「ドラゴン桜」キンプリ高橋・平手ら“生徒役が弱い”は覆せたか

こじらぶ ライター
更新日:2021-06-19 06:04
投稿日:2021-06-19 06:00

「#ドラゴン桜」が世界トレンド1位に!

 阿部寛(56)主演の日曜劇場「ドラゴン桜」(TBS系)が快進撃を続けている。初回で世帯視聴率14.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区=以下同)を記録すると、以降も14%前後と高水準を維持し、今月13日放送の最新第8話でも14.6%と初回に次ぐ高視聴率をマークした。同回では若年層をターゲットとする個人視聴率で9.3%を獲り、こちらは初回の8.8%を上回った。放送後には毎週のようにTwitter上で「#ドラゴン桜」が世界トレンド1位にもなるなど大きな反響を呼んでいる。

 通例では大人世代が視聴する伝統枠の日曜劇場だが、「ドラゴン桜」は大人にも若年層にも訴求する近年では稀有なドラマになっている。その要因は「日曜劇場ファン」(中高年)、「前作ドラゴン桜ファン」(20〜30代前後)、「生徒役と同世代の若年層」の“全方位”の心をもれなく掴んできたからだろう。

放送前は若手キャストに手厳しい声が…

 ただし、2005年放送の前作ドラゴン桜のファンからは、放送前の今作キャスト発表時には「生徒役が前作に比べ弱い」と手厳しい声も聞かれた。

 前作は生徒役に当時20歳前後だった山下智久(36)、小池徹平(35)、新垣結衣(33)、そして今作にも出演している長澤まさみ(34)ら華やかな人気若手俳優を擁した上で画期的な勉強法を交え、主に彼らと同世代の視聴者から支持を集めヒット作となった。

阿部寛&長澤まさみとの“化学反応”に期待した起用

 今作にもKing & Princeの高橋海人(22、※高ははしごだか)や元欅坂46の平手友梨奈(19)、「こども店長」で一世風靡した加藤清史郎(19)らが出演しているが、前作の生徒役と比べるとゴールデン帯でのドラマ出演経験が少なく役者としてはお茶の間への浸透度は決して高くなかった。

 しかし今作プロデューサー、飯田和孝氏は1000人規模のオーディションでの生徒役選考について、「(ただの演技力だけではなく)生徒らしい一生懸命さが偽りなく見えるかという“純粋さ”」と「阿部さんや長澤さんと向き合ったときに成り立つか」を重要視したと語っている(「MANTANWEB」2021年5月9日配信)。

 これまで日曜劇場で「半沢直樹」シリーズなどを手掛けてきた福澤克雄氏演出のもと、飯田氏の狙い通り、上記3名に加え南沙良(19)、鈴鹿央士(21)、志田彩良(21)、細田佳央太(19)ら今作生徒役キャストは回を増すごとに成長し好演を見せている。

 まず1、2話では舞台となる龍海学園の経営改革についてなどを半沢テイストをふんだんに交え描き、若者向けと思われがちな学園ドラマに中高年の「日曜劇場ファン」を取り込んだ。

 3話以降はいよいよ東大を目指す「東大専科」での授業が始まった。勉強内容は難解な問題ではなく「基本のキ」から、効率的に楽しく理解していけるポイントを押さえたものになっており、若年層の視聴者はもちろん、大人世代も「そんな考え方があったか」と唸らせられるものばかりだ。初めは半沢テイストに戸惑っていた前作ファンも「ついにドラゴン桜らしい勉強がはじまった!」と歓喜した。

桜木健二の名セリフを振り返る

 このドラマの最も分かりやすい見せ場は阿部演じる弁護士・桜木健二の悪を正す勧善懲悪シーン、あるいは生徒を導く説得シーンだ。

「普通の家庭、普通の両親、普通の学校に行っているということ。その普通が幸運なんだ」

「親ってのは化け物だ。誰よりも長くよくお前のことを思っている。そいつに理解させるためには、親子の縁を切るくらいの覚悟が必要なんじゃないのか?」

 といった熱い名言が次々と飛び出し、生徒と同じ若年層にも親である大人世代にも刺さっている。

成長を見守る“オヤゴコロ”に火が付いた?

 阿部の凄みある演技にも生徒役の面々は時に涙を流し、時に奮い立って行動に移し全力で応えてきた。それが劇中の役柄としての成長でもあり、演じ手の役者としての成長にも見える。その姿が、年代を問わず見る者の心を動かし、その生徒を応援したいという気持ちを生み出している。

 キャスト発表時には「生徒役が弱い」と嘆いていた前作ファンも、「生徒全員の推しになった」「みんながみんな可愛く見えてきた」と今ではすっかり今作の生徒一人一人に思い入れが沸いているようで、「みんな頑張っているから全員合格して欲しい」と願うようになっている。「みんな顔も名前も覚えたし、今後大きく羽ばたいてまた共演するとこ見たい」と期待する声もある。

 今作が日曜劇場でありながら若年層含め“全方位”のファンを掴み大ヒットに繋がったのは、阿部の力強い存在感に「純粋な演技力」で応え続けている生徒役の魅力によるところも大きいだろう。

こじらぶ
記事一覧
ライター
STARTO ENTERTAINMENT、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

