自分は犬と暮らす、でもあなたは置いてきて
緑さんの家にはすでに犬が3匹いることについては「ウチの猫は人懐こいし、多分犬とも一緒に暮らせるから心配ない」と考えているそうで、そこを問題視している緑さんの言葉にも納得できないとタケオさんは話します。
「自分は犬と暮らし続けるけれど、僕には猫をどうにかしてこいって、絶対にフェアじゃないですよね。
緑さんも犬を実家や友人に譲って、お互いにペットのいない生活かスタートさせようって言うなら、まだ話はわかるんです。
自分はそのままペットと暮らす、でもあなたはペットを置いてきてねって理屈は、なんとも自分勝手だと思ってしまいました」
個人の意識が強すぎない?
ふたりが同棲をスタートさせるのは、緑さんが現在暮らしている家であることから「すでに先住の犬が3匹もいる以上は、タケオさんが猫を置いてくるべき」と考えている緑さんに対し、タケオさんの考えは大きく異なるそうです。
「結婚するってなったら、お互いの財産も相手が普通に使っていいと思いませんか? 緑さんは僕と結婚前提で付き合っていると言うわりに、個人の意識が強すぎるというか……。“自分の家”とか“自分の財産”って意識が強いように思いますね。
確かに同棲をするのは僕が緑さんの家に引っ越す形ですが、引っ越したあとには僕は自分の家として振る舞うつもりだし、緑さんの家にお世話になるという気持ちはまったくありません。
ペットの問題を通じて見えたのは…
でも緑さんの主張を聞いていると、まるで僕が居候に行くような感覚にさせられることもあって、それって違うんじゃないのって思っています。
ペット問題を通して、もしかして価値観の違いが出ているんですかね? だとすれば、そもそも結婚をするべき相手じゃないってことなんですかね?
この前、親しい女友達に相談したら『それって、ペットの問題を通じて相性が悪いことがわかったってだけじゃん。結婚はやめたほうがいいよ』って言われてしまい、妙に納得したんです。
僕たちが抱えているのは、単純なペット問題じゃなく、大きな価値観の違いなのかなって」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
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