それはダメ! 子供の好き嫌い克服のために犯しがちな行動4つ

小阪有花 子どもの心スペシャリスト
更新日:2019-04-23 06:00
投稿日:2019-04-23 06:00

大人がついついやってしまいがちなこと

 こんにちは。幼児食インストラクターの小阪有花です。私は保育園のコンサルタントを本職にしているので、これまで、さまざまな保育現場とかかわってきました。

 その中で気になっていることの一つが「お昼ご飯」の時間です。

 保育園のお昼ご飯って、子供たちにとっては本当に楽しい時間なんです。お友達や先生と一緒にご飯を食べると、自然と食欲がわいてくるもの。

 私が担任をしていた当時、保護者の方から「おうちであまり食べない日があっても、保育園でいっぱいご飯たべてくれるから安心します」という声をよくいただきました。

 ただ、そんな楽しいご飯の時間でも、悩ましいのが子供たちの好き嫌い。子供たちに苦手なものを食べさせるため、ついついやってしまいがちなことってあるんですよね。

 今回は、ご家庭でもぜひ気をつけていただきたい、犯しがちな4つの行動をお伝えします。

1. 食材を全部混ぜてしまう

 好き嫌いがある子供って少なくないです。お母さんもそれに悩んでいるので、どうにか良い報告をしてあげたくて、ご飯やおかずを混ぜてしまったり、スープご飯にして全部食べさせようとする保育園の先生もいました。

 確かに、スープご飯にすると離乳食に近づくので子どもは食べやすいですし、嫌いなものがあっても混ぜてしまえば分からずに食べてしまう時もあります。

 しかし、この方法では嫌いな食べものの克服にはつながりにくいと私は思います。

 何が好きで何が嫌いかが分からず、いろいろな味がごちゃ混ぜになってしまっては、食べものへの興味も薄まってしまいます。

 全部食べてほしいという気持ちも分かりますが、やはりここは、たとえ嫌いなものを残されてしまっても、別々に食べさせ、食材そのものの味を感じてもらいましょう。

2. 好きな食べものに嫌いなものを隠す

 これは本当によく見ます。スプーンの上に子どもの好きなものをのせ、その下に嫌いなものを隠す方法です。

 そうして食べてくれた後に、「よく食べられたねぇ!」とコミニケーションをとる姿はほほ笑ましく、一概に悪いことだとは決して思いません。しかし、それは成功した場合の話です。

 このやり方はだいたい失敗し、子供は口にしたものをベーッと出してしまいます。好きなものだと思って食べたのに、嫌いなものが入っていたら、吐き出したくなる気持ちも分かりますよね。

 そして、この行動は子供をダマしていることにほかなりません。良かれと思って何度もやりすぎると、子どもは警戒心から食べる意欲を削がれてしまったり、“また嫌いなものが入っているかも……”と疑心暗鬼になってしまう恐れがあります。

何度もやりすぎると子供はソッポ

 私が1歳児の担任をしていたころの話です。ある先生が同じことをして子供に食べさせすぎた結果、その先生からのご飯は受けつけなくなってしまいました。あーんと食べさせようとしても、そっぽ向いて食べようとしないのです。

 スプーンの上に好きなものしかない時でも変わらずです。「嫌いなものはないよ」と言っても効果なし。しかし、私やほかの先生の時は普通に食べてくれました。理由は簡単です。

 嫌いなものをスプーンにのせる時は、「これものせていい?」と子供に確認していました。もちろん、「いいよ!」と言われることはほぼありません。でも、こうして確認することによって、この先生は嘘をつかない、と信頼してもらえていたのです。

 好きなものだと思って食べたら嫌いなものが……。だまされたと感じたら大人でもショックですよね?スプーンで隠す作戦もほどほどに、と思います。

3. 口から出したことを注意する

 先ほどの延長になってしまいますが、口から食べものを出してしまう時は、だいたい大人が無理して食べさせた場合が多いです。

 子供だって好きで口から出しているわけではなく、どうしても食べられないと無意識に舌が動いている場合もあります。子供を注意する前に、原因を考え、無理に食べさせてしまっていなかったか、考えてみましょう。

 でも、出してしまったのを何も言わないなんて……と思う方もいると思うので、そのときは「食べられなかった?どうして出しちゃったか教えてくれる?」など、子供とお話をしてみてください。

 まだお話できない年齢の場合は、それは食べられないことの意思表示なので、いったん尊重してあげて、また違うタイミングでチャレンジしてみましょう。

4. 食べないと食事を終わらせない

 これは、本当によくないことです。みんなが食べ終わって、お着替えなどが始まっているのに、最後の一人になっても嫌いなものが食べられず、ごちそうさまができず……。この姿は本当に寂しい光景です。

 本人が、まだ食べる!と頑張っているなら良いのですが、園によっては、これだけ食べたらごちそうさまね!と言って、食べ終わらない限りご飯を終わらせてくれないこともあります。

 最初はみんなで食べて楽しかったのに、最後は孤食になってしまう。こんな状況にさせられてしまうと、この寂しい時間の原因は嫌いな食べもののせいだと、ますます嫌いになってしまう可能性があります。

