吸引系ラブグッズの衝撃 ドイツメーカーに聞いた開発のウラ

桃子 ラブグッズコレクター
更新日:2019-11-12 04:38
投稿日:2019-05-04 06:00
 “吸引系”ラブグッズーークリトリスを覆い、振動で刺激しながら吸い上げるラブグッズのことを、こう呼びます。これが世界中で大ブームとなっていると知ったとき、私は「世の女性たちは、実は吸われたかったんだ!」と目からウロコでした。

史上初の“吸引系”を生み出した「ウーマナイザー」

 ラブグッズの収集をしていて感じるのは、女性の大多数は“外派”なのだということ。挿入は特になくてもいい、という人が意外と多いのです。

 もちろん“中派”もいますが、そのためのグッズ=バイブレーターはすでにたくさん存在しているわけです。同時に振動でクリトリスを気持ちよくするローターも数えきれないほど市場にあります。でも、「それも気持ちいいけど、吸われる快感はまた別なの!」という潜在的な願望に応えてくれるものはありませんでした。

 そこに着目して2016年、史上初の吸引系グッズを生み出したのが、ドイツの「ウーマナイザー」。ドイツ本国のほかカナダ、香港を拠点を置く国際企業です。

 私は同ブランドの吸引系グッズを使ってはじめて、あまりの気持ちよさに「ああ私、実は吸われたかったのね……」と自分の内なる願望に気づきました。

 4月某日、同ブランドのセールスマネージャーを勤めるクィニー・シャムさんが新作を携えて来日。女性だけで運営するラブグッズショップ「ラブピースクラブ」でインタビューの機会に恵まれました。

ドイツでは駅構内にもアダルトショップ

ーー私は吸引系グッズというのをはじめて知ったとき、衝撃を受けました。もともと女性たちは吸引系を求めているという確信があって、開発されたのですか?

クィニー「ウーマナイザーの創業者たちは、さまざまな調査研究を行ったんです。その結果、女性にとってクリトリスがもっとも感じやすい場所だということがわかりました。一方で市場を見ると、振動で気持ちよくするグッズはあっても吸引するグッズはない。それで開発し、リリースしたわけですが、最初はあんまり人気が出なかったんですよね……」

ーーわかります、吸引系だけで本当に気持ちいいの? って半信半疑になっちゃう。でも使ったらすぐに「これだ!」とわかります。「ウーマナイザー」から見て、日本はどんな市場ですか?

クィニー「創業当時から日本の市場には注目していました。でも日本にはたくさんアダルトショップがありますが、基本的には男性のためのお店ですよね。訪れてみたところ海外からの観光客と男性客で9割を占めているという印象でした。女性は入りにくいのでしょう。女性たちは一体どこで買い物しているんだろう? とネットで調べてみると、多くの女性がオンラインショップで買っていることがわかりました。彼女たちにウーマナイザーを知ってもらうには、口コミやSNSでの評判が大事ということです」

ーーウーマナイザーを生んだドイツでは、アダルトショップが街のメインストリートに面していて、女性も気軽に立ち寄れると聞いたことがあります。

クィニー「ええ、駅の構内にもショップがありますよ。女性はひとりでも女友だちと一緒でも、そうしたお店に行くことに抵抗感がありません。カップルで買い物している光景もよく見ます」

ーー駅でオモチャが変えるってスゴイ! クィニーさんがいる香港のショップ事情は?

クィニー「ここ数年、女性向けのショップが増えましたね。女性が行きやすい理由に、スタッフとお客さんのコミュニケーションがあります。まるで友だち同士かのような親密な態度で接しますし、どんなものを探しているのかなどの相談も気軽にしていいんです。日本のショップは、お店のスタッフがいてもお客さんとが話さないですよね。コミュニケーションがほとんどないなかで、どうやってお客さまに商品を知ってもらうのか疑問に思いました」

ーー日本ではどちらかというと、店員さんに話しかけられたくないという人が多いように思います。「グッズを買いにいく」ということの対する意識の違いがありそう。今回、ウーマナイザーのラインナップに「スターレット」という新モデルが加わりましたね。ほかのモデルと比べるとすごくコンパクトで、かつ9,000円を切るお値段。ユーザーのニーズを受けて開発されたのでしょうか?

クィニー「はい。それもありますし、若くてまだ経済力がそれほどない女性たちにもウーマナイザーを使ってほしいという想いもあります。私たちはウーマナイザーを単なるラブグッズというだけでなく、生活の必需品であると考えています。リップスティックのように、女性ひとりがひとつは持っているものになってほしいし、女性同士がプレゼントし合うものにもなってほしい。そのために清潔で健康的なイメージを大事にしていますしセクシャルウェルネスのセミナーや性についての意識向上を目指すイベントにも積極的に参加たりスポンサーになったりしています」

ーー高いテクノロジーに基づいたラブグッズを提供するだけでなく、女性たちが性に対してもっとオープンでポジティブなイメージを持てるよう働きかけているのですね。

クィニー「ウーマナイザーの最も大きなミッションは、女性へのエンパワメントです。年齢とか容姿とか経済力とか、既婚未婚、子どもがいるいないなどは一切関係なく、すべての女性を勇気づけ、気持ちよくなってもらいたい。おばあちゃんであってもセックスで快感を得られるって、大事ですからね!」

エンドインフォ

気持ちよくなるって元気になること

 まっすぐに目を見てすべての質問に答えてくれたクィニーさんに、「気持ちよくなるって、元気になるってことなんだ!」とあらためて実感しました。

 そして同時に、日本でももっとグッズが買いやすくなってほしいという思いが私のなかで強くなりました。オンラインでも買えますが、リアルショップで実際に手に取ったり動作確認したりしながら商品を選ぶって、また別の楽しみがあると思うのです。

 ウーマナイザーは今回、文中で紹介した「スターレット」のほか4アイテムを新たにリリースしています。それらについては、こちらの連載でも追って紹介していきます!

桃子
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バイブコレクター。一般の勤め人をしながらこっそりバイブをはじめとするラブグッズを集め、試し、発信する。これまで試したのは国内外のグッズ400種以上で、この記録は更新中。女性ひとりでも、またはパートナーと一緒でも、安心して楽しめるラブグッズの普及に努める。
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