いびきの種類は大きく2つ!【専門家監修】メカニズムとカンタン対処術

コクハク編集部
更新日:2023-12-07 06:00
投稿日:2023-12-07 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 最近、自分のいびきが気になっています

「最近、自分のいびきが気になっています」

 茜さん(30歳女性/仮名)が悲しそうな顔で話しはじめます。

「ぐうぐうといびきをかいて寝ているらしく、家族からクレームがつきました。まさか自分のいびきで迷惑をかけるなんて……」

「いびきって自分じゃ気づかないものよね」

「とうとう夫に『別の部屋で寝てくれないか』と言われてしまい、ショックです。このままでは夫婦関係にヒビが入って、最終的に離婚、家族崩壊なんてことにも……」

「さすがにそこまでは考えすぎよ! ……でも、『絶対ない!』とは言い切れないのがつらいところね」

 いびきに悩み、ネガティブ思考に陥っている茜さん。これは放っておけません!

2. いびきの原因とは?

「そもそもいびきって、どんな人がかくイメージかしら?」

「なんでしょう? 疲れていたり、鼻が悪かったり? 太っている人が大きないびきをかくイメージもあります」

「一般的にはそんなところよね。いびきっていうのは主に『散発性いびき』『習慣性いびき』の2種類があるの」

 散発性いびきは一時的に起こるいびきで、疲労や風邪、飲酒による扁桃腺の腫れ、花粉症の鼻詰まりなどが原因によって起こります。

 習慣性いびきは、「単純いびき」と「睡眠時無呼吸症候群」に分けられます。

 単純いびきは寝ているときに常にかいてしまういびきで、とくに問題はありません。

 一方、睡眠時無呼吸症候群は「SAS」とも呼ばれる病気で、呼吸がいきなり止まって睡眠の分断が起きるため、睡眠の質自体が下がってしまいます。

 また、心筋梗塞などの合併症を引き起こす可能性もあります。

「なるほど。普通のいびきと、治療が必要ないびきがあるんですね」

「そうよ。でも、普通のいびきでも、あなたみたいに悩んでいる人もいるわよね。じゃあ、次は、いびきが起こるメカニズムも説明するわ」

3. いびきのメカニズムとは?

 鼻から気管支にある「上気道」が狭くなると、空気が通過するときに振動が起こります。これがいびきの正体です。

 眠っているときにいびきをかくのは、睡眠時に筋肉の活動が低下し、上気道が狭くなりやすいからです。

 慢性的ないびきの原因は、加齢による筋肉の衰え、肥満、顔の骨格なども影響します。

 また、飲酒、風邪や疲労などの突発的な原因により筋肉が弛緩し、上気道が狭くなって起こるいびきもあります。

4. 今すぐできるいびき対策

 ここからは、簡単に実践できるいびき対策を3つご紹介します。

4-1. 自分に合った枕を使う

 枕は低すぎても高すぎても適切とはいえません。低い場合は口が開いて舌が落ち込むため、気道が塞がる原因になってしまいます。

 また、高い場合はのどが圧迫され、気道が狭くなります。

 枕の高さの目安としては、仰向けになったときに気道が開いていることと、あごの下にシワができないくらいの高さであることです。

 ただ、枕の高さの好みは人によって異なります。

 オーダーメイド枕なら、フィッティングして細かい調整も行えるので、お財布に余裕があるなら選択肢に入れてみましょう。

4-2. 就寝4時間前にカフェインを摂取しない

 寝る前のカフェイン摂取は、寝つきが悪くなり睡眠に悪影響を及ぼします。

 以下のものは就寝前の摂取は避けましょう。

<カフェインが多く含まれているものの代表例>

・コーヒー
・紅茶
・日本茶
・コーラ
・チョコレート

 摂取を避ける目安は、就寝4時間前です。

 また、カフェインに限らず、寝る前の飲食自体が胃に負担をかけ睡眠の質を落とす原因になります。

4-3. 日中の活動量を見直す

 日中の運動量が少ないと、夜になかなか寝つけない場合もあります。

 ウォーキング、ストレッチなどの軽めの有酸素運動を習慣的に行うと快眠につながるのでおすすめです。

 日中にからだを動かすことで交感神経と副交感神経が切り替えられ、正しい生活リズムを保てるようになるのです。

 激しすぎる運動はかえって睡眠を妨げる原因になるので、有酸素運動をメインに行いましょう。

5. いびきで悩んでいるなら、まずは生活習慣の見直しから!