 大人になって小さい時の話をすると、嫌いなものが食べられず、自分だけ遊べなかったのが嫌だった。そんな話をする人も実は少なくないのです。

食べてほしい気持ちが伝わることも

 食事中、ボーとしていることを注意される子供をたまに見ますが、あれはボーっとしているではなく、どうしたら嫌いなものを食べなくていいかを考えている姿に見える時があります。

 好き嫌いはない方が良いし、なくなった方が良いのは分かります。

 しかし、だからと言って、食べられるまで終わらせないとなっては、ご飯の時間そのものを億劫にさせてしまう原因にもなりかねないので、あまり力まないであげてください。

 食べてほしい気持ちは、子どもにも伝わっています。たまにですが、嫌いなものも食べてくれる時もあるものです。その時はオーバーリアクションで喜んであげましょう。

 嫌いなものを食べてくれた日、その瞬間を大切に、焦らずにいきましょう。

みんなで食べるご飯は楽しい!

 とはいえ、今日うまくいったやり方が明日も通用するとは限らない。そんなものです。だからこそ、結果ばかりを追いかけないで、まずは楽しくご飯を食べましょう。

 ご家庭でも、保育園でも、みんなで食べるご飯はおいしいな。ご飯の時間は楽しいな。この気持ちをどうか大切にしてあげてほしいと思います。

 もし、嫌いな食べものがあっても、3歳後半あたりから「どうしたら食べられるかな?」など、話し合うこともできます。どう頑張っても苦手なものは、大人でもあるものです。なので、とにかくあまり力みすぎず見守りましょう。

 みんなで食べるご飯はおいしい! 大人も子供も忘れてはならない大切な気持ちです。

小阪有花
記事一覧
子どもの心スペシャリスト
保育コンサルタント。アイドル時代の旧芸名は小阪由佳。「ミスマガジン2004」グランプリで芸能界デビュー。09年に引退後、保育園の先生を経て現職に。チャイルドカウンセラー、幼児食インストラクター、ベビーシッター、家族療法カウンセラーなどの資格を持つ。
XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「豆娘」って読める? ヒント:最近、空を飛んでるかも
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
『ルナルナ』の呪縛から早4年、そろそろ子どもも考えたい。もう一度入れたら“副産物”が…!
 生理管理アプリとして有名な『ルナルナ』ですが、さまざまな理由からアンインストールしていた筆者。そろそろ妊活も考えたいと...
2024-09-14 06:00 ライフスタイル
「コーヒー1杯も買えない!」キャッシュレス化に乗り切れない、現金派の叫び
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
滝川クリステルに「好きになれない」の声多数。バリキャリだけど同性ウケしないのはなぜ?
 フリーアナウンサーの滝川クリステル(46)の所属事務所が9日、夫の小泉進次郎元環境相(43)が自民党総裁選に出馬表明し...
ペッ!!他人の人脈を勝手に使うな~!「距離感バグってる人」がやりがちな5つの行動
 率直に聞きますが、みなさんの周りで「この人、なんか距離感バグってるな」って人いません?  今回はスナックのママ、...
暑すぎる夏…クール系入浴剤が気持ちいい~!疲れをお湯に流せる3選
 今年の夏は特に暑かった。本当…驚くほど暑すぎました。  毎日かき氷やアイスコーヒーを摂取していたので、身体の中は...
親不孝じゃないよ! 実家に帰省しない時の冴えた言い訳6選
 シルバーウィークが終わったら、もう年末年始はすぐそこ。長期休暇に帰省をする人は多いですよね。「実家でのびのびすごそ〜♡...
頭重感とは?MRIは異常なし、頭痛の“震源地”は肩こりだった!【薬剤師監修】今すぐできる改善法
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
懐かしの「アジャパー」ポーズを激写! お茶目な“たまたま”にほっこり
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
仏様のお供えは「花」とは限らない! もうすぐお彼岸、仏花にまつわるケンミンSHOW的な話
 ねこ店長「さぶ」率いる我がお花屋は、神奈川の仏事に手厚い土地柄の片田舎にあります。とりわけ、夏のお盆からお彼岸月の9月...
ロボット掃除機より優秀!? “激落ちくん”のお掃除スリッパが突き付けた我が家の床の現実
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
私の心が狭いのか? 甥っ子が放った「お金持ちだから好き」発言にモヤモヤした話
 あっという間に、9月ですね。早い! 夏休みの帰省で姪っ子や甥っ子に会った方も多いのでは。  筆者にも、5歳の甥っ子が...
テーブル下でこっそり放熱中…ステンレスで涼をとる賢い“たまたま”君
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
子どものいない祭り
 都会の喧騒の中で見つけた祭り。  そこにははしゃぐ子どもの姿はなかった。  たまにはいいかな、自分のためだ...
ほっこり癒し漫画/第81回「センセッ ジカンデスヨッ」
【連載第81回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
「鉄漿」って読める? ヒント:最古のメイク
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...