「国宝級イケメン」のレッテルを国宝級演技で払拭 吉沢亮はストイックな芝居バカ

更新日:2025-07-06 17:03
投稿日:2025-07-06 17:00

【今週グサッときた名言珍言】

「イケメンって言われることは嫌な思いはしないけれど、お芝居を見てくれよと」
 (吉沢亮/NHK「スイッチインタビュー」6月20日放送)

  ◇  ◇  ◇

 主演を務める映画「国宝」(東宝)が大きな話題を集めている吉沢亮(31)。そんな吉沢は若い頃から「国宝級イケメン」などと称されてきた。そのことについて率直な気持ちを語ったのが今週の言葉だ。特に10代、20代前半の頃はその思いが強く、役作りで無駄に太ってみたり、芋っぽく見せることに注力した時期もあったという。

 中学の頃、「学年の3分の1には告られた」(TBS系「日曜日の初耳学」2025年6月1日)と言うほど、モテた吉沢が芸能の道に進むのは必然だったのだろう。母が応募したオーディションで特別賞を受賞しデビュー。11年には「仮面ライダーフォーゼ」(テレビ朝日系)に出演するなど、はたから見ると順風満帆だが本人はそうではなかった。

 同世代で10代のうちからブレークしていった人が周りにたくさんいたため、「嫉妬というか、やっぱ悔しさ」そして「もっとやれるのに」という思いをずっと抱えていた(同前)。評価されるのは顔ばかりで、オーディションにも落ちることの方が多かった。「僕、顔しかイケてないですから(笑)」(講談社「ViVi」電子版=18年11月22日)などと自嘲していたこともあった。

 同じインタビューで自分が思うイケメン像を聞かれ「ストイックな人」と答えている。そのときは「僕はストイックさゼロなので(笑)」(同前)とも語っていたが、いまや業界を代表するストイックな俳優となった。

 親友・北村匠海は、「彼はもう芝居に生き、芝居に死ぬ人でしょうから。僕が知りうる中で一番芝居バカ」(「日曜日の初耳学」=前出)と評している。また北村は、吉沢がイケメンという評価に「あぐらをかかない仕事の選び方」をしていると言う。実際、彼は冒頭の番組でも「人間の内側のドロドロしたものを生々しく描く」作風に憧れ、李相日監督の映画「怒り」のオーディションを受けたことを明かしている。その選考には落ちたが、それから10年、NHK朝ドラや大河ドラマなどで研鑽を重ね、ついに同監督の「国宝」での主演にたどり着いたのだ。

