真実を告げられない心苦しさ
ただ、心配もありました。
それは私が『モデルをしている』と偽っていることです。
タイミングを見て『実はモデルはやめて、銀座のクラブでホステスをしている』と何度も打ち明けようとしました……。
でも、事実を述べて嫌われるのが怖かった。彼はIT業界で活躍しているエリートビジネスマン。いっぽうの私は水商売ですから……。
そして、私は平日の夜は仕事のため、思い通りに逢えません。
Rさんと逢う時は、店に許可をもらって休んでいました。もちろん、土日は逢えますが……。
彼のお誘いとママのバースデーパーティーがまさかのブッキング
ある日、クラブのママのバースデー予定日に、Rさんが『僕たちが出会って、ちょうど半年だね。せっかくだから、最初に会った六本木のイタリアンで食事をしよう』と誘ってきたんです。
私は、彼が出会った日のことを覚えていてくれた感動と共に、究極の選択を迫られることになりました。
高級クラブのママのバースデーともなれば、一年でもっとも売り上げをあげねばいけない特別な日です。多くのお客さまがお見えになり、派遣ホステスにもヘルプしてもらわねばならないほど、大忙しの日。
当時、私は30名のホステスのうち、常にトップ5に入っていましたから、休めるはずがありません。
でも、Rさんの誘いも断れず、『その日は大きな仕事が入っているけれど、変更できるかどうか、相手方に確認してみるね』と、その場を乗り切りました」
スマホごしにも冷淡な声が
――大変な事態になりましたね。続けてください。
「すごく悩みました。そして、Rさんには『相手方に何度もお願いしたんだけれど、やはり日程をずらすのは無理みたい。ごめんなさい。別な日ならどうかしら?』と提案したんです。
すると、『夜遅くでもいいよ。21時ごろならどう? さすがに仕事は終わっているよね?』と言ってきたんですね。
彼の言っていることはごもっともです。モデルなら、泊りの仕事でもない限り、21時には終わっています。
結局その日はクラブの仕事を優先しました。
Rさんには『仕事後も、クライアントやマネジャーとの重要な打ち合わせがある』と言い訳して――。
彼『ふうん、モデルっていろいろ大変なんだね』と、一応理解してくれましたが、その声はスマホごしでも、冷淡でした。
最悪のコンディションでのデート
そして、ママのバースデーの翌日に休みをもらい、彼とデートをすることになったのですが、前夜の疲れと、浴びるように飲んだお酒のせいで、まったく食事ができない最悪の体調でした。
彼、『大丈夫? 顔色が悪いよ』と言ってくれましたが、私は食事中、いくども化粧室に駆けこまねばなりませんでした。
胃がムカついて、吐いてしまって……。
彼は、食後にホテルを予約してくれているとのことで、この後もセックスに流れる予定です。
普段なら有頂天になっている私ですが、今はそれどころではありません。
呼吸するのも、目を開けているのも苦しくて、ひたすら吐き続けました。
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