「授乳するの気持ち悪い」と落ち込んだ日 2022.11.25(金)

コクハク編集部
更新日:2022-11-25 06:00
投稿日:2022-11-25 06:00

手動の搾乳機に助けられた

 今後の方向性は決まりましたが、直接、乳首を吸わせるのはもうやりたくない。何かいい方法がないか? とネットで検索してたどり着いたのは、シリコン素材でできた「手動の搾乳機」。すぐにネットで取り寄せ、夫に病院まで持ってきてもらいました。

 搾乳機が届くまでは、ベッドの上にあぐらで座って足に哺乳瓶をはさみ、そこにポタポタと絞った母乳をためていくというやり方をしていたのですが、なかなかうまくためられない上に、入院着がビショビショに濡れてしまい非効率的な方法でした。

 私が購入した搾乳機はカップ状の入口部分を乳房にしっかり密着させ、本体部分を握って母乳を吸引するタイプ。握り方や速度によって乳房にかかる圧力を加減できるのが使いやすく、私にとっては、なくてはならない“相棒”になりました。

 いきなり搾乳を止めてしまうと乳腺炎になりやすいと聞いていたので、退院して自宅に帰ってからは、入院中は1日9回ほど搾乳していたところを、次の日は8回、次の日は7回……という風に徐々に減らしていきました。

 胸が張って痛い時は両方のわきの下に保冷剤をはさんで、こまめに冷やしたのも良かったのか、幸い乳腺炎などの問題は起こらず、退院から2週間ほどで母乳パットをつける必要がなくなりました。

考え方や感じ方は人によって違うから…

 2人目の出産も同じ産婦人科で生みましたが、1人目の経験を踏まえて、先に授乳期間とその方法についての具体的な希望を伝えていました。自分で用意した搾乳機を病室に持ち込み、母乳指導も受けませんでしたが、今回は経産婦ということもあって、医師や助産師から何か言われることはありませんでした。

 ただ、担当してくれた助産師さんが親切な方で、おそらく自己流でやっている私のことを心配してくれたのでしょう……。何度か病室をのぞきに来てくれて、私に必要な情報も教えてくれました。

 私のようなケースは決して特殊ではなく、本来なら「母乳をあげられる状況」ではあるけれど、それぞれの理由で「授乳しないこと」を選ぶ人もいるとのこと。授乳中に理由もなく気分が落ち込んだり、不快感を抱く「不快性射乳反射(ディーマー)」という症状があることも知りました。

 私はいろんなことを天秤にかけた上で、自分で納得をして授乳期間を限定したつもりだったけれど、初乳以降の母乳のメリットもたくさんある中で、それを享受する権利を子どもから奪ってしまったのではないか? という気持ちも少なからずあり、助産師さんの言葉を聞いて少し救われたような気がしました。

おわりに

 妊娠中や出産してすぐは、ちょっとしたことで落ち込んだり、なんだかピリピリして、自分だけでやらなければ! という気持ちになりやすい時期ですが、もし何か困っていること、悩んでいることがあれば、できるだけ早く周囲の人に助けを求めてほしいと思います。

 ちなみに、ほぼ粉ミルクで育った子どもたちは元気に育ち、毎日走り回っています。授乳を「気持ち悪い」と感じてしまった私ですが、現在は仕事と育児をなんとか両立しながらも、子どもの「ママだいすき!」の言葉に日々救われています。

 今回の話は筆者の個人的な体験ですが、妊娠や出産が誰ひとりとして同じでないように、ひとりひとりの感じ方や受け入れられるラインが異なると改めて実感した出来事でした。

(編集M)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


げっ困った! 超苦手なカラオケに誘われたら…場の空気を壊さずに切り抜ける方法
 冬が近づいてきて、そろそろ忘年会のシーズン。忘年会の二次会といえば、カラオケが定番ですよね。でも、「カラオケ、苦手だか...
秋の京阪神「穴場あり」グルメ旅。外国人観光客にバレていない!? 胃で溶けるカツレツ、会館飲み…
 何もかも揃っているような東京に住みながら、関西でいただく食事はなんであんなにうまいのか。そんな気持ちにかられて、先日、...
「う、うまい…」秋の京都で“当たりだけ”グルメ! コッペパン天国から地元民太鼓判の街中華・餃子まで
 先日、遅めの夏休みとして京都を中心に旅行へ出かけました。京都は「ここが私のアナザースカイ!」と両腕を広げたいほど、大好...
ツンデレorガチ避け? つれない“たまたま”太郎についてゆきます!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
年末年始に増えるご不幸と葬儀。花屋が心底思う「後悔しない直葬」とは?
 寒くなり、アノ不思議現象がボチボチ起こり始めております。それは、年末から年明けにかけて頻発する「お亡くなり現象」。...
「卓越下着術」「胸囲ない」セクハラかと思いきや…!職場&家族へのおもしろ誤変換LINE7連発
 日常の連絡ツールとして欠かせないLINE。気軽に送れるぶん、おもしろ誤変換が生まれます。特に職場LINEや家族への誤変...
「オレ忙しいアピール」って何様よ? 昭和オヤジの怠慢さに怒りの沸点越え
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
更年期、私はこれで対処しています②賛否両論のプラセンタ、筋肉注射で痛みもこの上ないが…
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
40歳、セルフプレジャーより睡眠が優先!?フルタイム正社員に転職で痛感
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。  つい先日ま...
仕事ができないけど愛される人の特徴5つ。ポンコツなのになんで?
 あなたの職場にも仕事ができないポンコツなのになぜか周りに愛されている人、いませんか? 今回は、仕事ができないけど愛され...
気は優しくて力持ちってこんな感じかな
 そして、  思わずほっこりしてしまうのはなぜ?  
ダークヒーロー参上! 木の上から睨みを利かせるアウトロー“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
息抜きは絶対必要!忙しいワーママが自分時間を確保する4つのアイディア
 世の中のワーママは、仕事や家事、育児と朝から夜まで大忙し! 自分の時間なんてほとんどありませんよね。しかし、人には息抜...
「糟糠の妻」の意味は? 出世しても〇〇してはいけないんだゾ
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
ほっこり癒し漫画/第85回「食べる! 食べるでござるーッ!」
【連載第85回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
酔っ払い同士の胸熱&ちょっと恥ずいLINE3選。きのこたけのこ戦争の和解にもおすすめ?
 人はお酒を飲むと日頃心に秘めている本音が出てきますよね。酔っ払い同士のLINEをのぞいてみると、本音同士の面白い会話が...