「やればやるほど、自分に足りないものに気づく。先が見えなくて、絶望の繰り返し」(「Web éclat」25年6月29日)だったという1年半に及ぶ歌舞伎の稽古を経て、見事に演じきった。「国宝級イケメン」という“レッテル”を、そのストイックさで払拭し、国宝級の演技を見せつけたのだ。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」紅白未出場、浅田美代子の歌唱をここで聞けるとは。吉田鋼太郎の笑顔もグッとくる
 三姉妹揃っての朝田家ご帰還。朝ということは、蘭子(河合優実)は昨夜、のぶの家にお泊りしたのでしょうか。ならば、久々の三...
桧山珠美 2025-07-17 17:39 エンタメ
ラウール「愛の、がっこう。」コア視聴率1%台で爆死寸前… “ホスト美化”演出に若者ソッポ
 木村文乃(37)が主演を務め、Snow Manのラウール(22)がホストを演じるドラマ「愛の、がっこう。」(フジテレビ...
2025-07-17 17:03 エンタメ
ちょいマヌケな斎藤工も新鮮!日本版「誘拐の日」永尾柚乃×安達祐実“新旧天才子役”の共演が熱い
《うろたえる斎藤工さんは新鮮で魅力的ですね》なんてレビューもある。斎藤工(43=写真)主演の連ドラ「誘拐の日」(テレビ朝...
2025-07-17 10:58 エンタメ
小室哲哉“カネと女”で転落から前期高齢期で復活! 中森明菜&氷川きよしとコラボやライブに活路
 13日、都内でファンクラブイベントを開催したのが、60歳の誕生日を迎えた中森明菜。赤い着物で登場した明菜は「ついこの間...
2025-07-17 10:58 エンタメ
BSの芸人番組が醸し出す“心地よい空気感”の秘密 バナナ日村×サンド伊達のコラボ企画も実現
 BSから目が離せない。7月1日、8日放送の「バナナマン日村が歩く!ウォーキングのひむ太郎」(BS朝日)ではサンドウィッ...
2025-07-17 10:58 エンタメ
選挙 行ってみなきゃ言えなくね? 人気男性グループが“ラップ”で投票を呼びかけ「最高!」「こんなアイドルいる?」と反響
 7月20日に行われる第27回参議院議員通常選挙(以下、参議院選挙)を控え、11人組ボーイズグループ・INIの池崎理人さ...
“乙女”な風間俊介に熱視線! 大河のクールな“鶴屋さん”から一転、テレ東BLドラマの可憐な演技に反響続々
《やっぱ風間くんすごいな》なんてレビューもある。7月4日に始まったテレビ東京の深夜ドラマ「40までにしたい10のこと」(...
2025-07-16 18:08 エンタメ
「あんぱん」薪鉄子が持つ“小道具”の細かさに気づいた? すれ違いコントは見なかったことにします
 鉄子(戸田恵子)からの電話に出た東海林(津田健次郎)は、ひとり考え込んでいた。鉄子がそんなに怒っていたのかと、慌てて謝...
桧山珠美 2025-07-16 17:31 エンタメ
五木ひろし「デビュー60周年公演」急遽休演…昭和レジェンド歌手に求められる「働き方改革」
 歌手の五木ひろし(77)が慢性閉塞性肺疾患と気管支炎のため「デビュー60周年記念 五木ひろし特別公演 坂本冬美特別出演...
2025-07-16 17:03 エンタメ
遠野なぎこ“重い演技”の裏にあったもの…朝ドラ女優の確かな演技力でも抜けきれなかった哀しい生い立ち
 今から24年前のことである。熊井啓監督からのご指名で、新作映画「海は見ていた」の現場密着ルポを頼まれた。これは山本周五...
2025-07-16 17:03 エンタメ
『あんぱん』から消えた"イケメントリオ"の今後…「豪ちゃん」は冬に復活、「国民の弟」は民放ドラマへ
 NHK連続テレビ小説「あんぱん」は、放送開始から14週目の7月2日、ついに世帯視聴率が17.8%という最高記録に達した...
2025-07-16 17:03 エンタメ
坂上忍のパワハラ体質がまた公に…コンプラ違反で「一発アウト」になった国分太一との“境界線”とは
 坂上忍(58)の「ガチ説教」が話題だ。フジテレビ系「坂上どうぶつ王国」の2年前の打ち上げでのこと。King & Pri...
2025-07-16 17:03 エンタメ
當真あみ「ちはやふる-めぐり-」“令和の高校生のリアル”を巧みに表現
【碓井広義 テレビ 見るべきものは!!】  ドラマの続編が映画として製作されることは多い。9日に始まった當真あみ主演「...
2025-07-16 15:08 エンタメ
もはや『M-1』は芸人だけのものじゃない? 万博、地方創生…吉本が目指す“次のフェーズ”
 6月25日、漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2025』(テレビ朝日系)の開催会見が東京・渋谷よしもと漫才劇場で開かれ...
“ラウール番宣発言”物議で波乱含みスタート…木村文乃「愛の、がっこう。」初回を見たドラマウオッチャーの期待度
 木村文乃(37)主演の連ドラ「愛の、がっこう。」(フジテレビ系=木曜夜10時)の第1話が7月10日に放送された。初回の...
2025-07-15 17:03 エンタメ
遠野なぎこが吐露していた「朝ドラ女優の重圧」 橋本環奈も黒島結菜も…キャリアのマイナスになるケースも
 遠野なぎこ(45)の自宅から、死後数日が経過した遺体が発見されてから間もなく2週間が経つが、いまだ身元は特定されていな...
2025-07-15 17:03 エンタメ