ワレモコウの漢字はどれが本当?
「吾亦紅」(byすぎもとまさと)という歌謡曲が流行った際には、お若い方々が「どんな花?」とわざわざ来店&確認にいらしたものです。
今回のコラムのテーマは何にしようか……と猫店長「さぶ」率いる我が花屋のショーケースを見渡し、「ワレモコウにしよか~」と独り言を放つワタクシ。すると、高齢の男性スタッフがスマホで「吾亦紅」を大音量で流し、「あなたに謝りたくて♪」と大声で歌い始めましてね。
良かれと思って雰囲気を演出してくれた彼には申し訳ありませんが、おかげでひねり出していたワタクシの構想も、瞬時に吹っ飛んでしまいましたのよ(笑)。
それにしても。ワレモコウを漢字変換しようとすると「吾亦紅」「我毛紅」「吾木香」と複数の候補が出てきます。どれが正しいかと聞かれれば、どれも正しく、どれも不正解。ですが、流行歌のおかげで「吾亦紅」がめっぽうメジャーになったような気がしますね。
「吾亦紅」の由来は、「吾も亦紅なり(私は赤い花の仲間でござんすよ)」と自ら花がささやいたーーという日本昔ばなしみたいな話から。「吾木香」はキク科の木香に香りが似ているからとのことですが、茎や葉はさほど香りは強くないのに、こういっちゃなんですけど花は凄く臭いw。いわゆる未亡人に嗅がしてはいけない匂いでございます。
根っこから花まですべて口に入れる
根は地楡(ちゆ)と呼ばれ、古より漢方として用いられておりました。主に止血剤や血の病、火傷などに用いられ、月経過多や産前・産後の出血などに根を煎じて飲んだり、葉や茎は薬膳として唐揚げや塩茹で食べられております。
根っこから花まですべて口に入れることができ、見た目の健気でもポテンシャルが非常に高いのもワレモコウのスゴイところ。興味を持っていただけたでしょうか。
ワレモコウのオススメな飾り方
難しいテクニックは必要なく、ズバリそのまま。ケイトウやミヤマリンドウなどの添え花にすれば、さらにワレモコウの才能を発揮いたします。
写真は深山淡麗というミヤマリンドウを合わせてみましたが、縦にまっすぐ活けるなら、リンドウよりも若干長めに、口の大きな花瓶なら若干短めに斜めに活けると美しく引き立ちます。
可愛らしい花穂が秋の花とは知らなかったアナタでも、不思議と秋を感じるのでは? と思うワタクシです。お試しあれ。
ユ~ラユ~ラと揺れるワレモコウが、短い秋をアナタに感じさせてくれますことを……遠いお空の向こうからお祈りしておりますよ~。
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