平均視聴率10.6%だったが、木村主演連ドラ史上初めて全話平均9.8%と1桁を記録してしまった。またドラマ満足度調査でも70~80Pt台をうろつくなど不振が続いた。
Tverのお気に入り登録数は100万人を超えているが、これは過去に放送され大好評だった単発スペシャルドラマ「教場」('20)、「教場II」('21)で稼いだ分に上乗せされている。それも前述の通り0から積み上げた「王様に捧ぐ薬指」に追い抜かれてしまった。
「教場」、「教場II」は警察学校を舞台とし、木村がこれまでの“カッコいいヒーロー像”を覆し、冷徹な教官・風間公親として訓練生をふるいにかけるなど、ヒリヒリとしたリアルさが醍醐味だった。
しかし「教場」、「教場II」の前日譚である「教場0」は、風間が警察学校へ赴任する以前の捜査一課の刑事時代を描いたが、ストーリーが「ありえない」「ツッコミどころ満載」と酷評の嵐だった。
とにかく雑に犯行がなされ、ぶっとびトリックやアリバイ工作を風間が指導する新人刑事らがざくっと突き止め、あっさり犯人が自供するトンデモ展開が全話を通じて貫かれた。
“バディ”となる新人刑事役に赤楚衛二(29)、新垣結衣(35)、北村匠海(25)、白石麻衣(30)、染谷将太(30)と今旬俳優を迎えたが、彼らは2話ずつ入れ替わりで登場する形で、キムタクと彼らの豪華揃い踏みを期待した視聴者は肩透かしを食らうこととなった。
最終回でまさかの禁じ手
また縦軸となった風間の片目を失明に追い込んだ事件の犯人・十崎を演じる森山未來(38)や、風間の“裏のバディ”柳沢役で9年ぶりのドラマ出演となった坂口憲二(47)も無駄遣いに終わった。
各回メインの事件の片隅で細々と描かれた凶悪犯・十崎と、それを追い詰める柳沢だったが、のらりくらり逃亡され、特段深い風間との絡みも無く、ついに最終回では禁じ手の「続きは続編で」で終わってしまった(続きがドラマか映画かは不明)。
キムタクは福山に“敗北”していない
また今作は放送前から、同じ刑事ドラマである福山雅治(54)のTBS系日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-(以下、ラストマン)」との対決、通称「キムフク戦争」としても煽られていた。
だが福山の日曜劇場の視聴率は、初回から最終回目前の9話まで一度も1桁になることなく平均12%台と絶好調。ドラマ満足度調査でも首位を独走し続けている。
これらを理由に木村が福山に“完敗”などとも報じられているが、本当にキムタクは福山に負けてしまったのか――。
全くそうは思わない。「ラストマン」は“バディ”の大泉洋(50)をはじめKing & Princeの永瀬廉(24)、今田美桜(26)ら豪華キャストが毎話(入れ替わりでなく)揃い踏みしている。
そして何より脚本がしっかりしていて、現代社会の問題を織り交ぜた複雑な事件に、真犯人に辿り着くまでの過程、犯行動機も視聴者が納得いく形で丁寧に描かれている。
ゆえに、木村主演の日曜劇場「ラストマン」だったとしても、最低でも視聴率は全話平均2桁を獲得しただろうし、福山主演の「教場0」だったなら全話平均9.8%取れたかは分からない。
キャストと脚本の圧倒的大差
「ラストマン」が福山と大泉の安定した“バディ感”ありきだったとして、演技巧者の大泉が木村相手にそれを出来ないとも思えない。
とにかくキャストの揃い方と脚本の圧倒的大差によって木村が福山に負けたように見えるのは、あまりに酷だ。
あの雑な「教場0」で新境地を切り開き、全話平均2桁まであと一歩と迫った木村を心から称えたい。
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