毎日頑張るあなたがちょっぴり得した気分になれますように…。
【今回の女ことば】妙齢
ある日の校閲部内での話です。
Aさん「『妙齢のご婦人に声をかけられた』という部分は、どうしますか? 発言者は若い男性。つまりは『妙齢のご婦人』は年配の女性を指してて誤用ですよね」
Bさん「それもそうだけど…。いまは結構使ってんじゃないの。ほら、年齢相応という解釈、って辞書もあるよ」
Aさん「そうですが…正しい日本語ではないので」
◇ ◇ ◇
その後、Aさんは「妙齢」を「年配」に修正。言葉の使用としては正しいので、めでたし、めでたし。
でしたが、Bさんの言うことも間違いではないような気もします。
この「妙齢」は、「女性のうら若い年頃」(広辞苑 第7版)のように、若い女性のことをいいます。
■三省堂 国語辞典(第8版):【妙=若い】として、若い女性のほかに、<女性の>年は重ねたが、まだまだ若いと言える年頃。
■新明解国語辞典(第8版):(壮年以上の人や男性から見た)女性の結婚適齢期の称。
「年は重ねたが、まだまだ若い」や「壮年」=血気盛んで働き盛りの年頃の人(広辞苑)から見た、結婚適齢期とは具体的に何歳を指しているのでしょうか?
「結婚適齢期=クリスマスケーキ理論」
「結婚適齢期=クリスマスケーキ理論」をご存じですか?
1980年代、当時の初婚年齢が25歳だった(厚生労働省「人口動態統計」)ことから、クリスマスケーキ=25日(25歳)を過ぎたら売れ残りで結婚は難しい、という意味で使われていたようです。
ワタシも20代前半に、“壮年”の男性から「タダ美さん、クリスマスケーキにならないように気を付けて」と言われたことがあり、毎年この時期になると「クリスマスケーキ理論」を思い出します。
その忠告(?)もご指導もどこへやら、ですけどねっ。
【50歳ぐらいの妙齢の女性】
厚労省の調査によると、現在の平均初婚年齢は夫31.1歳、妻は 29.7歳で、どちらも1980年代から4歳以上も上昇しています。
晩婚化や未婚率も高まる中で、結婚を取り巻く状況は変化しており、「結婚適齢期」という言葉も変わってきているのかもしれません。
三省堂現代新国語辞典(第7版)では、若い女性の他に、年齢相応の魅力をたたえていること、その例として【50歳ぐらいの妙齢の女性が私を出迎えた】とあり、これは近年の用法としています。
Bさんが「最近使われている」と言っているのも、この点にあるようです。
Aさんは、この「妙齢」の使い方に違和感を覚えているようですが、今後、この使い方が広がっていくのか気になるところです。
(日刊現代校閲/タダ美)
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