「いびきにもさまざまな理由があるんですね」

「そうよ。いびきを甘く見てはいけないわ。何かの病気のサインかもしれないもの。あと、普通のいびきでも、日常生活の過ごし方を変えることで軽減できることもあるのよ」

 相談者の茜さんの目をしっかり見つめながら、アドバイスするえりのボス。

「えりのさん、ありがとうございました! 悩みが少し軽くなった気がします」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 スッキリとした表情でサロンを去っていく茜さんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

 デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

「あんしん漢方」を詳しく見てみる

YouTube「Medical Health CH」

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


30代でもう更年期?【薬剤師監修】原因不明のイライラモヤモヤ…「プレ更年期」の症状と軽減方法
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
聞こえづらさの“元凶”はあのイヤホン!? 【薬剤師監修】老化以外に考えられる意外な原因の正体
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代の“愛されボディ”ってなに? 自分をもっと好きになるための美習慣&エクササイズ
 40代になると、どうしても筋肉量が落ちてきたり、たるみが気になったりと20代と同じにはいきません。  でも、40代な...
40代の“好印象デート”はスニーカーorヒール、どっちが正解? 賢い選び方と注意点
 40代女性がデートをする時、スニーカーとヒール、どちらが男性から好印象を抱いてもらえるのでしょうか?「デートといえばヒ...
あー、「髪のうねり」で見た目も不満も爆発寸前! 薬剤師が紹介する毎日の簡単ヘアケア&セットテク
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
毛剃りといえば貝印!VIO専用電動シェーバー2種を徹底比較。本田真凜のように肌の上を美しく滑るのか?
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
JK界隈で流行りの「seju顔」とは何ぞ? アラフォーでも“違和感ゼロ”なメイクのコツ
 seju顔とは、インフルエンサーやタレント、モデルなどが所属する芸能事務所「Seju」が由来になっている言葉。元テレビ...
キスに集中できん!彼氏の塩対応はいやーな口臭のせい?【薬剤師監修】口の臭いの原因・セルフチェック・対策
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
老け疲れ顔の原因No.1目の下のクマ! 種類別、ヒアル顔回避の治療法は?【目元の美容専門医師が解説】
 東京・赤坂にある「イートップクリニック」院長の増田えりかと申します。この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、...
【美容のウソ・ホント】ほうれい線がマッサージで消えるって本当? 医師3人の答えは/専門家監修
 SNSやYouTubeにさまざまな情報が溢れている昨今。美容について発信するアカウントも多く存在し、なかには同じテーマ...
更年期のセックス「痛いから演技しちゃう…」【薬剤師監修】性交痛対処のイロハ&おすすめの漢方薬
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
運動不足を5つの工夫で解消! 忙しいワーママの美BODYゲット大作戦
 体を動かすのが好きな人やダイエットをしたい人、健康になりたい人にとって、運動はとても大切ですよね。でも「忙しいワーママ...
「目が死んでる」アラフォー女性の“大損”アイメイク。20代女性が僭越ながら再現してみました
「目は口ほどに物を言う」ということわざの通り、目元が周りに与える印象は大きいですよね。  ですが、アイメイクのせい...
食欲の秋ですが! ダイエット失敗談“あるある”6連発、そりゃ痩せないよね…
「ダイエットをしても、いつも必ず失敗してしまう」と、痩せられないことに悩む人は多いようです。なぜ、みんななかなか痩せられ...
歳は取るもの、尿はちょい漏れるもの!? 40代向け尿漏れ対策に取り入れたいセルフケア【薬剤師解説】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...