エンタメ 新着一覧


ああ、日曜は悩ましい。神尾楓珠の胸キュンか、及川光博のほっこりか…どっちのドラマをリアタイすべき?
 日曜の夜が悩まし過ぎて困っています。  というのも、「すべての恋が終わるとしても」(テレビ朝日系)と「ぼくたちん...
荒牧慶彦&植田圭輔、気心の知れた相手だから、自然でいられる。W主演で見えた“素のふたり”の関係性
 舞台『刀剣乱舞』シリーズなどで知られる荒牧慶彦さんと植田圭輔さんがW主演を務めた映画『プロジェクト・カグヤ』が公開中で...
望月ふみ 2025-11-09 11:45 エンタメ
「ばけばけ」“女中”が意味するのはどっち? おトキ(髙石あかり)のうらめしい世の中は続く…
 ヘブン(トミー・バストウ)は錦織(吉沢亮)と一緒に借家へ引っ越しをしていた。新居に満足気なヘブンだったが、いまだ女中が...
桧山珠美 2025-11-08 12:45 エンタメ
“松本人志ファン”として言わせてください。『DOWNTOWN+』は天才的だった。だが「松本、動きました」はダサかった
 2024年1月から芸能活動を休止していたお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志(62歳)が、約1年10カ月ぶりに活動再開...
堺屋大地 2025-11-08 11:45 エンタメ
『ラブ トランジット』3、ついに決断の瞬間! 永遠のテーマ「良い人だけど付き合えるか」問題がリアルすぎ【8話レビュー】
『ラブ トランジット』シーズン3(Prime Video)、最終話が配信されました! 『ラブ トランジット』(以下ラブト...
中村未来 2025-11-07 11:45 エンタメ
『ラブ トランジット』3、恋愛って“物わかりの良い女”より“ゴリ押し”が勝ったりするよね【7話レビュー】
『ラブ トランジット』シーズン3(Prime Video)が7話目までが配信されました! 『ラブ トランジット』(以下ラ...
中村未来 2025-11-06 11:45 エンタメ
「ばけばけ」ラスト、タエ(北川景子)の姿に衝撃…!一方、錦織(吉沢亮)はいつ“相棒”になれるのか
 平太(生瀬勝久)とのケンカから、旅館を出て家を借りて暮らしたいヘブン(トミー・バストウ)。その世話をする女中探しを任さ...
桧山珠美 2025-11-05 17:25 エンタメ
近年の『M-1グランプリ』は優勝より過程が面白い?『タイプロ』のような“熱狂”が生まれる理由
 年末の風物詩『M-1グランプリ』(ABC・テレビ朝日系)。8月から1回戦が開始し、現在早くも3回戦の真っただ中です。 ...
「ばけばけ」錦織(吉沢亮)、バカ正直にもほどがあるぞ。“どっちもできる女中”ゲスい要望がやりきれない
 トキ(髙石あかり)はフミ(池脇千鶴)と花田旅館にしじみを売りに来たところ、ヘブン(トミー・バストウ)と平太(生瀬勝久)...
桧山珠美 2025-11-04 18:15 エンタメ
オダギリジョー「納得した仕事しか受けない」というこだわり。芸術家から犬の役まで!? “個性爆発”する作品5選
 2021年にNHKで放送が始まったテレビドラマ『オリバーな犬、(GOSH!!)このヤロウ』が、現在、映画版となって絶賛...
zash 2025-11-05 14:37 エンタメ
窪塚洋介「すべて変わっても、直感だけは変わらない」俳優30年、次元を超えてもブレない“自分軸”
 1995年に俳優デビューし、今年は活動30周年を迎えた窪塚洋介さん(46歳)。現在、松田龍平さんとW主演を務める映画『...
望月ふみ 2025-11-02 11:45 エンタメ
「ばけばけ」トキ(髙石あかり)の“違和感”、その正体が判明。運命の鐘ではなかったけれど
 ヘブン(トミー・バストウ)の初登校前日。いまだヘブンとコミュニケーションがとれず焦る錦織(吉沢亮)は、知事(佐野史郎)...
桧山珠美 2025-11-01 12:45 エンタメ
「ばけばけ」振り回されっぱなしの錦織(吉沢亮)が気の毒…ふたりの会話は聞き捨てならない
 しじみ売りに花田旅館を訪れたトキ(髙石あかり)は、主人の平太(生瀬勝久)やツル(池谷のぶえ)、ウメ(野内まる)と共に、...
桧山珠美 2025-10-30 18:05 エンタメ
復縁って本当にアリ?『ラブ トランジット』3、女性メンバーが思う“ヨリを戻す”前の恋愛ルール
 10月16日(木)よりスタートした『ラブ トランジット』シーズン3( Prime Video)は、元カップル5組10名...
中村未来 2025-10-30 12:00 エンタメ
『ラブ トランジット』3、全てがひっくり返る展開に衝撃! 人の心って本当に読めないなぁ【4話~6話レビュー】
『ラブ トランジット』シーズン3(Prime Video)、3〜6話目までが配信されました! ラブ トランジット(以下ラ...
中村未来 2025-11-05 11:10 エンタメ
元カレと再会したら心は動く?『ラブ トランジット』3、女性メンバー3人が感じた“過去の恋”と向き合う勇気
 10月16日(木)よりスタートした『ラブ トランジット』シーズン3(Prime Video)。本作は、元カップル5組1...
中村未来 2025-10-29 12:00 エンタメ