勝ち組ママ友が放った屈辱的な一言。私を「一般人」と一緒にしないで!

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2024-08-16 18:06
投稿日:2024-08-10 06:00

【四ツ谷の女・大宮由香31歳 #2】

 四ツ谷・番町エリアに暮らす医師の妻である大宮由香は、娘・葵を名門お嬢様学校に通わせている。小学校に入った葵から友人ができたと聞くが、その子は赤羽に暮らす「キラキラネーム」の女の子だと由香は知る。警戒心を抱きながら、家に招待したところ…。【前回はこちら

 ◇  ◇  ◇

 数日後、愛舞(らぶ)ちゃんも了承し、母親と共に我が自宅マンションに来訪することとなった。

 そして、休日。ついにその日がやってくる。

「おはようございます、山田です」

「お待ちしておりました、どうぞお入りください」

 約束の時間ちょうどに、インターフォンが鳴った。ドアフォンを通じてセキュリティを開けると、1分もしないうちにその母娘は現れた。

「初めまして、山田愛舞の母です」

「わざわざありがとうございます、わたくし…え?」

 由香は、玄関の扉を開けるなり固まってしまった。

 懸念が、予想通りのことであったから。

名門校の保護者とは思えない

 娘の友人・山田愛舞ちゃんの母親はよくわからない海外のバンドTシャツにジーンズを合わせたラフな服装だった。それは、地元のやんちゃな友人を思わせる懐かしい普段着である。

 由香は戸惑いの表情を隠せなかった。そんな心の内をつゆ知らず、彼女はにこやかに自らの自己紹介をはじめる。

「娘がお世話になっております。山田愛舞の母、来良(らいら)です。今日は楽しみにしてきましたー」

「どうも…おあがりください」

 目を合わせずに、とりあえず家の中へ迎え入れることにした。

 年齢は由香と同じくらいだろうか。ショートカットの来良はベースの色こそ黒であるが、ところどころブラウンのハイライトを入れており快活な印象だ。

 娘同様、ハキハキとした明るい第一印象ではあるが…どこか相容れないものを感じる。彼女は最低限の礼儀としての手土産さえ持ってきている気配もなかった。

「お邪魔します」

 愛舞と来良は、座って靴を並べ、スリッパに履き替えた。その行動にひとまずの安心感をえた由香だったが、親子の足元を見て愕然とした。

 靴下も履いていない素足であったのだ。

 ――しかも、愛舞さんが着ているTシャツって…。

アニメなんて見せないのに

 呆然とする由香をよそに、葵は愛舞と手をつなぎ、リビングへ誘導していく。

「愛舞ちゃんの服、可愛いね」

「ポケモンだよー。知らないの?」

 葵にはニュースとNHK以外は見せていない。同じ学校に通わせていれば同様の教育方針だからと甘く見ていたが、どうもそうはいかないようだった。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

ライフスタイル 新着一覧


【動物&飼い主ほっこり漫画】第106回「コテツ妖精になる」
【連載第106回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「秒(ビョウ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
「気づかなかった」って本当? ズルさを感じる“忙しい”アピLINE3選。それ、やりたくないだけでしょ!
「忙しい」とアピールされたら、相手に少なからず遠慮したり気を遣ったりしますよね。しかしその心理を利用して、あえて忙しいア...
断捨離、終活…「モノを持たない」って本当に幸せなのか? 65歳童貞が提唱する“ミニマリスト”と真逆の生き方
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
お前はアイドルグループか? 更年期の味方「HRT」との出会い。婚活ぐらいマッチングが難しいやつめ
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
“にゃんたま”族が大行進!「おいしいオヤツはどこにゃ?」思わずシッポがピン♪
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ひとりって、寂しいですか? アラフィフ独女が思う“一人旅”の幸福論。「誰にも気を遣わない時間」はなんて楽しいんだ!
 20代からひとり旅を続けてきた私。気づけば、誰かと一緒よりも「ひとり」でいるほうが、ずっと自分らしくいられる気がしてい...
可愛い顔して暴れん坊!“良縁を結ぶツル”の凄まじい繁殖力と開運パワー。室内で楽しむのもオススメ
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋は、神奈川の片田舎でお商売をさせていだいておりますゆえ、応援してくださる農家さんもすぐ近...
上司の「社会人、何年目?笑」にモヤッ。その嫌味、こう返せばスッキリ!私の賢い対処法
 職場で避けて通れない存在、それが「上司」。何気ない一言が嫌味っぽく聞こえる上司にモヤモヤしている人、多いのでは? 面と...
「どんな親なの?と笑われる」キラキラもシワシワも…名前が“生きづらさ”を生む現代。親からの愛にラベルを貼るな
 キラキラネーム、シワシワネームなど年代によって“名前”の傾向が異なります。名前が“社会的ラベル”になる現代では、名前を...
「ママかわいいよ」息子にほっこり♡ 一方、スクショ拡散のトラブルも…子どものLINE6選
 最近では、子どもでも連絡ツールとしてLINEを使いこなしています。小学生はほのぼのとしたやり取りが中心だったのに、中高...
新人アイドル★にゃんたま君にロックオン! 赤いバラの二重奏がよく似合う
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「女として見れない」にグサッ。私がトラウマ級に“傷ついた一言”6つ。いまだに引きずってます…
 人から言われた一言によって、自分の価値観や人生が変わることもあるはず。傷つく言葉であれば、それがトラウマになったりコン...
【漢字探し】「腕(ウデ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
“モデル級”美猫の大胆ポーズもにドキッ。クールな見返りにゃんたまも♡ 幸せあふれる9連発
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 2025年9月にご紹介したもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかし...