朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-04-02 17:20
投稿日:2025-04-02 17:20

第1週「人間なんてさみしいね」#3

 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでのぶが千尋の後ろに飛び乗り、楽しく漕ぐ3人。家に帰ってその様子を描く嵩に、寛(竹野内豊)は「こじゃんと絵を描け」と語りかける。

 翌日、しばらく留守にすると言って出ていく登美子(松嶋菜々子)を、嵩は千尋と共に追いかける。学校を欠席した嵩が気になるのぶは、シーソーに座り込む嵩を見つけて…。

【こちらもどうぞ】「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出

【本日のツボ】


嵩と千尋、兄弟の微妙な距離感

 ※※以下、ネタバレあります※※

 のぶ役の永瀬ゆずなのお芝居がうまいのは当然として、嵩役の木村優来もなかなか大したものです。なんとなくやなせたかしさんの面影を感じさせるところも萌えポイントです。ちゃんと似たような子を見つけてくるNHKの子役選びのセンス。その秘密、「プロフェッショナル 仕事の流儀」で特集していただきたいほどです。

 嵩と千尋は本当の兄弟でありながら、弟の千尋は子どものいない伯父夫婦の養子になり、しかもまだ千尋は幼かったのでそのことを覚えていないという…。なんともせつない話です。ふたりの微妙な距離感が成長するに連れて、どんなふうに変わっていくのか注目してきましょう。

 そんな嵩と千尋がシーソーに乗って遊んでいるところに、のぶがやって来ます。体重の軽い千尋が上がったままのシーソーを見て、千尋の後ろに乗り、「ギッコンバッタンギッコンバッタン」とやるのぶ。つられて2人も「ギッコンバッタンギッコンバッタン」と楽しく遊んでいたら、登美子の登場。「ダメじゃないの。黙って千尋ちゃんを連れ出したりして。大切なおぼっちゃんを怪我でもさせたらどうするの!?」と叱られる嵩。その後、嵩はのぶに、千尋が弟で、伯父の家の養子になったことなどを語ります。

「ねえ嵩、母さん、高知の街に用ができて、しばらく留守にするけど、嵩はこのうちで待っててね」。嵩を散髪しながら言い聞かせる登美子。「いつ、帰って来るの?」「すぐよ。用事が片付いたらすぐに迎えに来るから、いい子にしてるのよ」。

松嶋菜々子が「やまとなでしこ」の桜子に見えた

 これがフラグってやつですね。おそらく登美子は帰って来ないのでしょう。あまりにも身勝手する登美子を見ていたら、「やまとなでしこ」(フジテレビ系)の桜子に見えてきました。美貌を武器に、お金持ちの男をゲットするために合コン三昧のキャビンアテンダントでした。

 そういえば、「やまとなでしこ」を書いたのも「あんぱん」と同じ中園ミホ(共作・相沢友子)でした。「今夜はたったひとりの人にめぐり逢えたような気がする」と登美子にも言わせて欲しいような欲しくないような…。

 それにしても、毅然とした振る舞いといい、これ見よがしにスタイルを強調した派手な着物といい、もう桜子にしか見えません。2000年のドラマであれから25年経っているのに、松嶋菜々子の美貌は時を超えるようです。

 ラスト。学校を休んだ嵩がシーソのところでしょんぼりしているのを見つけ、「ずる休みはいかん。たっすいがはいかん」とのぶ。たっすいのは「へなちょこ」の意味らしいです。

「嵩はうちが守っちゃる」と言うのぶの力強い言葉に、「朝田のぶさん」「のぶでええって言うたやろ」「のぶちゃん」「なんでぇ嵩」「ギッコンバッタンギッコンバッタン」。いいシーンでした。嵩、「たった1人の人にめぐり逢えたような気が」しました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


