友人の彼氏のED告白を聞いて思うのは、「正直、いいな」。

新井見枝香 元書店員・エッセイスト・踊り子
更新日:2025-02-27 06:00
投稿日:2025-02-27 06:00
 踊り子として全国各地の舞台に立つ新井見枝香さんの“こじらせ”エッセーです。いつでも、いついつまでも何かしら悩みは尽きないし、しんどいことだらけの日常ですが、生きていく強さを身に付けるヒントを共有できたらいいなという願いを込めまして――。

友人彼氏の「ED」告白(=コクハク)

 友人の彼氏は「ED」だそうだ。へぇ、SEなんだ~くらいの気軽さで聞き流したが、2人ともまだ私と同年代である。おぉ、もう我々ってそういう年頃なのか。

 もちろん年齢だけが原因ではないが、70代の2人に1人がEDと聞けば、年齢の高さと比例して増える症状であることは間違いないだろう。

EDは江戸の略?

 ED…て何の略だっけとスマホの検索窓に入れてエンターを押したら、神田にある「江戸っ子寿司」のサイトに飛んだが、多分違うだろう。ウェブ検索って自分の脳内を見るようで、たまに恥ずかしくなるな。

 ええと、EDED…閉じてなかった「床オナは危険!セックスでイけなくなる…」というタブが見つかったが(私は何を調べたかったんだ?)、当たらずとも遠からず。あ、優秀なAIが教えてくれました。勃起不全、Erectile Dysfunctionだそうです。

【こちらもどうぞ】電マの営業からラブホの清掃員へ…羞恥心とも戦うストリッパーが思うこと

男性ホルモンとスケベ心からの考察

 加齢だけでなく、糖尿病、肥満、運動不足など理由も様々で、症状によって程度の違いもあるらしい。勃起するまでに時間がかかるとか、持続時間が短いってだけでEDなんて言われたら、男性も大変である。

 私のホームである上野のストリップ劇場では、65歳以上の入場者にシルバー割引が適応されるが、開演直後の平日昼間なんて、ともすればUP65しかいない。統計通りなら、客席の半数がEDということだ。

 EDと男性ホルモンには密接な関係性があるはずだが、たとえ枯れかけていても女の裸を見たいという欲望は失せないのか。ストリップの濡れ場で、おおおとMPに向けて身を乗り出すのは、決まってシルバー世代である。

 そのことから、男性ホルモンの量とスケベ心は比例しないという可能性が生じ、EDだから性欲がないとは言えないという考察が生まれるが、ここは気付かなかったことにしておきたい。

可視化されてしまう男性の性欲

 それはそうと、先の友人の「彼氏がED…」コクハクに対する私の正直な反応は、いいな、である。本人にしたら男の沽券に関わる、重大な悩みかもしれない。

 だが、私は常々、好もしいと感じる男性に、可視化してしまう性欲がなければいいのに、と願うことをやめられない。さすれば、気が合う友達として、愛情を感じる家族のような存在として、心置きなく、対等に付き合えるのに。もし性欲を可視化させられた場合、理性で行動を抑えたとて、なかったことにはできない。

 私に対して性欲がある場合、たとえば楽しい旅行に出かけたとしても、ああこの素敵な宿も、猛り狂う性欲がひとまず落ち着くまでは、彼にとってはただセックスができる密室空間でしかないのだな、と悲しい気持ちになるのだ。

 行為自体の好悪ではなく、頭がそれでいっぱいの男性は、視野狭窄に陥り、感性が鈍化し、人間同士の会話がまず成り立たない。もちろん女性にだってそういう時はあるかもしれないが、男性の比でははない。(当社比)

新井見枝香
記事一覧
元書店員・エッセイスト・踊り子
1980年、東京都生まれ。書店員として文芸書の魅力を伝えるイベントを積極的に行い、芥川賞・直木賞と同日に発表される、一人選考の「新井賞」は読書家たちの注目の的に。著書に「本屋の新井」、「この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ」、「胃が合うふたり」(千早茜と共著)ほか。23年1月発売の新著「きれいな言葉より素直な叫び」は性の屈託が詰まった一冊。

