妻が腹をくくってくれれば…
「自分が本当に情けないですね。ちゃんとしなくちゃって思うけれど、できないんですよ。多分僕は、能力が人並みじゃないんだと思います。
母も今の僕らの夫婦関係は心配してくれていて、この前、母から恵に電話をしてけっこう長く話したらしいです。
母は『恵さんがもっとしっかりしてくれれば、あなたたち夫婦はうまくいくはずよ』って言ってくれていますけど、そこまで恵にだけ負担をかけていいのかなって迷いますよね。
まぁ僕だって離婚はしたくないから、恵が僕に対して諦めてくれて、自分が夫を養うしかないのかなって腹をくくってくれたら、それが1番ありがたいです」
専業主夫を妻が認めてくれるか
現状を変える必要があるだろうと認識はしつつも、何から手をつければいいのかは見当もつかないと話すケンジさん。今後の夫婦関係についての考えを聞いてみると……。
「いやぁ、どうすればいいんでしょうね?
僕は能力がないから、もう今よりもいい条件で働けるってとこはないと思います。だから条件は悪くても、今の勤務先にしがみついていかなくちゃって思っています。
それを恵が受け入れてくれるかどうかに、かかっているんじゃないですかね……。
僕としては、恵が覚悟を決めてくれれば専業主夫になる覚悟もあります。母も、僕は勤め人には向かないから、家のことだけしていればいいんじゃないの? って言ってくれています。
母から恵にそういう提案もしてくれたみたいですけど、今のところ恵にその気はなさそうですね……。
今の勤務先にしがみつくか、思い切って専業主夫に転向するか……、夫婦をやっていくための方法というよりも、僕自身が生きる道がそのふたつしかないって思っています」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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