万が一の可能性を信じて
(奥さまとは家庭内別居で、会話は必要最低限。息子さんは可愛いけれど、寝る時はひとり…)
私は万が一の可能性を信じて、思い切って話を切り出しました。
――奥さんとはずっと結婚生活を続ける予定?
――いや、それは厳しいな。妻の悪口は言いたくないんだけど、妻は気が強くて、怒るとヒステリックになってね…。息子の前で夫婦ゲンカは避けているけど、正直、幸せな未来は描けないと思っている。離婚も視野に入れているんだ。
――もし……もしよ、正樹さんが離婚できたら、私を再婚相手の候補にしてもらえる?
一瞬の間がありました。
(やっぱり早急すぎた? 言わなきゃよかった?)
思わず唇を噛みしめた時、
――その言葉、僕から言おうと思っていた。
――えっ?
――千鶴さんと出会って、なんて素直で穏やかな女性だと思ったんだ。仕事も頑張っているし、いつも優しい笑顔で癒してくれる…ずっと一緒にいたいと思っていた。
――嬉しい…ありがとう。フラれることを覚悟していたから…。
切り出されたひとつの「お願い」
私は嬉しさと安堵で、思わず涙ぐんでいました。
――ただ、ひとつだけお願いがあるんだ。息子は4歳で、小学校はエスカレーター式の私立を狙っている。親として子供には最善のことをしてあげたいからね。妻とは必ず離婚するから、息子の小学校受験が終わるまでの2年間、待っててくれないだろうか。
――…2年。
――ああ、毎年、秋に受験があって両親の面接もある。合否の発表は11月。翌年4月に入学する間に離婚を成立させて妻の旧姓に戻すという計画を立ててるんだ。
気が遠くなりました。親には結婚をせっつかれているのに、早くて結婚は2年後。しかも、現段階では男女の関係ではないけれど、いずれ不倫関係になるでしょう。
その後、スムーズに結婚できる可能性は何%だろう…。知人の中には、不倫相手の『女房が離婚に応じるよう、説得するから』との言葉を信じて、すでに5年が経過しても不倫状態にいる者もいます。
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