「推し活の私が韓国男子と交際?」アラフォー女性が告白 #1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2024-05-07 18:41
投稿日:2024-04-12 06:00

ママの誘いで店に行くと…

店の入り口の引き戸が開いたら…(写真:iStock)
店の入り口の引き戸が開いたら… (写真:iStock)

 ママから『愛香ちゃん、今夜、店に来ない?』と連絡があったのは、2週間後ぐらいでしょうか。

――愛香ちゃん、いらっしゃい。座って。

 店に行くと、ママがカウンター席に座るよう促してきたんです。しばらくすると、店の入り口の引き戸がガラガラと開き、

――ママ、遅くなってすみません!

 声のほうに視線を流した瞬間、私は息をのみました。韓流スターさながらの長身男性が立っていたんです。

(誰? サイボーグみたいに完璧なスタイル!)

 身長は軽く185センチはあるでしょうか。切れ長の目と高い鼻梁が、完璧な黄金比を描いている感じ…。小顔のわりに手足が長く、パリコレモデルでも通じるスタイルです。

 声を出せずにいる私に、ママが、

――ソジュンくん、遅いじゃない。さあ、ここに座って。

 超美形男性を私の隣に座らせたんです。まともに目を合わせられずにいる私に、彼は軽く会釈して腰を下ろしたのが分かりました。

超絶美青年の正体は…

アイドルを目指していたのも納得(写真:photoAC)
アイドルを目指していたのも納得 (写真:photoAC)

――愛香ちゃん、紹介するわ。ソジュン君よ。ボーイズアイドルを目指していたけど、今は友人の動画編集をしているの。

――えっ…アイドルを?

 私が聞き返すと、ソジュン君と呼ばれた彼がこちらを向き、頭をさげました。

――初めまして。ソジュンと申します。日韓のオーディション番組をいくつか受けたのですが、どこにも引っかからず、27歳になったのを機にアイドルはあきらめて、今は友人の会社を手伝っています。よろしくお願いします。

 そう笑みを向けられた時、私は目をしばたたかせました。

(なんて肌がキレイなの…シミひとつない…。鼻筋が通って唇の形もキレイ)

 まさに神が作った芸術品さながらの美貌です。よく見るとメンズメイクをしているのが分かりました。薄くファンデーションを塗り、眉を整え、アイラインも軽く引いています。メイクを差し引いても、透明感ある端整な顔立ちは、人間離れしていました。

オーディション番組の出演者が隣に…

観ていた番組のあの人が!(写真:iStock)
観ていた番組のあの人が! (写真:iStock)

――は、初めまして…愛香と申します。ボーイズグループの公開オーディションは、ネットでもよく見ていましたよ。失礼ですが、どちらのオーディションですか?

 私がドキマギしながら聞くと、

――『P』と『I』と『E』です。

 彼は大手事務所がプロデュースしているオーディション番組の名を挙げてきました。

――『P』なら観ていました。あら、もしかして、グループバトルでBTSの『I NEED U』でサブボーカルをしていた人…?

――そうです。見ていてくれてたんですね。嬉しいです。乾杯させてください。

――えっ。

『ほらほら、愛香ちゃん、乾杯よ!』ママはウィンクをしながらカウンター越しに腕を伸ばし、3人で乾杯をしたんです。

 日韓の女性から注目を浴びた有名なオーディション番組の一ファンとしては、平静でいられるはずがありません。

 すっかり舞い上がってしまい、どんな表情をしていたか、彼と何を話したか、どうリアクションを取ったか…。悔しいくらい嬉しさで記憶が曖昧なんです(笑)。

 覚えているのは、彼の美貌と白い歯、耳ざわりのいい低音ボイス、そして、夏の海を思わせる香水の匂いです」

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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