佐藤健は「グラスハート」で主演・企画 俳優プロデュース×配信メディアの強力タッグで“次世代の真田広之”が続々誕生
 佐藤健が主演・企画・共同エグゼクティブプロデューサーを務め、ロックバンド「テンブランク」のメンバーの人間模様を描く、若...
2025-08-16 18:08 エンタメ
敵地で孤立した新米兵士の血みどろバトル…「ランド・オブ・バッド」で猛暑をぶっ飛ばせ!
【孤独のキネマ】  ランド・オブ・バッド   ◇  ◇  ◇  今さら言うのもなんだけど、世の中は暑い。熱中症で倒...
2025-08-16 17:03 エンタメ
ほぼ同期の「ビッグ3」のうち半アマチュアが半世紀現役の驚き
【1975 ~そのときニューミュージックが生まれた】#68  1975年のタモリ③   ◇  ◇  ◇  今回は特...
2025-08-16 17:03 エンタメ
広陵高校問題でアナウンサーの“個人的意見”が物議…会社の見解? コメンテーターとの役割の違いは?
【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】  確かに、広陵高校問題をめぐるアナウンサーの発言が賛否を呼んでいますよね。つい...
2025-08-16 17:03 エンタメ
夫の死から半年…小島瑠璃子の「金髪」に賛否 「それで良し」「喪が明けていないのでは?」
 タレントの小島瑠璃子(31)が8月14日にインスタグラムで公開した金髪姿が耳目を引いている。 《髪の毛の根元を染め直...
2025-08-16 17:03 エンタメ
SixTONES京本大我の"下ネタ系"投稿が物議で…8年前の風俗嬢トラブル報道の疑念が再燃
 SixTONESの京本大我(30)が12日、自身のXを更新し、「昨夜、自分のき◯たまを自分の踵で蹴ってしまってしばらく...
2025-08-16 17:03 エンタメ
徳光和夫さんは、たばこをやめられない私に「あなたも心筋梗塞になればやめられる」とほほ笑んだ
【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】  アナウンサーの代表的存在である徳光和夫(84)が、腰の手術を受けて入院中である...
2025-08-16 15:08 エンタメ
櫻井翔「放送局占拠」TVer登録数トップ独走!《くだらない》のに“元少年”に刺さるワクワク感の正体
 世帯5%前後、個人3%前後と好調とは言えない視聴率ながら、話題になっているのが櫻井翔(42=写真)主演の「放送局占拠」...
2025-08-16 15:08 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)と蘭子(河合優実)、“何か”が始まっちゃう? 嵩は作詞能力をいつ見抜かれたのか
 舞台公演は成功裏に幕を閉じる。数日後、なぜかぼんやりした様子の嵩(北村匠海)。そこに、また一緒に楽しい仕事をしようとた...
桧山珠美 2025-08-16 12:04 エンタメ
辻希美“第5子キラキラネーム”でママタレ稼業に大逆風…子供達が猛反対も家族会議で決定
 8月8日に第5子となる次女を出産した辻希美(38)の名付けセンスが物議を醸している。13日放送の「ぽかぽか」(フジテレ...
2025-08-16 10:58 エンタメ
風間俊介がジャニーズJr.のセンターの座を捨てて都立高校受験に専念した意外な理由
【あの有名人の意外な学歴】  風間俊介(俳優/42歳)   ◇  ◇  ◇ 「これまであまりいないタイプで、ジャニ...
2025-08-15 18:08 エンタメ
ダンディ坂野、レイザーラモンRGが“秀才の息子”に言わなかったこと…それぞれ全国模試1位、偏差値70超の強者
 “受験生の天王山”と言われる夏休みも後半に突入する中、話題になっているのが芸人の“教育論”だ。「ゲッツ!!」でおなじみ...
2025-08-15 15:08 エンタメ
カズレーザー、山里亮太…芸人はなぜモテる? 業界人が分析する「メロい」現象が起こりやすい納得の理由
 カズレーザーさんと女優の二階堂ふみさんが結婚した。週刊誌にも撮られなかったどころか、噂すらなかったので世間はびっくり&...
帽子田 2025-08-15 11:45 エンタメ
売れっ子だから稼いで当然? 永野芽郁&橋本環奈「同い年女優」超億ション報道を比較
 女優の永野芽郁(25)について、NEWSポストセブンが8月8日、《永野芽郁が過ごす4億円マンションでの“おとなしい暮ら...
2025-08-15 10:58 エンタメ
あいみょんもタトゥー発覚で炎上中、元欅坂46の長濱ねるも…日本人が受け入れられない理由
 日本人の“アレルギー”は根深いようだ。ファッション&ライフスタイル誌「GINZA」(マガジンハウス)9月号の表紙を飾っ...
2025-08-14 17:03 エンタメ
広末涼子と永野芽郁…「復帰」に向けて歩みはじめた女優2人の気になる今後
【芸能界クロスロード】  復帰に向けて2人の女優が動き出した。  今年4月、静岡県内の新東名高速道路のトンネル内で事...
2025-08-14 17:03 エンタメ