年上が払う、おごる文化はご勘弁! 割り勘会計で気持ちよくいきませんか

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-02-04 14:58
投稿日:2025-01-22 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第14話は「年上が払う、おごる文化はご勘弁を」。

後輩だからおごられて当然なわけがない

 更年期について綴る『日日更年期好日』。今回は少し視点を変えて、中高年と呼ばれる立場になってからのモヤモヤを書いてみる。

 10~20代を経て、世間的には局(つぼね)と言われるポジションで仕事をして、当たり前のように後輩が一気に増えた。

 飲み仲間や友人も年下が多いし、特に年齢を気にせず行動していたけれど、周囲の自分に対する視線は少し違ってきている。そのひとつが「年上がおごる」ということ。視線に「先輩なんだからおごってくれるよね?」の期待が集中している。

 地元の静岡県浜松市へ帰省したときのこと。久しぶりに後輩と同年代の友人、3人で飲んでいた。あれこれ話しをして盛り上がり、酔いも回って会計時。伝票が店員から渡されると、後輩がこう言った。

「ごちそうさまでーす!」

 …はて? 飲みの場はすべて割り勘のつもりでいたけれど、彼の感覚は“先輩=おごる”という図式が完成されていたようだ。それは違うだろうと諭し、割り勘会計になった。

 持論だが年齢を理由におごったり、おごられたりしていると、飲みに誘いにくくなる。自分と出かけることで、財布の紐を緩めなくてはいけないと相手に思わせるのは、社交マナーとして成立しないと思う。後輩は「それは都会の常識で…」と酔いながら言っていたけれど、地方と首都圏で事情が違うとは思えない。

【こちらもどうぞ】「更年期じゃね?」「おばさん、更年期(笑)」適当な情報を鵜呑みした女子大生たちが悪いのか?

ごちそうさまは聞きたくない

 こんなこともあった。仕事をしていた某社の年下の担当さんから、飲みの誘いを受けた。私ははい喜んで、と言われた予算ひとり1万円で店を探して、ふたりで中華のコースを食べた。

 会話はそこそこの盛り上がり。が「はて?」はまた会計時に起きる。「ごちそうさまで…いいでしょうか?」と、担当さん。いいわけがない。これはそちらから誘いを受けた、仕事の会食。別に中華を食べたくてきているわけでもなく、親交を深めることが目的だ。

「いや~、最近、我が社も経費が切りづらくて。年上の先生(私)だと支払っていただけることも多いから、つい…」

 解せぬまま、後付けもよくわからない理由を並べられて、私が会計とはなんでしょう? 結局その場は割り勘会計となった。

 後日、担当さんのSNSにはあの日の中華料理が並んでいた。目的はこれだったんだろうか。会計を甘えるのはいいけれど、それならこちらから誘うし、予算も店も自分で設定するのに。

おごられるときの作法

 とはいえ、おばさんでもご馳走になることはある。例えば年商15億円の会社社長に私がおごると言ったら失礼にあたるので、ここは気持ちよくおごられることにしている。

 代わりに…といってはなんだけど、なるべく楽しい会合になるように努める。彼らは飲み会の席でいつも面白い情報を求めている。その情報をタネにして仕事をしているのだから、ここは私の情報量の見せどころ(?)でもあるのだ。

 あとは前述では成立しなかったけれど、メディアでは多い、飲食代を経費精算してもらえるときは気持ちよく飲んで、食べて、終わる。それが以外はすべて割り勘でお願いしたい。

若手におごってもらう時代の到来?

