土砂降りの夜…2人の関係に変化が
――続けてください。
「変化が起こったのは3カ月目に入る前でした。息子の課外授業の帰り道に大雨が降ったため、貸し切りバスの到着が大幅に遅れるとのこと。その日は火曜日。いつも通り午後6時からU君が訪問してくれる日でしたが、息子からスマホに連絡が入ったのは、すでに5時半を過ぎていたんです。
東京も土砂降りでした。息子から連絡が入ると、私はすぐに家庭教師の本部に電話したんです。当日キャンセルはキャンセル料が発生しますが、肝心の息子が不在ですからどうしようもありません。
でも、なぜか本部の電話はコール音が鳴るだけで、誰も出てくれません。そうこうしているうちに、玄関のチャイムが鳴って……。
ドアを開けるとU君が立っていました。
それも、ずぶ濡れになって……。私、思わず『風邪ひくわよ。早く入って』と招き入れましたね。すぐにタオルを渡し、未使用の主人用の部屋着に着替えてもらって……」
土砂降りの雨の音に「これもまた運命だ」と
――続けてください。
「U君は恐縮しながら、着替えました。そして、息子の帰りがかなり遅れるので、今日はキャンセルする旨を伝えたんです。
ずぶ濡れになった洋服は洗濯機に入れました。洗いと乾燥までは2時間ほどかかりそうです。温かなココアを出し、リビングで休んでもらったんです。
息子からは『まだまだかかりそう。家に着くのは9時過ぎかも』とメールがありましたね。
外では土砂降りの音。そして部屋には2人きり。リビングのソファーにはL字の位置で私たちが座っています。私は緊張しながらも『これもまた運命だ』と感じました。ええ、2人がもっと親密になるという運命です。
彼は真っ赤に頬染め「まったくモテません」
さりげなく、話を切り出しました。
『U先生は聡明でカッコいいから、大学ではモテモテでしょう?』
そう言うと、彼ったら頬を真っ赤に染めて否定するんです。会話は以下のようなものだったと記憶しています。
『い……いえ、まったくモテませんよ。そもそも女子はほとんどいない学部ですし』
『あら、学部が男子ばかりでも、サークルや合コンに行けば女の子がいっぱいでしょう?』
『ああ、一応、映画研究会のサークルには籍を置いていますが、そこも男子ばっかりですね。合コンは苦手で……』
『じゃあ、彼女いない歴何年かしら?』
つい口をすべらせてしまったんです。しまったと思ったのですが、彼はうつむいたまま、
『年齢そのまま、彼女いない歴になります……』
と消え入りそうな声で言ったんですね。
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