XInstagram

ラブ 新着一覧


アラフィフ女性が「社会人サークル」でモテたわけ。恋に発展しやすい“穴場スポット”の見つけ方
 アラフォーやアラフィフの婚活でも、結婚相談所やマッチングアプリの利用をためらい、自然の出会いを求める人は少なくありませ...
内藤みか 2025-11-21 11:45 ラブ
「全ての罪を清算させる」信じていた親友に裏切られ…社長夫人の復讐計画。“Xデー”の瞬間はもうすぐ――
 世の中、不倫の話題で持ちきりだ。2024年に実施された調査によると、既婚男性の約2人に1人、既婚女性の約3人に1人が婚...
蒼井凜花 2025-11-21 11:45 ラブ
私は彼氏もいないのに!? 妹や弟の結婚めでたいけど…独身女のフクザツすぎる本音
 妹や弟の結婚は、心から祝福したい一方で、自分が独身で先をこされた場合は複雑な感情が入り混じる出来事でもあります。「おめ...
恋バナ調査隊 2025-11-21 08:00 ラブ
自立を促すと逆上…44歳の娘が家を出ない。子育てが甘かったのでしょうか(74歳男性、69歳女性) 
 独身の娘(44歳)が家を出てくれません。2年前に離婚し、出戻ってきました。10歳になる息子のシングルマザーです。結婚を...
植草美幸 2025-11-21 08:00 ラブ
彼の“大事な場所”にマーキング!? 女たちのやりすぎ浮気防止策5つ。試してみる勇気ある?
 彼氏が浮気しないように対策するなら、あなたはどのような方法を用いますか? 今回はみんなの変わった“浮気防止策”をご紹介...
恋バナ調査隊 2025-11-20 08:00 ラブ
34歳夫&妻55歳! 20歳超え「年の差」カップル6人に聞いてみたら…むしろ“超”年上が優勝だった
 今回は、20歳以上年上のパートナーがいる方に“超年の差で良かったこと”を聞いてみました。これを知れば、あなたの恋愛対象...
恋バナ調査隊 2025-11-19 08:00 ラブ
カーナビ履歴にホテルって!? 浮気が発覚した「彼氏の怪しい行動」5つ。謎アプリの正体に愕然!
 信じていた彼氏がまさかの浮気! いったいどんなきっかけで発覚したのか、浮気された経験のある女性に経緯をうかがいました。...
恋バナ調査隊 2025-11-18 08:00 ラブ
「経験人数は?」って正気ですか。婚活市場に潜むヤバすぎる男たち。いい母乳が出そう…ってキモすぎる!
 アラサー・アラフォーになると、本気で婚活を始める女性も多いですよね。婚活市場には素敵な男性ももちろんいますが、「何様で...
恋バナ調査隊 2025-11-18 08:00 ラブ
既読スルーを撃破!返信催促がうますぎる絶妙なLINE3選。褒められたらつい…
 気になる人、好きな人とのLINEはなるべく長く続けたいですよね。でも「返信は?」と催促するのは重く思われそうで気が引け...
恋バナ調査隊 2025-11-16 08:00 ラブ
「絶対に離婚しますよ」妻の冷たい一言で45歳夫が覚醒。毎日コンビニ弁当でも“期限までには”別れたい理由
「冷酷と激情のあいだvol.272〜女性編〜」では、仮面夫婦から完全なる家庭内別居まで悪化した夫婦関係に悩む妻・絵里香さ...
並木まき 2025-11-15 11:45 ラブ
「完全に“他人”扱いです」結婚18年目、こぼれた本音に夫が青ざめて…45歳妻が今も悔やむ一言
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-11-15 11:45 ラブ
【漫画】「妻の価値0点」夫の暴言に涙。扉の向こうにいた女は…サレ妻の復讐が始まる!『60点の夫婦でいいのに』#3
【『60点の夫婦でいいのに』あらすじ】  「お前の主婦力20点」「もはや妻としての価値0点」――結婚してから態度が豹変...
【漫画】「旦那さんかっこいい」自称・100点女の発言に戸惑い…不穏な笑みの意味は?『60点の夫婦でいいのに』#2
【『60点の夫婦でいいのに』あらすじ】 「お前の主婦力20点」「もはや妻としての価値0点」――結婚してから態度が豹変し...
【漫画】私の最高得点は60点…モラハラ夫の“採点”に耐える日々「俺に見合う女になれ」って何様?『60点の夫婦でいいのに』#1
【『60点の夫婦でいいのに』あらすじ】 「お前の主婦力20点」「もはや妻としての価値0点」――結婚してから態度が豹変し...
「後ろ振り向いてみてー」のLINEにギョッ! 浮気がバレた3つの瞬間
 今回は、浮気がバレた瞬間のLINE、つまりフラれる直前のLINEを見せてもらいました。長年付き合っていたとしても、終わ...
恋バナ調査隊 2025-11-15 08:00 ラブ
「俺は子作りの道具?」男性が反発する理由。年末に焦る女に伝えたい、本当の結婚への近道
 2025年の年頭に「今年こそ結婚する!」と誓った女性は、かなりいると思います。その言葉を胸に婚活に励んだ人もいたでしょ...
内藤みか 2025-11-14 11:45 ラブ