 いつから日本には先輩がおごる風習が根付いたのだろうか。あれこれ調べてみても論拠に乏しい。

 確かに私も後輩時代におごってもらった記憶はあるけれど、今から20年前の出版業界(元々出版社勤務です)は、令和と比べて圧倒的に景気が良かった。スマホを持つような利便さはなかったけれど、物価指数も今ほど高くなかった。

 そのうえ“おばさん”と言われる年齢になると、生活費以外にやたらお金もかかる。よくこの連載でも書いているが、更年期になれば婦人科に通い、漢方薬やホルモン剤のために多額の費用を払う。ほかにもリラクゼーションではなく、治療として鍼にも通う。

 そういえば最近、昔の銀歯が劣化して新しく変えることにもなったっけ。とにかくおばさんは金がかかるのよ。

 40~50代の賃金に未来が見えなくなる中、大卒初任給が36万円で年収500万円の企業も出てくるという。以後、若手におごってもらう…という風潮に変わってくれないだろうか。

 次回(#15)へ続く。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「謝りたい」ってどの口が! いじめっ子とまさかの再会、6人の攻防エピソード。反撃のチャンス到来!?
「謝りたい」ってどの口が! いじめっ子とまさかの再会、私のとった行動6つ。反撃のチャンス到来!?
30秒でピカピカ!? 噂の「洗面ボウルクリーナー」を試したら、あまりの結果に無言になった【ガチレビュー】
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
“にゃんたま”王者決定戦! プロレスの決め手はポロリ? 会場のボルテージも最高潮♪
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
御社は大丈夫? “忘年会”でやめてほしい5つの行動。上司の「話しかけろ」圧がめんどくさ!
 楽しく飲んで、笑って締めたい忘年会。でも、ちょっとした一言や行動で場が白けたり、翌日までモヤモヤが残ったりすることも…...
【漢字探し】「租(ソ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
義実家「長男の嫁ですよ?」がしんど! 帰省の圧を感じるLINE3つ。“親孝行したいときには親はなし”が重い…
 年末年始、帰省を楽しみにしている人もいれば、反対に「帰りたくない…」と思う人もいるはず。後者の人にとって親からの「帰省...
ひぇ~! 義父が「名付け親」に立候補してきた…ありがた迷惑な“孫フィーバー”エピソード7つ
 義理の両親が孫の誕生を祝うあまり、極端な言動に走ってしまう「孫フィーバー」。  あなたは心当たりがありますか? ...
プレゼントが売ってな~い!クリスマスに奮闘する“パパママ”のドタバタLINE3選
 我が子を笑顔にしようと奮闘するパパママの姿はステキですよね。とくにクリスマスはそんなパパママが増えるはずです。ただ、バ...
美味しくてヘルシー!「無印良品」の“罪悪感なし”おやつ3選。甘いお菓子の代わりにイイじゃん♪
 最近パーソナルトレーニングを受ける機会があって、トレーナーさんから食事指導をいただきました。  正直「自炊をして...
やっちゃった!忘年会の“大失敗”エピソード。上司にダル絡み、社内恋愛バレ…もう会社にいけないよ~
 忘年会の夜には、魔物が潜んでいるらしい。「今日は飲むぞ!」の解放感とアルコールの勢いが合体し、気づけばスマホの写真フォ...
神たま猫のご利益ください! 開運“にゃんたま”を擦って運気を爆上げ♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
義母の“下手な言い訳”が悔しい…「#ばぁばメロメロ」の投稿に衝撃。母親が家族への期待を諦めた日
 幸せなはずの結婚生活に影を落とす、姑との問題。令和の時代でも根強く残る嫁姑トラブルに直面したケースをご紹介します。
私、くさい? 居酒屋で “加齢臭”の恐怖と戦う。中年オンナの体臭対策はどうするべきか
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
ズボラ女にこそ威力を発揮!年末の強い味方「ドライフラワー」の底力を見よ。“風水的にNG”は勘違い?
 あっという間に今年も師走に突入でございます。猫店長「さぶ」率いる我がお花屋も、年末に向けて年末商品が店の外まで溢れてお...
「ウザいって言ってたよ」怖いのはネット? それとも…SNSなしでも“炎上”したあの頃。悪意が燃える瞬間
 SNSがコミュニケーションの重要なツールとなって久しい。速さに追われる時代に、言葉を選ぶ“間”の大切さを思い出させてく...
賃貸か購入か…40代からは住まいをどう選ぶ? “おひとりさま”の正解ポイント【資格保有者監修】
「賃貸か、購入か」。  住まいの話題になると必ず浮上するこのテーマは、避けて通れない話題です。特に子育ての必要がな...