イケメンナルシスト俳優との恋でボロボロに…30代OLの告白#5

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2021-04-09 06:45
投稿日:2021-04-09 06:00

濃厚なセックスの後の虚無感

――嫉妬が自らを淫乱にさせたと?

「恐らくそうだと思います。その日の私は、フェラチオからバックで彼を一回射精させ、二人でお風呂にゆったり浸かりながらソープ嬢のように潜望鏡でフェラをしたんです。

 ベッドでは、騎乗位から正常位、横ハメなど、あらゆる体位でセックスを楽しみました。そして、彼を見つめつつ『Oさんが一番素敵よ』『ずっと私が応援してるから』と賞賛の言葉を浴びせ続けました。

 もちろん、私が嫉妬に狂っていたなどはおくびにも出さず、ひたすら彼に肉体の快楽と、精神的な充足感を与えようと誠心誠意尽くしました」

――彼も大喜びだったのでは?

「はい、いつも以上に私が激しく身悶え、あえいだせいか、彼も、『うう、気持ちいい……R子ちゃんのアソコ、すごく締まってる』と言ってくれて……幸せでした。その日は二度も射精してくれて、私の体で絶頂を迎えてくれたことが本当に嬉しかった」

――最高のセックスだったんですね

「本当に最高でした。このセックスがあるなら、嫉妬心にも耐えられると思うくらい幸せでした。帰り際も離れがたくて……いつもラブホを出たら駅まで別々に歩くんですが、その日はマスクと帽子で顔を隠しながら一緒に駅まで行ったんです。

 このまま一緒にいていいのかな……と、少々ニヤケていたら、次の瞬間『俺、駅のトイレ寄ってくから、じゃあね』と、振り向きもせず、トイレに歩いて行ったんです」

――なんて、最悪な……

「本当に最悪でした。今までの夢心地な気分が一瞬でパーです。

 仮に、一緒にいるのを誰かに見られるのが心配なら『今日はありがとう、人に見られると困るから、ここでね』などフォローの一言があってもいいと思うんですが、彼はさっさと駅のトイレに消えていきました。もう、呆れて笑うしかありません。

 愛に見返りは求めちゃだめだといいますが、さすがに『これはナイでしょう。神様……』と私はぼんやりと宙を見上げました。彼を待伏せしようなんて気にもなりませんでした。

 で、その夜はいつものLINEもなく、虚しい思いのまま眠りました。いえ……不安で、ほとんど眠れませんでした……。

 翌朝になって来たLINEは『おはよう、夕べは最高だったね』のそっけないモノでした。私が『おやすみメール、待っていたのに』と言うと、『ごめんね。疲れて寝ちゃった。これからはするから』と」

――本当に自分中心なんですね

「ええ、今思うと、私が4キロ瘦せたのも全然気づいてないようすでした。

 そうそう、変わったことが一つありました。今まであまり動きのなかった彼のSNSが、更新されるようになったんです。彼自身の写真や共演者との画像など、イケメンぶりを発揮した画像がアップされるたび、多くの『いいね』やコメントがつくようになったんです」

bot扱いされても抗いきれず

――これは嬉しい変化ですね。

「はい、ファンのコメントを読むとジェラシーじみた気持ちもゼロではありませんが、やはりスポットが当たっている彼を見るのは嬉しかったですね。

 でも、ある時、彼がお願いがあるんだと言ってきたんです。『R子ちゃん、会社用と自分用のスマホ2つ持っていたよね。パソコンも入れると3つだ。一つの端末で複数のアカウントを持てるから、俺のSNSに『いいね』や賞賛のコメントをくれないか』と。

 さすがに仕事用のスマホは使えないので、プライベート用スマホとPC併せて4つのアカウントを作り、彼が更新するたび『いいね』をつけ、彼に言われるまま『かっこいい』『スタイル抜群!脚長すぎますーー』『そのタキシード姿、素敵すぎて瞬殺ですよ♥』と書きました。

 最初は面倒だなと思っていた私でしたが、他のファンが『素敵――抱かれたい男!』『セクシーすぎます。キュン死』など書いていると、自然と張り合ってしまうものですね。まんまと彼の戦略にハマったという感じ。

 ナルシストなので、命令も的確です。『今日の画像は横顔の角度を褒めてね』『もう一つのアカウントでは、ジャケットの着こなしのセンスの良さを褒めること』その次は、『共演者とも息がぴったりだと言え』などと、いちいち指示されました。

 私は仕事もあるし、お客様の接客もある。『今日は〇時にアップするから五分以内にコメントしてね』と、さらっと言われたときには、さすがにムカつきましたね」

――アカウント4つですよね。私なら耐えられません。

「もう心が疲弊してしまって……ただ、ずるいんです。私が音を上げそうになったころを見計らって『もうすぐ逢えるね。早くR子ちゃんを抱きたいよ』と甘いメールが届くんです。

 もうその一言でメロメロですよ。

 そして、逢うと濃厚なセックスが待っていました。

 最初の残念なセックスが嘘だと思えるほど、二人とも激しく互いの体を貪りましたし、一緒に絶頂を迎えた充実感は言葉にできないほど、とにかく満ち足りたセックスができるようになったんです。あとは、彼の仕事がうまくいってくれればいいなと思って……。

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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