「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析
「女性宮家」の創設案は今国会で見送られたが、世間では「愛子天皇待望論」が高まりを見せている。最新刊『日本人にとって皇室とは何か』(プレジデント社)の著者で、皇室史に詳しい宗教学者の島田裕巳氏が、愛子内親王が”カリスマ性”を持つ理由を解説する。
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皇位継承を定めた皇室典範の規定によれば、愛子内親王が天皇に即位することはあり得ない。皇位は男系男子で継承するという原則が確立されているからである。しかし、そうした規定は今の皇室典範の前身となる旧皇室典範で定められたことで、古来の伝統というわけではない。実際、飛鳥時代から奈良時代にかけて、あるいは江戸時代には女性が何人も天皇に即位している。
最近刊行した拙著でも指摘したが、愛子内親王には、国民を強く引きつける「カリスマ性」が備わっている。それも、愛子内親王の皇族としての振る舞いには「自然さ」があるからではないだろうか。
戦後の皇室のキャッチフレーズになってきたのは、「開かれた皇室」である。これは、英国の王室をモデルにしたものだが、天皇が、憲法が規定するように日本の象徴、日本国民統合の象徴であり続けるためには、国民の支持が不可欠だからである。その分、皇族が国民の前に姿を現す機会は増えた。皇族は、その点で「見られる存在」である。常にそうした立場にあることは、相当なプレッシャーにもなると思われるのだが、愛子内親王は実にそれを自然にこなしているように見えるのだ。
男尊女卑傾向に終止符は打たれるか
皇室を開かれたものにする上で、女性皇族が果たしてきた役割は大きいが、女性皇族には二つの異なる立場がある。美智子上皇后や雅子皇后のように外から皇室に嫁いできた立場と、皇族として生まれた立場である。愛子内親王は皇太子夫妻の子として生まれたわけで、皇族としてどのように振る舞えばよいかを、無意識のうちに身につけているように見える。そこに大きな魅力があり、愛子天皇待望論が生まれる根本的な原因があるように思われる。
もちろん、現状ではあり得ないことだが、もしも愛子内親王が天皇に即位したら、そのインパクトははかりしれないものになるに違いない。それを境に、男尊女卑の傾向に終止符が打たれ、日本社会にすがすがしい空気が流れることになるのではないだろうか。
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