魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
48歳。子なし夫婦15年目にぶつかった壁
48歳の朋花さん(仮名)は、現在55歳になる夫・ヒデユキさん(仮名)とのふたり暮らし。
結婚15年目ですが、子どもをつくらない選択をしたため、これまでずっと夫婦だけで暮らしてきました。
「お互いに初婚で、結婚は成り行き。ヒデさん(筆者注:夫のこと)とは仕事で知り合って、当時の住まいが近かったことから、週に何度か飲みに行く仲になって。
そのまま付き合って、そのまま結婚まで進んだって感じなので、情熱的な恋愛を経たわけでもありません。
結婚式はしましたけど、豪華な披露宴には興味がなかったので、海外で小さく挙げました」
これまで何度か離婚の危機はあったものの、おおむね順調な結婚生活を送ってきたと振り返る朋花さん。
しかしここへきて、夫との将来について大きな不安が押し寄せていると言います。
介護問題が現実味を帯びてきて…
「こういう話をすると、冷たい女性だって思われそうで友だちにも言いにくいんですけど…。
実は私、ヒデさんと老後まで添い遂げる自信がないというか、老後は一緒に居たくないって気持ちがとても強くなってきているんです」
申し訳なさそうな表情でこう話す朋花さん。
ヒデさんが最近、健康上の懸念を抱え始めたことから、急に介護問題が現実味を帯びてきたことに不安が大きいとのこと。
健康状態に不安が
「ヒデさんと私は“自由なスタイルの夫婦”というのがポリシーなので、新婚当初から今までずっと相手の生活にはほとんど干渉しません。
だから夕食も基本は別々で、ヒデさんは仕事の関係者と飲みに行ってから帰ってくることがほとんどですね。
休日も予定が合えば一緒に出かけるけれど、夫婦だからというだけで一緒に過ごそうとはしたことがないんです。
そういう自由すぎる生活がたたったのか…、最近のヒデさんは健康診断の結果もイマイチだし、体感としても若い頃よりも体調が悪いみたい」
老いを感じ始めている夫を見るたびに、朋花さんは「このまま一緒にいたら、自分が夫の面倒を見ることになる。まだ先の話かもしれないけれど、そうなってから逃げるのでは遅い。別れるなら今が最後のチャンスなのではないか…」と考えてしまうそう。
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